妊娠がわかって、まず気になるのが母子手帳のことだと思います。「いつもらえるの?」「どこに行けばいいの?」「もう8週なのに、まだもらっていいと言われない——大丈夫なの?」。
この記事では、元看護師で2児の母である私「ちなみ」が、母子手帳をいつ・どこで・どうやってもらうのか、当日は何を持っていくのか、そして「まだ早い」と言われるのはなぜなのかを、母子保健法とこども家庭庁の情報をもとに整理しました。
先に結論だけ書いておきます。法律には「妊娠◯週から」という条件はありません。それなのに産院で「もう少し待って」と言われるのには、はっきりした理由があります。そこがわかると、待っている期間の不安がずいぶん軽くなるはずです。
目次
- 母子手帳はいつもらう?——結論と、実際に決まっていること
- では、なぜ「まだ早い」と言われるの?
- 妊娠がわかってから受け取るまでの流れ——時期の目安
- 母子手帳のもらい方——どこで、どうやって
- 当日の持ち物と、窓口ですること
- 母子手帳と一緒に渡されるもの
- 母子手帳には何が書いてあるの?
- 母子手帳の書き方——自分で書く欄はどうする?
- サイズもデザインも自治体によって違います
- こんなときはどうする?——よくある個別ケース
- 母子手帳を受け取ったら、まずやっておきたいこと
- 母子手帳が必要になる場面
- ちなみから|手帳をもらう日は、意外と長い一日になります
- まとめ|届け出れば、交付されるものです
- よくある質問(母子手帳|FAQ)
- 続けて読みたい関連記事
母子手帳はいつもらう?——結論と、実際に決まっていること
結論:産院で「もう届けていいですよ」と言われたら
実務的な答えはこれに尽きます。産婦人科で妊娠が確認され、「妊娠届を出してきてください」と案内されたタイミングです。多くの場合、これは赤ちゃんの心拍が確認できたあとになります。
時期としては妊娠8〜11週ごろに案内されることが多いのですが、これはあくまで結果的にそうなることが多いというだけで、決められた週数ではありません。ここがとても大事なので、次で詳しく説明します。
法律には「妊娠◯週から」という条件はありません
意外に思われるかもしれませんが、母子手帳をもらえる妊娠週数は、法律のどこにも書かれていません。
母子健康手帳の根拠になっているのは母子保健法です。妊娠の届出について、第15条はこう定めています。
書かれているのは「速やかに」だけです。「心拍確認後に」とも「妊娠11週以降に」とも書かれていません。
市町村には「交付しなければならない」義務があります
続く第16条は、母子健康手帳についてこう定めています。
つまり妊娠の届出をすれば、市町村は母子健康手帳を交付する義務があるということです。「審査して認められたら渡す」というものではありません。
参考 母子保健法(第15条 妊娠の届出/第16条 母子健康手帳)e-Gov法令検索
ちなみ(元看護師)
では、なぜ「まだ早い」と言われるの?
