「妊娠後期に入ってから、また気持ち悪くなってきた」「お腹が大きくなったら、少し食べただけで胸やけがしてつらい」「急に吐き気が込み上げてきて驚いた」「初期のつわりは落ち着いたはずなのに、どうしてまた?」――そんな不安を抱えてこの記事にたどり着いてくださったあなたへ。まずは、大きなお腹を抱えながらよく調べに来てくださいました。
はじめまして、ちなみです。元看護師として病院勤務を経験し、現在は妊活・妊娠・子育てを中心に情報発信している男女2児のママです。看護師時代、妊娠後期に「また気持ち悪くなってきた」と話される妊婦さんに接することがありました。初期のつわりとは時期も理由も違うこの症状に、戸惑われる方も少なくありませんでした。そして私自身も、2人目の妊娠後期は、お腹が大きくなるにつれて胃が押し上げられるような感じがあって、一度にたくさん食べられず、少しずつ食べていた記憶があります。
最初に、いちばん大切なことをお伝えします。後期つわりの感じ方や強さには大きな個人差があり、症状の有無や強さだけで、赤ちゃんの状態を判断することはできません。つらい方もいれば、ほとんど感じないまま過ごす方もいます。どちらが良い・悪いということはありません。この記事では、後期つわりとは何か、初期つわりとの違い、いつから・いつまで続くのか、急にくる吐き気の仕組みと乗り越え方、そして「これは受診したほうがいいサイン」までを、煽らず中立に整理していきますね。
ちなみ(元看護師)
後期つわりとは?初期つわりとの違いから知る
後期つわりとは、妊娠後期に大きくなった子宮が胃や横隔膜を押し上げて圧迫することで起こる、吐き気・胸やけ・胃もたれ・げっぷ・少量で満腹になるといった消化器の不調をまとめた呼び方です。妊娠初期のつわり(おもにホルモンの変化が関係するとされる)とは、起こる時期も仕組みも異なる、別の現象だと考えられています。
後期つわりとは何か(子宮が胃を圧迫して起こる不調)
妊娠後期になると、赤ちゃんの成長にあわせて子宮がぐんと大きくなります。その子宮が、上にある胃や横隔膜を押し上げるかたちで圧迫するため、胃の容量が小さくなったように感じたり、胃の内容物が逆流しやすくなったりします。これによって、吐き気・胸やけ・胃もたれ・げっぷ・「少し食べただけでお腹がいっぱいになる」といった症状が出やすくなると言われています。これがいわゆる後期つわりです。
つまり後期つわりは、赤ちゃんが順調に大きくなってお腹のスペースが狭くなってきたことと関係していることが多い症状です。「また具合が悪くなった=何か悪いことが起きている」とは限りません。もちろん、なかには注意したいサインもありますので、それは後半の「受診の目安」でていねいにお伝えしますね。
初期つわりとの違い(原因=子宮の圧迫か、時期=後期か初期か)
後期つわりと初期つわりは、名前が似ているので混同されがちですが、起こる時期も仕組みも違います。ざっくり整理すると、初期つわりは妊娠初期(おおむね妊娠5〜6週頃から始まり、15週前後で落ち着いていくことが多いとされる時期)に、ホルモンの変化などが関係して起こると言われる吐き気です。一方の後期つわりは、妊娠後期に大きくなった子宮が胃を物理的に圧迫して起こる不調で、原因も時期もまったく別物です。
後期つわり……時期は妊娠後期(28週・8ヶ月前後〜)/背景は大きくなった子宮による胃の圧迫/胸やけ・胃もたれ・少量で満腹・急に込み上げる吐き気が中心。
※どちらも感じ方には大きな個人差があり、ない方もいます。
初期つわりの「いつから始まる?ピークは?いつまで続く?」といった時系列の詳しいお話は、別の記事でまとめています。今まさに初期つわりの渦中にいる方や、これから妊娠初期を迎える方は、あわせて読んでみてくださいね。
つわりはいつから?ピーク・いつまで続くかと症状・対処法を元看護師ちなみが解説
「後期つわり」は正式な病名ではない
覚えておきたいのは、「後期つわり」というのは正式な医学的病名ではない、ということです。妊娠後期に出てくる胃の圧迫による吐き気や胸やけ・胃もたれを、わかりやすくまとめて呼んでいる一般的な言葉です。そのため、健診で「後期つわりですね」と診断されるというより、症状を相談したときに「子宮が大きくなって胃が圧迫されているのかもしれませんね」と説明されることが多いかもしれません。
正式な病名ではないからこそ、「ただの後期つわり」と自己判断してしまうと、まれに見逃したくない状態(後半でお伝えする妊娠高血圧症候群などの注意サイン)を見過ごしてしまうこともあります。気になる症状があるときは、自己判断せず健診で相談する――この姿勢が安心につながります。なお、妊娠の今がどの時期にあたるのか、週数の数え方や各時期の節目があやふやな方は、こちらもどうぞ。
妊娠初期症状はいつから?週数別の症状一覧と「ない」不安まで元看護師ちなみが解説
後期つわりはいつから・いつまで続く?割合は?
