妊娠中に食べてはいけないものは?避けたい食べ物の一覧と理由を元看護師ちなみが解説

妊娠中の女性が食卓でさまざまな食べ物を前に穏やかに考えているシーン|妊娠中に食べてはいけないものの選び方のイメージ

「妊娠中は食べてはいけないものがたくさんあるみたいで不安」「これ、食べちゃったけど大丈夫だったかな…」「お刺身もチーズもコーヒーも我慢しなきゃいけないの?」――妊娠が分かったとたん、毎日の食事のたびにスマホで検索しては不安になる。そんな気持ちでこの記事にたどり着いてくださったのではないでしょうか。

はじめまして、ちなみです。元看護師として病院勤務を経験し、現在は妊活・妊娠・子育てを中心に情報発信している男女2児のママです。看護師時代、「これ食べちゃったけど赤ちゃん大丈夫ですか?」と不安そうに相談される妊婦さんに、本当にたくさん接してきました。そして私自身も、2人の妊娠で「これは食べていいの?」と毎日のように悩んだ時期があります。だからこそ、この記事ではできるだけ実用的に、そして中立にお伝えしたいと思っています。

最初に、いちばん大切なことをお伝えします。特定の食べ物を一度口にしたかどうかで、赤ちゃんの異常が決まるわけではありません。避けたい食べ物の多くは「絶対に食べてはいけない」ものではなく、「どれくらいの量を・どれくらいの頻度で食べるか」の問題です。そして、加熱すれば食べられるもの、種類や量を選べば食べられるものがほとんど。すべてを完璧に避ける必要はなく、理由を知れば落ち着いて選べるようになります。この記事では、避けたい食べ物を「リスクの理由」で整理しながら、神経質になりすぎず、でも知っておきたいポイントを一緒に見ていきましょうね。

ちなみ(元看護師)

食べ物の制限って、頭で「大丈夫」と分かっていても、毎日のことだから心がすり減りますよね。でも大丈夫。「完全に禁止」はごくわずかで、ほとんどは「量と頻度」「加熱」で折り合いがつけられます。怖がりすぎず、一緒に整理していきましょう。

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妊娠中に食べてはいけないもの早見表【まずは全体像から】

妊娠中に避けたい食べ物は、主に「食中毒・感染症」「特定の成分のとりすぎ」という観点から整理できます。やみくもに「あれもこれもダメ」と覚えるより、なぜ避けたいのか(リスクの理由)でグループ分けして理解しておくと、迷ったときの判断軸ができて気持ちがぐっと楽になります。まずは下の早見表で全体像をつかんでくださいね。

妊娠中に避けたい食べ物をリスク別に整理した早見表のイメージ|妊娠中 食べてはいけないもの 一覧
リスクの理由食品の例どうすれば食べられる?
食中毒・感染症(リステリア・トキソプラズマ・サルモネラ等)ナチュラルチーズ・生ハム・スモークサーモン・生肉・加熱不足の肉・生卵・刺身・生牡蠣しっかり加熱すれば食べられるものが多い
水銀のとりすぎマグロ・メカジキ・キンメダイ・クジラなど一部の大型魚種類と量・頻度を選べばOK。魚自体は大切な栄養源
ビタミンAのとりすぎレバー・うなぎ・ビタミンAサプリ(妊娠初期はとくに)頻度と量に注意。普通の食事量なら心配しすぎなくてよい
カフェインのとりすぎコーヒー・紅茶・緑茶・エナジードリンク・チョコ1日の量の目安内に。カフェインレスの選択肢も
アルコールお酒全般・洋酒入りお菓子・甘酒(一部)妊娠中は控えるのが基本。ノンアルコールの活用を
無機ヒ素のとりすぎひじき(大量・高頻度の場合)たまに食べる程度なら問題ないとされる
量・頻度に注意塩分・糖分の多いもの・お菓子・甘い飲み物食べてはいけないものではなく量と頻度の問題