法律に週数の条件がないのに、産院では「もう少し待ちましょう」と言われる。この食い違いが、いちばんの不安のもとになっています。理由を整理します。
産院が心拍の確認を待つ理由
妊娠のごく初期は、まだ経過を見ないと確定できないことがある時期です。妊娠検査薬が陽性でも、超音波で胎嚢が見え、そのあと心拍が確認できて、はじめて妊娠の経過が順調に進んでいることがわかります。
妊娠届の用紙には、多くの自治体で診断した医療機関名や分娩予定日を書く欄があります。分娩予定日は初期の超音波の計測で決まるものなので、そこが定まらないうちは書けないという事情もあります。
つまり産院が待っているのは、意地悪でも慎重すぎるからでもなく、書類に書く内容が確定するのを待っているという面が大きいのです。
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「妊娠7週なのにもらえない」「8週でまだ言われない」は珍しくありません
検索でとても多い悩みです。結論から言うと、これは順調な経過の範囲でよくあることです。
心拍が確認できる時期には個人差があり、排卵が思っていたより遅ければ、週数の計算より実際の発育が後ろにずれます。「7週の予定で受診したら、実際は6週相当だった」ということは普通に起こります。その場合、次の受診まで1〜2週間あけてから、ということになります。
周りの人が「6週でもらった」と言っていても、比べる意味はありません。産院の方針も、その人の経過も違うからです。
自治体が週数を条件にしているわけではありません
ここも誤解されやすいところです。「役所が◯週以降じゃないと受け付けてくれない」と思っている方がいますが、週数を交付の条件にしているわけではありません。窓口は、提出された妊娠届にもとづいて交付します。
待つように言っているのは基本的に産院側です。だから、いつごろ届けに行けばいいか迷ったら、役所ではなく産院に聞くのが正解になります。
「早くもらいすぎた」と感じたとき
逆に、産院の案内より先に届けてしまって「早すぎたのでは」と心配になる方もいます。早く届け出たこと自体に問題はありません。法律は「速やかに」届け出るよう求めているので、むしろ趣旨には沿っています。
心配されるのはたいてい「もし妊娠が続かなかったら」という気持ちだと思います。その場合の手続きも自治体で用意されていますし、あなたが責められることは一切ありません。先に届け出たことが、あとで問題になることはないと考えて大丈夫です。
妊娠届出書には何を書くの?
待つ理由をつかむために、届出書の中身を見ておくとわかりやすくなります。自治体によって項目は違いますが、だいたい次のようなことを書きます。
- 氏名・住所・生年月日・マイナンバー
- 分娩予定日——産院で確定してから書ける項目
- 最終月経の開始日
- 妊娠と診断した医療機関の名称
- 妊娠週数
- これまでの妊娠・出産の回数
- 今の体調や心配なこと
この中で「分娩予定日」と「診断した医療機関」は、受診しないと書けません。妊娠検査薬が陽性になっただけの段階では埋められない欄がある——これが、産院の受診が先になる実務的な理由です。

妊娠がわかってから受け取るまでの流れ——時期の目安
「いつ」の全体像がつかめるように、時系列で並べます。週数はあくまで目安で、個人差があります。
| 時期の目安 | 起こること | 母子手帳との関係 |
|---|---|---|
| 妊娠4週ごろ | 生理が遅れる。妊娠検査薬が陽性になることがある | まだ動かなくてよい |
| 妊娠5〜6週ごろ | 初診。超音波で胎嚢(黒い袋)が確認される | まだ予定日が決まらないことが多い |
| 妊娠6〜8週ごろ | 再診。心拍が確認される | 分娩予定日が決まりはじめる |
| 妊娠8〜11週ごろ | 産院から「妊娠届を出してきてください」と案内される | ここで届出に行く |
| 案内された数日以内 | 市区町村の窓口で妊娠届を提出・面談 | その日に手帳と補助券を受け取る |
| 次の健診から | 手帳を持って健診に行く | 健診の記録が書き込まれていく |
見ていただくとわかるとおり、妊娠検査薬が陽性になってから手帳を受け取るまでには、1か月以上あくことも普通です。「陽性が出たらすぐもらえるもの」というイメージを持っていると長く感じますが、これが通常の流れです。
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急いだほうがいいケースもあります
基本は産院の案内に従えばよいのですが、次の場合は早めに動いたほうが得です。
- 妊婦健診の回数が増えそうなとき——補助券がないと自費負担が積み上がります
- 里帰り出産や引っ越しの予定があるとき——手続きに時間がかかることがあります
- 仕事の関係で職場に届け出る必要があるとき——制度の利用に手帳が関わることがあります
- 窓口が予約制のとき——予約が数週間先になる自治体もあります
気になる場合は、産院で「もう届出に行っていいですか」と直接聞いてしまうのがいちばん早いです。
母子手帳のもらい方——どこで、どうやって
全体の流れは4ステップ
- 産婦人科を受診し、妊娠と分娩予定日を確認してもらう
- 「妊娠届を出してきてください」と案内される
- 市区町村の窓口へ行き、妊娠届出書を提出する
- その場で母子健康手帳と補助券などを受け取る
多くの自治体ではその日のうちに受け取れます。後日郵送になることは基本的にありません。
産院ではもらえません
よくある勘違いです。母子健康手帳を交付するのは市区町村であって、病院やクリニックではありません。産院でもらえるのは、あくまで受診の記録や案内です。
どこへ行けばいい?