後期つわりがいつ頃から始まり、いつまで続くのか――先の見通しが立つだけで、気持ちはずいぶん軽くなりますよね。ここでは、時期の目安と「どのくらいの人に起こるのか」について、わかっている範囲で中立にお伝えします。時期にはやはり大きな個人差がある、という前提で読んでくださいね。
いつから始まる?(妊娠28週・8ヶ月前後〜・7ヶ月から感じる人も)
後期つわりは、一般に妊娠後期にあたる妊娠28週(妊娠8ヶ月)前後から感じる方が多いと言われています。子宮が大きくなって胃を圧迫し始める時期と重なるためです。なかには妊娠7ヶ月頃から「少し食べただけで胃が苦しい」と感じ始める方もいて、始まる時期は人それぞれです。お腹のふくらみ方や赤ちゃんの位置、もともとの胃腸の調子によっても、感じ方は変わってきます。
「7ヶ月って妊娠何週だっけ?」「8ヶ月は週数でいうとどこ?」と、月数と週数の対応があやふやになりやすい時期でもあります。妊娠週数の数え方や、月数との早見表は別記事にまとめていますので、自分の今の時期を確認したいときに役立ててくださいね。
妊娠週数の数え方|受精より2週早いのはなぜ?週数↔月数の早見表・出産予定日まで元看護師が解説
いつまで続く?(出産で軽快しやすい・赤ちゃんが下がると楽になることも)
後期つわりは、原因が「子宮による胃の圧迫」であることが多いため、その圧迫が和らぐと症状も落ち着いていきやすいと言われています。臨月が近づき、赤ちゃんが骨盤のほうへ下がってくると、胃の圧迫がやわらいで「急に食べやすくなった」と感じる方もいます。そして多くの場合、出産を終えて子宮が小さくなっていくと、胃の圧迫による不調も自然に落ち着いていく流れになります。
とはいえ、いつ赤ちゃんが下がるか、いつ楽になるかにも個人差があります。「出産まで胸やけが続いた」という方もいれば、「臨月に入ったら急に楽になった」という方もいます。終わりの時期を厳密に区切ることは難しいので、「出産という終わりがある」とだけ心の支えにしながら、無理せず過ごしていきましょう。
どのくらいの割合で起こる?(個人差が大きく、ない人も多い)
「後期つわりって、みんな経験するものなの?」と気になる方もいるかもしれません。正直にお伝えすると、後期つわりは正式な病名ではなく症状のまとまりを指す言葉のため、「○%の妊婦さんに起こる」とはっきり言える確かな統計は見当たりません。確かなのは、感じ方や有無には大きな個人差があるということです。胸やけや胃もたれに悩む方もいれば、妊娠後期をほとんど不調なく過ごす方もいます。
ですから、「周りはあまり聞かないのに私はつらい」と感じても、おかしなことではありません。逆に「後期つわりがまったくない」場合も、それで赤ちゃんに問題があるわけではありません。症状の有無で良し悪しを比べる必要はないので、安心してくださいね。
ちなみに、初期つわりがつらかった方が後期つわりも強く出るとは限りませんし、初期はまったく平気だった方が後期に胸やけに悩むこともあります。初期と後期は原因が違うため、「初期がこうだったから後期もこうなる」とは予測しづらいものです。体調日記をつけている方は、どんなときに気持ち悪くなりやすいか(食後・空腹時・夜・においなど)を書き留めておくと、自分なりの対策が見つけやすくなりますよ。
後期つわりの主な症状|急にくる吐き気・胸やけ・胃もたれ
後期つわりの症状は、初期つわりとは少し顔ぶれが違います。ここでは、よく聞かれる代表的な症状を整理します。「これも後期つわりだったんだ」と気づくと、必要以上に不安にならずにすみますよ。なお、出方は人それぞれで、ここに挙げたものすべてが出るわけではありません。
急に込み上げる吐き気・嘔吐(「急にくる」仕組み)