早見表の見方|「完全に避ける」と「量・頻度に注意」を分けて考える

表を見て「やっぱりこんなにあるの…」と落ち込まないでくださいね。ここでいちばん大事なのは、「完全に避けたほうがよいもの」はごく一部で、ほとんどは加熱・量・頻度で折り合いがつけられるということです。たとえば生ハムやナチュラルチーズも、加熱して使えば食べられます。魚も「全部ダメ」ではなく、一部の大型魚の量に気をつければよいだけ。「これを食べたらアウト」ではなく「これは加熱して」「これは週にこれくらいまで」というグラデーションで捉えると、ぐっと気持ちが楽になります。

覚えておきたい3つの軸
妊娠中の食べ物選びは、①加熱すれば食べられるか(食中毒対策)②種類と量・頻度を選べばよいか(成分のとりすぎ対策)③そもそも量と頻度の問題か(塩分・糖分など)――この3つの軸で考えると整理しやすくなります。「絶対禁止」はアルコールなどごく一部だけ、と覚えておきましょう。

食中毒・感染症のリスクがある食べ物

妊娠中に避けたい食べ物のなかで、もっとも意識しておきたいのが食中毒・感染症です。妊娠中は免疫のはたらきが変化し、一部の細菌や寄生虫にふだんより感染しやすくなると言われています。とはいえ、ここでも基本は同じ。しっかり加熱すれば食べられるものがほとんどです。代表的な3つを見ていきましょう。

リステリア|ナチュラルチーズ・生ハム・スモークサーモンなど

リステリアは、加熱せずに食べる食品で増えやすい細菌です。妊娠中は感染しやすくなり、まれに赤ちゃんに影響が出ることがあると言われているため、次のような加熱しないまま食べる食品は注意したいグループです。

具体的には、ナチュラルチーズ(加熱殺菌されていないもの)・生ハム・スモークサーモン・肉や魚のパテやテリーヌなど。リステリアは冷蔵庫の中でもゆっくり増えると言われているので、「冷蔵していたから安心」とは考えないでおきましょう。ただし、これらも十分に加熱すれば食べられます。チーズならピザやグラタンに、生ハムなら火を通して料理に使えば大丈夫。プロセスチーズ(加熱殺菌された一般的なチーズ)はそのまま食べても問題ないとされています。

参考 リステリアによる食中毒厚生労働省

トキソプラズマ|生肉・加熱不足の肉

トキソプラズマは、生肉や加熱が不十分なお肉から感染することがある寄生虫です。妊娠中に初めて感染すると、まれに赤ちゃんに影響することがあると言われています。レアステーキ・生肉・加熱不足のジビエ(鹿・猪など)、そして前述の生ハムも、このリスクの対象になります。

対策はシンプルで、お肉は中心部までしっかり火を通すこと。また、土に触れる作業(ガーデニング)や猫のトイレ掃除のあとは手を洗う、生肉を切ったまな板・包丁はよく洗う、といった衛生面の工夫もあわせて意識しておくと安心です。生野菜もよく洗ってから食べましょう。

サルモネラ・腸炎ビブリオなど|生卵・刺身

生卵・半熟卵・自家製マヨネーズ・ティラミスなどの生卵を使った料理はサルモネラ、刺身や生牡蠣などの生魚介は腸炎ビブリオやノロウイルスなどの食中毒リスクがあります。これらも「絶対に食べてはいけない」というより、食中毒のリスクと加熱の話として中立に捉えてください。

卵はしっかり火を通せば安心して食べられますし、新鮮なものを選ぶ・冷蔵保存する・期限を守るといった基本を押さえれば過度に怖がる必要はありません。刺身などの生魚については、次の「水銀」の項ともあわせて、種類と鮮度・量で考えていきましょう。