自治体によって窓口の名前が違いますが、だいたい次のどれかです。
- 市役所・区役所・町村役場の子育て支援課や健康推進課など
- 保健センター・保健所
- 子育て世代包括支援センター(こども家庭センターなど、名称は自治体によって異なります)
- 出張所・支所(取り扱っていないこともあります)
大きな市では複数の場所で受け取れることもあれば、面談があるため保健センターに限定している自治体もあります。行ってから「ここではできません」となるのがいちばん困るので、事前にホームページで確認するか、電話で聞いておくのが確実です。
妊娠届出書はどこで手に入る?
これも自治体によります。
- 窓口にある用紙をその場で書く——いちばん多いパターンです
- ホームページからダウンロードして記入していく
- 産院で渡される——一部の自治体・産院ではこの形があります
- オンラインで先に申請する——電子申請に対応している自治体も増えています
オンライン申請ができる自治体でも、手帳の受け取りは窓口ということが多いです。面談があるためです。
当日の持ち物と、窓口ですること
持ち物リスト
| 持ち物 | 備考 |
|---|---|
| 本人確認書類 | マイナンバーカード、運転免許証など |
| マイナンバーがわかるもの | マイナンバーカードか通知カード。番号の記入が必要なため |
| 妊娠届出書 | 窓口で書く場合は不要 |
| 印鑑 | 不要な自治体が増えていますが、念のため |
| 健康保険証 | 求められることがあります |
| 産院で渡された書類 | 診察券やメモ。予定日を確認できるもの |
| 筆記用具 | 記入する欄が意外と多いです |
※必要なものは自治体によって違います。必ず事前に確認してください。
マイナンバーが必要な理由
「なぜ妊娠の届出でマイナンバーがいるの?」と疑問に思う方がいます。妊娠の届出は行政の手続きのひとつで、届出の内容に個人番号の記載を求める仕組みになっているためです。手続き上の確認に使われるもので、身構える必要はありません。
本人以外が代理で行ける?
多くの自治体で代理人による届出は可能です。つわりがつらくて外出できない、仕事が休めない、といった事情はよくあることです。
ただし、代理の場合は委任状が必要だったり、面談を後日あらためて行うことになったりします。また面談で受けられる説明や相談の機会を逃してしまうので、可能であれば本人が行けるとよい、という位置づけです。体調のほうが大事なので、無理はしないでください。
思ったより時間がかかります——面談があるからです
窓口で書類を出して手帳を受け取るだけ、と思って行くと驚くことがあります。多くの自治体では保健師や助産師との面談がセットになっていて、30分から1時間程度かかることがあります。
この面談は「審査」ではありません。妊娠中に使える制度を案内し、困りごとがないかを確認するための場です。予約制の自治体もあるので、この点も事前確認をおすすめします。
面談で聞かれること
- 妊娠週数・分娩予定日・かかっている産院
- 体調やつわりの状況
- 里帰り出産の予定があるか
- 家族の状況、サポートしてくれる人がいるか
- 仕事を続ける予定か
- 気になっていること・困っていること
答えにくいことは無理に答えなくて大丈夫です。逆に、不安なことがあるならここで話しておくと、その後つながりやすくなります。産後に使える制度の話まで聞ける貴重な機会です。
ちなみ(元看護師)
母子手帳と一緒に渡されるもの
実は、手帳そのものより大事かもしれないものが一緒に渡されます。
妊婦健診の補助券(受診票)
妊婦健診は病気の治療ではないため公的医療保険が使えず、原則として自費です。その負担を軽くするために、自治体が健診費用の補助券(受診票)を交付しています。
これを受け取るには妊娠届が必要なので、母子手帳をもらうのが遅れると、その分の健診が全額自己負担になることがあります。「まだいいや」と先延ばしにしないほうがよい、いちばん実務的な理由がこれです。
なお補助券があっても無料になるとは限りません。補助の上限を超えた分や、券の対象外の検査は自己負担になります。
妊婦健診の頻度は?回数・スケジュール・毎回の検査内容と費用を元看護師が解説
そのほかに渡されるもの
- マタニティマーク——キーホルダー型のものが多いです
- 子育て支援の案内・冊子
- 産後ケアや相談窓口の案内
- 各種給付・助成の申請案内
- 両親学級・母親学級の案内
紙の束をどさっと渡されて、そのまま読まずにしまってしまいがちですが、相談窓口の連絡先だけはスマホに登録しておくことをおすすめします。困ったときに探す余裕がないからです。
出産・子育てに関する給付の案内も
妊娠の届出をきっかけに案内される支援があります。内容・金額・申請の方法は自治体によって異なり、面談を受けることが条件になっていることもあります。「あとで調べよう」と思っていると申請期限を逃すことがあるので、窓口で「今日の時点で申請できるものはありますか」と一言聞いておくと確実です。

母子手帳には何が書いてあるの?