「後期つわり 急にくる」と検索される方が多いように、後期つわりの吐き気は、前ぶれなく急に込み上げてくることがあります。これは、胃が子宮に押し上げられて容量が小さくなっているところに、少し食べすぎたり、前かがみの姿勢になったり、胃の内容物が逆流したりすると、一気に気持ち悪さが押し寄せやすいためと考えられています。突然きてびっくりしますが、仕組みとしては「胃のスペースが狭くなっている」ことの表れであることが多いものです。
急な吐き気で実際に吐いてしまうこともありますが、一度すっきりすると落ち着く方も少なくありません。ただし、吐く回数が多くて水分も摂れない・体重が大きく減るといった場合は、後半でお伝えする受診の目安にあてはまることがあります。そこだけは見逃さないようにしましょうね。
急にくる吐き気を少しでも防ぐには、満腹まで食べない・前かがみの姿勢を長く続けない・食後すぐに動きすぎないといった工夫が役立ちやすいとされています。とはいえ、どんなに気をつけていても波があるのが後期つわりです。「気をつけていたのに吐いてしまった」と自分を責める必要はありません。体の自然な反応として受け止めて、つらいときは無理せず休んでくださいね。
胸やけ・呑酸・げっぷ(胃酸の逆流)
後期つわりでとても多いのが、胸やけや呑酸(どんさん:胃酸が喉や口まで上がってくる、すっぱい感じ)、げっぷです。大きくなった子宮で胃が押し上げられると、胃と食道のつなぎ目がゆるみやすくなり、胃酸が逆流しやすくなると言われています。とくに横になったときや食後に、胸のあたりが焼けるように感じたり、すっぱいものが上がってきたりしやすくなります。
こうした胸やけ・呑酸は、後半でお伝えする「食後すぐ横にならない」「上体を少し起こして休む」といった工夫でやわらぎやすいとされています。市販の胃薬を自己判断で使うのは避けて、つらいときは健診で相談してみてくださいね。妊娠中でも使える胃薬を処方してもらえることがあり、「我慢するしかない」と思っていた方がずいぶん楽になることもあります。
胸やけは、脂っこいものや甘いもの、酸味の強いもの、炭酸飲料などで強くなりやすいとも言われています。「これを食べると胸やけしやすいな」というものがあれば、量を控えめにしてみるのも一つの手です。逆に、胃にやさしいとされるものを少しずつとると、胃酸の刺激をやわらげやすいこともあります。自分の胃の声を聞きながら、無理のない範囲で調整していきましょう。
胃もたれ・少量で満腹・食欲不振
「少し食べただけでお腹がいっぱいになる」「食べたものがいつまでも胃に残っている感じがする」――これも後期つわりの代表的な症状です。胃の容量が物理的に小さくなっているため、一度にたくさん食べられなくなり、結果として食欲がわかないように感じる方もいます。これは胃が圧迫されている自然な反応で、「赤ちゃんに栄養が届かないのでは」と過度に心配しなくて大丈夫なことが多いものです。
対策としては、一度に食べる量を減らして回数を分ける「少量頻回食」が役立ちやすいとされています。具体的な工夫は次の章でお伝えしますね。
なお、後期は胃の不調だけでなく、大きくなった子宮で腸も圧迫されやすく、便秘やお腹の張りが重なって、よけいに胃が苦しく感じられることもあります。便秘が気になるときは、水分や食物繊維をとりやすいタイミングで補ったり、無理のない範囲で体を動かしたりするのも一つの方法です。便秘がつらいときも、自己判断で市販の便秘薬を使わず、健診で相談してくださいね。妊娠中でも使える薬を提案してもらえることがあります。
症状の出方は人それぞれ・ない人もいる
ここまで代表的な症状を挙げてきましたが、もう一度お伝えしたいのは、後期つわりの出方は人によって大きく違うということです。胸やけが中心の方、急な吐き気が中心の方、胃もたれだけの方、そしてほとんど何も感じない方もいます。「ランキング上位の症状が自分に当てはまらない」と不安になる必要はありません。あなたの体の感じ方が、あなたにとっての普通です。気になることは健診で遠慮なく相談していきましょう。

後期つわりの対策・乗り越え方
後期つわりは「子宮が胃を圧迫する」という仕組みからくることが多いので、その圧迫の影響をやわらげる工夫が、つらさを軽くする助けになりやすいとされています。どれも特別な準備のいらない、毎日の暮らしの中でできることです。無理なく取り入れられそうなものから試してみてくださいね。
一度にたくさん食べず「少量頻回食」にする
胃が圧迫されて容量が小さくなっているときは、一度にたくさん食べると胃が苦しくなり、吐き気や胸やけにつながりやすくなります。そこで役立つのが「少量頻回食(しょうりょうひんかいしょく)」――1回の量を減らして、その分、食べる回数を増やす食べ方です。3食にこだわらず、4〜6回くらいに分けて少しずつ食べると、胃への負担をやわらげやすいと言われています。「ちゃんと一食分食べなきゃ」と気負わず、ちょこちょこ食べでいいんだ、と思えると気が楽になりますよ。
消化のよいものを中心に・脂っこいもの/刺激物は控えめに
胃もたれや胸やけがつらいときは、消化に時間のかかる脂っこいものや、刺激の強いもの(香辛料の効いた料理・濃い味つけ・強い酸味のものなど)は、胃に負担になりやすいとされています。おかゆ・うどん・豆腐・白身魚・温かいスープなど、消化のよいものを中心にすると、胃が楽に感じられることが多いものです。冷たくさっぱりしたものが食べやすい方もいるので、自分の胃が「楽だな」と感じるものを優先して大丈夫です。
「妊娠中に食べやすいもの・おすすめの食べ物」や、つわり時期の食べ物の工夫については、別の記事で具体的に掘り下げています。後期つわりで食事に悩むときは、こちらもヒントになりますよ。
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冷たいもの・においの少ないものが食べやすいことも
後期つわりでも、初期つわりと同じように、においに敏感になって温かい料理の湯気がつらく感じる方がいます。そんなときは、冷たくさっぱりしたもの・においの少ないものが食べやすいことがあります。冷やしうどん、冷たいおにぎり、ゼリーや冷たい果物、ヨーグルトなどは、においが立ちにくく、胃にもやさしいので選ばれやすい傾向があります。反対に、揚げ物や脂の多いお肉、香りの強い料理は、後期の胃には重く感じられがちです。
「今日はこれなら食べられそう」という感覚を大事にして、食べられるものを優先して大丈夫です。栄養バランスは、つわりが落ち着いてから・体調のよい日に少しずつ整えていけば間に合うことが多いものです。完璧を目指さず、「食べられるものを・食べられるときに・食べられるだけ」で十分ですよ。
食後すぐ横にならない・上体を少し起こして休む
胸やけや呑酸の対策としてよく挙げられるのが、食後すぐに横にならないことです。食べた直後に横になると、胃の内容物が逆流しやすくなり、胸やけが強くなることがあります。食後はしばらく上体を起こして過ごすと、逆流をやわらげやすいとされています。寝るときも、クッションや枕で背中から上体を少し高くすると、楽に感じる方が多いです。横向きで休むときは、体の左側を下にする「左側臥位(さそくがい)」がすすめられることもあります。

ゆったりした服装・こまめな水分補給・気分転換