全国共通の部分と、自治体ごとの部分があります
母子健康手帳の様式は、母子保健法第16条3項で「内閣府令で定める」とされています。実際にこども家庭庁が様式を公開しており、大きく2つに分かれています。
- 府令様式(全国共通)——妊娠中の経過、健診の記録、出産の状況、乳幼児健診、予防接種の記録など。どの自治体でも同じです
- 任意様式——妊娠・出産・育児に関する情報や地域の案内など。自治体ごとに内容が違い、紙で提供される部分と電子的に提供される部分があります
「隣の市の手帳と中身が違う」と感じるのは、この任意の部分の違いです。記録として大事な部分は全国共通なので、どこでもらっても不利になることはありません。
妊娠中に使うページ
健診のたびに、体重・血圧・尿検査の結果・子宮底長・赤ちゃんの推定体重などが記入されていきます。胎児発育曲線のページもあり、赤ちゃんの育ちを線で追えるようになっています。
自分で書く欄もあります。妊娠中の気持ちや体調を記録するページで、ここは義務ではありません。書ける人が書けるときに書けば十分です。
実は、出産後のほうが長く使います
母子手帳という名前から妊娠中のものと思われがちですが、実際には子どもが小学校に上がるころまで使い続けます。乳幼児健診の記録、身長体重の成長曲線、予防接種の記録が入るためです。
とくに予防接種の記録は、その後も長く必要になります。保育園・幼稚園の入園時、学校、海外渡航のときなどに確認を求められることがあります。妊娠中の記録より、こちらのほうが後々効いてきます。
電子化はどうなっている?
母子保健の分野ではデジタル化が進められていて、健診結果や予防接種の記録を電子的に確認できる仕組みの整備が進んでいます。こども家庭庁は母子健康手帳情報支援サイトも公開しており、様式や関連情報を見ることができます。
ただし現時点では紙の手帳がなくなるわけではありません。窓口で受け取った紙の手帳は、これまでどおり大切に使ってください。
母子手帳の書き方——自分で書く欄はどうする?
もらった直後に手が止まるのが表紙です。順番に見ていきます。
「保護者の氏名」は誰の名前を書く?