お腹やみぞおちを締めつける服装は、胃の圧迫感を強めてしまうことがあります。ウエストにゆとりのある、ゆったりした服装で過ごすと、それだけで楽に感じられることがあります。また、吐き気で食べられないときも、水分だけはこまめに摂ることを心がけてください。一度にたくさん飲むと吐きやすい方は、ひとくちずつこまめに。散歩や深呼吸、好きな音楽など、ちょっとした気分転換も、つらさの感じ方をやわらげる助けになります。無理のない範囲で、自分をいたわってあげてくださいね。

後期つわりで気をつけたいサイン|受診の目安
後期つわりの多くは、赤ちゃんが大きく育ってきたことに伴う自然な不調です。けれども、なかには「ただのつわり」と自己判断せず、早めに受診したほうがよいサインもあります。ここは少していねいにお伝えしますね。怖がらせたいのではなく、絶望も慢心もせず、見逃さないでほしいからです。気になるサインがあれば、迷わず主治医・産婦人科に連絡してください。
大事なのは、「これくらいで連絡したら迷惑かな」とためらわないことです。産婦人科は、妊婦さんの心配ごとに対応するための場所です。受診すべきか迷う症状こそ、電話で相談してよいものです。とくに妊娠後期は、体調の変化が出産や赤ちゃんの状態と関わることもあるため、「念のため」で連絡しておくほうが安心です。下に挙げるサインは、自己判断で様子を見ずに連絡してほしいものとして、覚えておいてくださいね。
水分が摂れない・嘔吐が続く・体重が大きく減るとき
「妊娠後期 つわり 痩せる」と心配される方もいます。胃が圧迫されて食べる量が減り、多少体重が増えにくくなることは、後期では珍しくありません。ただし、嘔吐をくり返して水分もほとんど摂れない・尿が出にくい・ぐったりする・体重が大きく減っていくといった場合は、脱水や、つわりが重くなった状態(妊娠悪阻:にんしんおそ)の可能性があり、点滴などの治療が必要になることもあります。これは我慢せず受診の目安です。
激しい頭痛・目のチカチカ・強いむくみ・急な体重増加・上腹部の痛み
後期つわりと紛らわしいけれど、まったく別に注意したいのが妊娠高血圧症候群です。妊娠後期に、激しい頭痛・目がチカチカする(目の前がチカチカ・視界がぼやける)・手足や顔の強いむくみ・急な体重増加などがあるときは、血圧が高くなっているサインのことがあります。さらに、みぞおちや右上腹部(肝臓のあたり)の痛み・吐き気が出てくる場合は、まれにHELLP症候群(ヘルプしょうこうぐん:肝臓や血液に影響が及ぶ重い状態)といった、早めの対応が必要な状態のこともあります。
これらは「後期つわりの吐き気かな」と思い込んでしまうと見逃しやすいので、注意したいポイントです。とくにみぞおち・右上腹部の痛みを伴う吐き気は、ただの胃の不調と自己判断せず、すぐに産婦人科へ連絡してください。
「食べられない=赤ちゃんに異常」ではない(ただし水分・体重には注意)
「後期つわりで食べられない、赤ちゃんに影響はないの?」――これは本当に多くの方が心配されるところです。お伝えしたいのは、食べられない時期があること自体が、すぐに赤ちゃんの異常を意味するわけではないということです。妊娠後期は、赤ちゃんがある程度まで育ってきている時期でもあります。一時的に食べる量が減っても、過度に思いつめなくて大丈夫なことが多いものです。
ただし、これは「いくら食べられなくても放っておいていい」という意味ではありません。さきほどの注意ボックスでお伝えしたように、水分が摂れない・体重が大きく減る・激しい頭痛やむくみ・上腹部の痛みがあるときは、自己判断せず受診してください。「大丈夫」と「受診を」の線引きを、毎回の健診でも遠慮なく相談していきましょう。心配なときに相談していい、それが安心への近道です。
後期つわりがつらいときの過ごし方・心の持ちよう
後期つわりは、出産という終わりが見えている分、初期つわりとはまた違うつらさがあります。大きなお腹で動きづらいなか、胸やけや吐き気と付き合うのは、本当に大変なことです。ここでは、少しでも心穏やかに過ごすためのヒントをお伝えしますね。
無理をしない・周囲やパートナーに頼る
後期つわりがつらいときは、「これくらい我慢しなきゃ」と頑張りすぎないことが大切です。家事や食事の支度をパートナーや家族に頼る、できあいのお惣菜や宅配を上手に使う――どれも立派な工夫です。私自身、2人目の妊娠後期は胃が圧迫されてつらく、上の子のお世話もあったので、夫に夕飯の支度を任せた日も少なくありませんでした。あくまで私の場合の話で、つらさの出方は人それぞれですが、「頼っていいんだ」と自分に許可を出せると、ずいぶん楽になりますよ。
後期つわりがつらいと、「もうすぐ出産なのに、こんなに参っていて大丈夫かな」と自分を責めてしまう方もいます。でも、大きなお腹を抱えながら胃の不調と向き合うのは、それだけで十分がんばっていることです。出産に向けて体力を残しておくためにも、つらいときは休む・人に頼る・できないことは手放す。これは決して甘えではなく、あなたと赤ちゃんを守るための大切な選択です。完璧にやろうとしなくて大丈夫。今日を無事に過ごせたら、それで十分なんですよ。
胸やけで眠りにくいときの寝方の工夫
後期つわりの胸やけは、夜、横になると強くなりやすく、「眠りたいのに気持ち悪くて眠れない」という方も少なくありません。寝るときは、クッションや枕を重ねて背中から上体を少し高くする(上半身を起こし気味にする)と、胃酸の逆流をやわらげやすいとされています。また、寝る直前の食事は胸やけを強めやすいので、夕食はできれば早めにすませ、寝る前は満腹を避けると楽に感じる方が多いです。横向きで休むときは、体の左側を下にする「左側臥位」がすすめられることもあります。大きなお腹を抱えての睡眠は、抱き枕などを使って楽な姿勢を見つけてくださいね。
ちなみ(元看護師)
「急にくる」吐き気との付き合い方(外出時の備え)
後期つわりの吐き気は急にくることがあるので、外出時に少し備えておくと安心です。エチケット袋やタオル、口をすすげる水、すぐ口にできる小さな飲み物やあめなどをバッグに入れておくと、いざというとき気持ちにゆとりが生まれます。長時間の移動は避け、こまめに休憩をとる、満員電車のにおいがつらいときは時間をずらす――そんな小さな工夫の積み重ねが、つらさをやわらげてくれます。看護師時代にも、外出時の備えがあるだけで「気持ちが楽になった」とおっしゃる妊婦さんがいらっしゃいました。
出産が近づくサインとの違い
妊娠後期は、後期つわりのほかにも、前駆陣痛(出産前に起こる不規則なお腹の張り)やおしるし、規則的なお腹の張りといった、お産が近づくサインが出てくる時期でもあります。胃の不調である後期つわりと、お産のサインは別のものですが、同じ時期に重なると区別がつきにくいこともあります。規則的なお腹の張りや痛み、破水(水っぽいものが流れ出る)、出血などがあるときは、後期つわりとは分けて考え、産院の指示に従って連絡してくださいね。お産のサインの詳しい見分け方は、別のテーマになるのでここでは深追いしませんが、不安なときはいつでも産院に相談して大丈夫です。
また、妊娠後期は貧血が起こりやすい時期でもあり、貧血による吐き気やだるさが重なることもあります。健診で貧血を指摘された方や、立ちくらみ・強い疲れが気になる方は、こちらもあわせて読んでみてください。
妊娠中の貧血はなぜ起こる?症状・治療・食事対策を元看護師ちなみが解説
妊娠後期は、健診の間隔が短くなっていく時期です(妊娠後期はおおむね2週間に1回など、回数が増えていきます)。気になる症状は、次の健診を待たずに連絡してよいものも多いので、「これは相談していいのかな」と迷ったら、産院に問い合わせてみてくださいね。
よくある質問(後期つわり|FAQ)
Q後期つわりとは何ですか?