検索でとても多い疑問です。ここはお母さん(妊婦さん本人)の名前を書くのが一般的です。生まれてくる子どもの保護者、という意味だからです。
夫婦連名で書ける様式もありますし、パートナーの名前を並べて書いている方もいます。厳密な決まりで縛られているものではないので、迷ったら窓口で確認するか、自分の名前を書いておけば大丈夫です。
「子の氏名」は生まれてから
妊娠中は空欄で問題ありません。名前が決まるのは生まれたあとなので、ここを埋められないのが普通です。「第◯子」という欄も、生まれてから書けば十分です。
妊娠中の記録欄は、埋めなくてもかまいません
気持ちを書くページや、その月の様子を書くページがあります。ここは全部埋める必要はまったくありません。
つわりがつらい時期に「記録できていない」と自分を責めてしまう方がいますが、母子手帳は日記ではなく健康の記録です。医療者が見るのは健診の結果欄で、気持ちを書く欄が空白でも何の問題もありません。
ちなみ(元看護師)
健診の結果欄は、自分で書かなくていい
健診のたびに記入される体重・血圧・尿検査・子宮底長・推定体重などの欄は、基本的に産院のスタッフが書いてくれます。自分で埋めるものだと思って身構えなくて大丈夫です。
ただし、書かれた内容は自分でも読めるようになっておくと役に立ちます。前回と比べて何が変わったかがわかると、健診で質問しやすくなります。とくに推定体重の欄は、発育曲線のページと合わせて見ると流れがつかめます。
エコー写真の見方|BPD・AC・FL・GAなど記号の意味と推定体重の読み方を元看護師が解説
体重の記録がつらいとき
妊娠中の体重を書く欄で気持ちが沈んでしまう方がいます。健診では毎回体重を測るので、増え方が気になるのは自然なことです。
ただ、健診で体重を見ているのは増えすぎも増えなさすぎも含めて経過を確認するためで、点数をつけているわけではありません。数字を書くのがつらければ、自分で書く欄は空けておいて、産院の記録だけに任せてもかまいません。
健診のたびに持っていく
母子保健法第16条2項は、健康診査や保健指導を受けたときはその都度、母子健康手帳に必要な事項の記載を受けなければならないと定めています。つまり健診には毎回持っていくものです。忘れると記録が抜けてしまうので、バッグに入れっぱなしにしておくのが確実です。
サイズもデザインも自治体によって違います
大きく3種類のサイズがあります
母子手帳には主に次のサイズがあります。
- A6サイズ(文庫本くらい)——コンパクトで持ち歩きやすい
- B6サイズ——中間。採用している自治体が多い
- A5サイズ(大きめ)——記入欄が広く書きやすい
どれになるかは自治体が決めているので、選ぶことはできません。
デザインも自治体ごとに違います
表紙のデザインは自治体によってさまざまで、地域のキャラクターや風景が使われていることもあります。デザインが違っても、記録として大事な部分は全国共通なので、中身の価値に差はありません。
ケースを買うなら、手帳を受け取ってから
これは実務的にとても大事です。母子手帳ケースは、手帳の実物を受け取ってからサイズを確認して買うことをおすすめします。
先にかわいいケースを買っておいたら手帳が入らなかった、というのは本当によくある失敗です。妊娠がわかってすぐ準備したくなる気持ちはよくわかるのですが、ここだけは後回しにしたほうが確実です。診察券や補助券も一緒に入れることを考えると、実際に入れるものを全部そろえてから選ぶのが理想です。

こんなときはどうする?——よくある個別ケース
里帰り出産をする・引っ越す予定がある
母子手帳は全国どこでも使えます。里帰り先の産院でも、引っ越し先の自治体でも、そのまま使い続けられます。手帳を作り直す必要はありません。
ただし妊婦健診の補助券は、原則としてその自治体で使うものです。里帰りで他県の産院にかかる場合、いったん自費で払ってあとから申請して払い戻す形になることが多いです。領収書と受診票を必ず取っておいてください。引っ越しの場合は、転入先で補助券を交換する手続きがあります。
妊娠したらまず何をする?産婦人科・母子手帳・仕事報告まで元看護師が解説
双子・三つ子のとき