A.妊娠後期に、大きくなった子宮が胃や横隔膜を押し上げて圧迫することで起こる、吐き気・胸やけ・胃もたれ・げっぷ・少量で満腹になるといった消化器の不調をまとめた呼び方です。ホルモンの変化が主な背景とされる妊娠初期のつわりとは、時期も仕組みも異なる別の現象と考えられています。なお『後期つわり』は正式な病名ではなく、症状をわかりやすくまとめた一般的な言葉です。
Q後期つわりはいつから始まりますか?
A.一般に妊娠28週(妊娠8ヶ月)前後から感じる方が多いと言われています。子宮が大きくなって胃を圧迫し始める時期と重なるためです。なかには妊娠7ヶ月頃から感じ始める方もいて、始まる時期には大きな個人差があります。
Q後期つわりはいつまで続きますか?
A.原因が子宮による胃の圧迫であることが多いため、臨月に赤ちゃんが下がって圧迫が和らいだり、出産を終えて子宮が小さくなったりすると、落ち着いていきやすいと言われています。終わりの時期にも個人差がありますが、『出産という終わりがある』ことは心の支えにしてくださいね。
Q急にくる吐き気はなぜ起こるのですか?
A.胃が子宮に押し上げられて容量が小さくなっているところに、少し食べすぎたり、前かがみの姿勢になったり、胃の内容物が逆流したりすると、一気に気持ち悪さが押し寄せやすいためと考えられています。突然きて驚きますが、多くは『胃のスペースが狭くなっている』ことの表れです。ただし水分が摂れないほど吐く・体重が大きく減るときは受診の目安です。
Q後期つわりで食べられないと、赤ちゃんに影響しますか?
A.食べられない時期があること自体が、すぐに赤ちゃんの異常を意味するわけではありません。妊娠後期は赤ちゃんがある程度まで育ってきている時期でもあり、一時的に食べる量が減っても過度に思いつめなくて大丈夫なことが多いものです。ただし、水分が摂れない・体重が大きく減る・激しい頭痛やむくみ・みぞおちや右上腹部の痛みがあるときは、自己判断せず必ず受診してください。
まとめ|後期つわりは仕組みを知れば落ち着いて向き合える
後期つわりは、妊娠後期に大きくなった子宮が胃を圧迫して起こる、吐き気・胸やけ・胃もたれなどの不調です。ホルモンの変化が主な背景とされる初期つわりとは、時期も仕組みも違う別の現象でした。仕組みがわかると、「また具合が悪くなった」という不安が、「赤ちゃんが大きく育ってきた証なんだ」という前向きな受け止めに変わりやすくなります。
- 後期つわりは妊娠後期(28週・8ヶ月前後〜)に子宮が胃を圧迫して起こる別の現象。初期つわり(ホルモン変化が背景)とは時期も仕組みも違う
- 「後期つわり」は正式な病名ではなく、症状のまとまりを指す一般的な呼び方
- 多くは出産で子宮が小さくなると落ち着く。いつから・いつまで・割合には大きな個人差があり、ない人もいる
- 対策は「少量頻回食」「消化のよいもの」「食後すぐ横にならず上体を起こす」「ゆったりした服装・こまめな水分補給」
- 水分が摂れない・体重が大きく減る・激しい頭痛やむくみ・みぞおちや右上腹部の痛みは受診の目安。妊娠高血圧症候群・HELLP症候群を見逃さない
- 症状の有無や強さだけで赤ちゃんの状態は判断できない。迷ったら自己判断せず健診で相談を
大きなお腹を抱えながら、胸やけや吐き気と付き合うのは本当に大変なことです。でも、出産という終わりは必ずやってきます。無理をせず、周りに頼りながら、あと少しの妊娠生活を少しでも穏やかに過ごせますように。気になることがあれば、いつでも健診で相談してくださいね。あなたと赤ちゃんが、元気に出産の日を迎えられることを心から願っています。
後期のむかつきや胃の不快感は、胃もたれ・胸焼けと重なって起こることもあります。妊娠後期の胃もたれ・胸焼けの原因と対処法はこちらをご覧ください。
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