多胎の場合は、赤ちゃんの人数分の母子健康手帳が交付されます。記録がそれぞれ必要になるためです。妊娠中の記録の部分は共通の内容になりますが、出生後の健診や予防接種の記録は一人ひとり別に管理します。
なくした・汚してしまった
再交付を受けられます。お住まいの市区町村の窓口で手続きしてください。ただしそれまでに書き込まれた記録は戻ってきません。健診の結果や予防接種の記録は、産院や自治体に問い合わせて可能な範囲で再記入してもらうことになります。
だからこそ、予防接種のページはときどきスマホで撮っておくことを強くおすすめします。数秒で終わって、いざというときの保険になります。
第二子以降のとき
妊娠のたびに新しく交付されます。上の子の手帳と一緒に持ち歩くと混ざりやすいので、表紙に名前を書いたり、色違いのケースにしたりして区別している方が多いです。上の子の手帳も、予防接種の記録として長く使い続けます。
未婚のとき・パートナーがいないとき
はっきり書いておきます。婚姻しているかどうかは、母子健康手帳の交付とまったく関係ありません。母子保健法が定めているのは「妊娠の届出をした者に交付しなければならない」ということだけで、結婚の有無は条件になっていません。
窓口で家庭の状況を聞かれることはありますが、それは使える制度を案内するためです。責める意図のものではありません。ひとりで育てていく予定であれば、その前提で使える支援を教えてもらえます。むしろ早めにつながっておいたほうが得な場面が多いので、遠慮せず相談してください。
10代の妊娠のとき
この場合も交付の条件は同じで、年齢を理由に断られることはありません。手続きに保護者の同行を求められることはありますが、それは手続き上のサポートであって、資格の問題ではありません。
学校のこと、住まいのこと、経済的なことを含めて相談できる窓口が用意されています。ひとりで抱えないでください。窓口の保健師さんは、こうした相談に日常的に対応しています。
仕事が休めない・窓口の時間に行けないとき
平日の日中しか窓口が開いていないことが多く、ここでつまずく方は少なくありません。使える手はいくつかあります。
- 休日開庁の日があるか聞く——月に数回、土曜に開けている自治体があります
- オンラインで妊娠届だけ先に出す——受け取りは窓口でも、滞在時間を短縮できます
- 代理人に届出だけしてもらう——面談は後日にできることがあります
- 妊婦健診のための時間を確保する制度を使う——勤務先には、妊婦が健康診査などを受けるための時間を確保する仕組みがあります
「休めないから後回し」がいちばんもったいないので、まず電話で「働いていて平日に行けない」と伝えて相談してみてください。
妊娠初期の過ごし方ガイド|安静度・眠れない・仕事対応を元看護師が中立解説
日本語で読むのが難しいとき
外国語版の母子健康手帳を用意している自治体があります。窓口で相談してみてください。また、面談のときに通訳の手配について聞くこともできます。
母子手帳を受け取ったら、まずやっておきたいこと
- 表紙に名前を書く——落としたときのために。ケースに入れる前がおすすめです
- 補助券の枚数と使い方を確認する——何回分あるか、どの健診に使うかを見ておきます
- 相談窓口の連絡先をスマホに登録する——渡された資料の中から探して、その日のうちに
- 次の健診の予約日を書き込む——手帳を開くくせがつきます
- パートナーに見せる——中身を一緒に見ておくと、その後の話がしやすくなります
とくに3番目は本当におすすめです。困ったときに「どこに聞けばいいんだっけ」と資料の束を探すのは、いちばんつらいときにいちばんやりたくない作業だからです。
母子手帳が必要になる場面
「健診のとき以外にも使うの?」と聞かれることがあるので、実際に持っていく・見せることになる場面を挙げておきます。
妊娠中
- 毎回の妊婦健診——記録を書いてもらいます
- ほかの科を受診するとき——歯科や内科でも「妊娠中です」と伝える材料になります
- 急に体調が悪くなって受診したとき——経過が一目でわかるので、初めての病院でも話が早くなります
- 入院・出産のとき——入院バッグに必ず入れるものの筆頭です
妊婦健診の頻度は?回数・スケジュール・毎回の検査内容と費用を元看護師が解説
出産後〜就学前
- 乳幼児健診——1か月健診から始まり、以後ずっと使います
- 予防接種——接種のたびに記録されます。これが後々いちばん効いてきます
- 保育園・幼稚園の入園手続き——予防接種の状況を確認されることがあります
- 子どもが体調をくずして受診したとき——出生時の状況や接種歴を聞かれます
もっと先になってから
小学校の入学時や、海外渡航・留学のときに予防接種の記録を求められることがあります。10年以上あとに開くことがある一冊だと思っておくと、保管の意識が変わります。
本人が大人になってから「自分は何を接種したか」を確認する場面もあります。子どもが独立するときに渡すという方もいます。
災害への備えとして
意外と見落とされるのがここです。避難が必要になったとき、母子手帳は妊娠経過や子どもの健康情報をまとめて持ち出せる唯一のものになります。
現物を持ち出せないこともあるので、スマホに写真で残しておくことが、そのまま備えになります。とくに予防接種のページと、妊娠経過の記録のページだけでも撮っておくと安心です。
- 予防接種の記録——失うと再現がいちばん難しい
- 出生時の記録(体重・分娩の状況)——受診時によく聞かれます
- 妊娠中の経過ページ——次の妊娠のときにも参考になります
- 表紙——自治体名と交付番号がわかります
健診のたびに1枚撮る、を習慣にしておくと自然にたまっていきます。
ちなみから|手帳をもらう日は、意外と長い一日になります
母子手帳をもらいに行く日というのは、多くの方にとって妊娠がはじめて「手続き」になる日です。うれしい気持ちと、これから始まることへの緊張が入りまじった、少し不思議な日だと思います。
私自身、上の子のときは「すぐもらって帰れるだろう」と思って、午後から予定を入れていました。ところが面談があって、思っていた倍の時間がかかりました。つわりの時期に慣れない窓口で1時間座っているのは、正直しんどかったです。できれば時間に余裕のある日に、体調のいい時間帯に行ってください。
それから、もうひとつ。「まだもらえない」と言われている期間は、本当に落ち着かないと思います。周りは順調に進んでいるように見えて、自分だけ足踏みしているような気持ちになるかもしれません。
でも、手帳をもらう時期の早い遅いは、その後の妊娠経過とは関係ありません。心拍が確認できるのを待っている期間も、赤ちゃんはちゃんと育っています。焦らずに、次の受診を待ってください。
まとめ|届け出れば、交付されるものです
- 実務的には産院で「妊娠届を出してきてください」と言われたとき。多くは心拍確認後の妊娠8〜11週ごろ
- 法律に「妊娠◯週から」という条件はない。母子保健法第15条は「速やかに」届け出るよう定めているだけ
- 第16条は「市町村は、妊娠の届出をした者に対して、母子健康手帳を交付しなければならない」と定めている。審査されるものではない
- 産院が待つのは分娩予定日が確定してから届出書に書けるようになるため。自治体が週数を条件にしているわけではない
- 「7週・8週でまだ言われない」は順調な範囲でよくあること。人と比べる意味はない
- 交付は市区町村(産院ではもらえない)。保健師・助産師との面談で30分〜1時間かかることがある
- 手帳より大事かもしれないのが妊婦健診の補助券。届出が遅れるとその分の健診が全額自己負担になりうる
- 中身は府令様式(全国共通)+任意様式(自治体ごと)。記録として大事な部分は全国共通
- 表紙の「保護者の氏名」は妊婦さん本人の名前が一般的。気持ちの記録欄は埋めなくていい
- サイズはA6・B6・A5と自治体で違う。ケースは手帳を受け取ってから買う
- 全国どこでも使えるが補助券は原則その自治体のもの。里帰りは領収書を保管して後日申請
- 予防接種のページはスマホで撮っておく。なくすと記録は戻らない
母子手帳は、これから小学校に上がるころまで付き合う一冊です。最初の手続きで少しつまずいても、まったく問題ありません。受け取ったその日から、ゆっくり使い方を覚えていけば大丈夫です。
よくある質問(母子手帳|FAQ)
Q母子手帳は妊娠何週でもらえますか?
A.法律に妊娠週数の条件はありません。母子保健法第15条は「妊娠した者は、内閣府令で定める事項につき、速やかに、市町村長に妊娠の届出をするようにしなければならない」と定めているだけです。実務上は、産婦人科で赤ちゃんの心拍が確認され、分娩予定日が決まってから「妊娠届を出してきてください」と案内されることが多く、結果として妊娠8〜11週ごろになる方が多いという流れです。週数そのものが条件になっているわけではありません。
Q妊娠7週・8週なのにまだもらえないと言われました。何か問題があるのでしょうか?
A.順調な経過の範囲でよくあることです。心拍が確認できる時期には個人差があり、排卵が思っていたより遅ければ、生理日から計算した週数より実際の発育が後ろにずれます。「7週の予定で受診したら6週相当だった」ということは普通に起こり、その場合は1〜2週間あけて再受診となります。また妊娠届出書には分娩予定日を書く欄があるため、予定日が確定するまで待つという事情もあります。周りの人が早くもらっていても、産院の方針も経過も違うので比べる必要はありません。
Q母子手帳はどこでもらえますか?産院ではもらえませんか?
A.交付するのは市区町村なので、産院ではもらえません。市役所・区役所・町村役場の子育て支援課や健康推進課、保健センター、子育て世代包括支援センターなどが窓口になります。自治体によっては面談を行うため保健センターに限定していたり、予約制だったりします。出張所では取り扱っていないこともあるので、行く前にホームページで確認するか電話で聞いておくと確実です。
Q母子手帳をもらうとき、何を持っていけばいいですか?
A.一般的には、本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証)、マイナンバーがわかるもの、妊娠届出書(窓口で書く場合は不要)、筆記用具です。自治体によって印鑑や健康保険証を求められることもあります。産院で渡された書類や診察券など、分娩予定日を確認できるものもあると安心です。必要なものは自治体によって違うので、必ず事前に確認してください。なお保健師や助産師との面談があり、30分から1時間程度かかることがあるので、時間に余裕をもって行ってください。
Q母子手帳の表紙の「保護者の氏名」には誰の名前を書きますか?
A.一般的には、お母さん(妊婦さん本人)の名前を書きます。生まれてくる子どもの保護者、という意味だからです。夫婦連名で書ける様式もありますし、パートナーの名前を並べて書いている方もいます。厳密な決まりで縛られているものではないので、迷ったら窓口で確認するか、自分の名前を書いておけば大丈夫です。なお「子の氏名」の欄は生まれてから書くもので、妊娠中は空欄で問題ありません。
Q母子手帳と一緒に何がもらえますか?
A.いちばん重要なのが妊婦健診の補助券(受診票)です。妊婦健診は公的医療保険が使えず原則自費なので、自治体が費用の補助をしています。これを受け取るには妊娠届が必要なため、届出が遅れるとその分の健診が全額自己負担になることがあります。ほかにマタニティマーク、子育て支援の案内、相談窓口の案内、両親学級の案内などが渡されます。給付や助成の案内もあり、面談を受けることが条件になっていることもあるので、窓口で「今日の時点で申請できるものはありますか」と聞いておくと確実です。
Q里帰り出産をします。母子手帳や補助券はそのまま使えますか?
A.母子手帳は全国どこでも使えるので、里帰り先の産院でもそのまま使い続けられます。作り直す必要はありません。ただし妊婦健診の補助券は、原則としてその自治体で使うものです。里帰りで他県の産院にかかる場合は、いったん自費で払って、あとから申請して払い戻す形になることが多いので、領収書と受診票を必ず保管しておいてください。手続きの方法は自治体によって違うので、里帰りの予定が決まったら早めに窓口で確認しておくと安心です。
Q母子手帳をなくしてしまいました。どうすればいいですか?
A.お住まいの市区町村の窓口で再交付を受けられます。ただし、それまでに書き込まれた記録は戻ってきません。健診の結果や予防接種の記録は、産院や自治体に問い合わせて可能な範囲で再記入してもらうことになります。予防接種の記録は保育園や幼稚園の入園時、学校、海外渡航のときなどに確認を求められることがあり、後々まで必要になるものです。だからこそ、予防接種のページだけでもときどきスマホで撮っておくことを強くおすすめします。
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