参考 食中毒に関する情報:妊産婦の方への情報提供について厚生労働省

水銀に注意したい魚【「食べてはいけない」ではなく種類と量】

「妊娠中は魚を食べちゃダメ」と思っている方がときどきいらっしゃいますが、それは誤解です。魚はDHAや良質なたんぱく質を含む大切な栄養源で、避けすぎるほうがもったいないくらい。注意したいのは一部の大型魚に含まれる水銀で、これも「種類と量・頻度を選べばよい」という話です。

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量と頻度に気をつけたい魚

厚生労働省は、妊娠中に食べる量や頻度に気をつけたい魚として、キンメダイ・メカジキ・クロマグロ(本マグロ)・メバチマグロ・クジラなどを挙げています。これらは食物連鎖のなかで水銀が比較的たまりやすいとされる魚です。具体的にどれくらいを目安にすればよいかは、魚の種類ごとに「週に○切れまで」といった目安が示されています。詳しい量の目安は、下の厚生労働省の資料で確認できますので、気になる方はチェックしてみてください。

ここでも大事なのは、「これらを一度食べたから赤ちゃんに影響が出る」というものではないということ。あくまで毎日のように大量に食べ続けないようにする、という量と頻度の話として受け止めてくださいね。

参考 妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項厚生労働省

安心して食べやすい魚|むしろ積極的にとりたい

一方で、サケ・アジ・イワシ・サバ・サンマ・ブリ・カツオ・タイ・ツナ缶(キハダ・ビンナガ)などは、水銀の心配がほとんどなく、安心して食べやすい魚とされています。これらはDHAなどの栄養も豊富。「魚を避ける」のではなく「種類を選んで楽しむ」という発想に切り替えると、妊娠中の食事がぐっと豊かになります。

魚を含めた妊娠前からの食事の基本については、妊活期の食事の記事でも詳しく整理しています。「そもそもどんな栄養をとればいいの?」という方は、あわせて読んでみてくださいね。

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ビタミンAのとりすぎに注意したい食べ物【レバー・うなぎ】

もうひとつ、妊娠初期にとくに知っておきたいのがビタミンA(レチノール)のとりすぎです。ビタミンA自体は赤ちゃんの発育に必要な栄養ですが、動物性のビタミンA(レチノール)を妊娠初期に大量にとりすぎると、まれに赤ちゃんに影響することがあると言われています。代表的な食品がレバーとうなぎです。

レバー・うなぎ・ビタミンAサプリ

レバー(特に鶏・豚レバー)・うなぎ・あん肝・レバーペースト、そしてビタミンAを多く含むサプリメントは、妊娠初期に毎日のように大量にとるのは避けたいグループです。ただし、ここでも「一切食べてはいけない」ではありません。たまに普通の量を食べる分には、過度に心配する必要はないとされています。「うなぎを一度食べてしまった」と落ち込む必要はまったくありませんよ。

気になるのはサプリのほうかもしれません。ビタミンAサプリや、レバーを原料にした健康食品を妊娠中に追加でとる場合は、含有量を確認し、心配なら医師・薬剤師に相談すると安心です。緑黄色野菜に含まれるβ-カロテン(体内で必要な分だけビタミンAに変わる)は、とりすぎの心配が少ないとされています。

「葉酸」との混同に注意|レバーは葉酸も豊富だけど

ここで少しややこしいのが、レバーは葉酸も豊富だということ。「葉酸は妊娠中に大切」と聞いて、葉酸目的でレバーをたくさん食べようとする方がいますが、それだとビタミンAのとりすぎになってしまいます。葉酸は妊娠中(とくに妊娠初期)に意識してとりたい栄養ですが、レバーで補おうとするのは得策ではありません。葉酸はほうれん草やブロッコリーなどの野菜、そして必要に応じてサプリメントで補うのが基本とされています。

葉酸の具体的なとり方やサプリの選び方については、専用の記事で詳しくまとめています。妊娠初期の方はぜひあわせて読んでみてくださいね。

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カフェインを含む飲み物・食べ物【コーヒー・紅茶・緑茶】

「妊娠中にコーヒーは絶対ダメ?」――これもよくある不安ですよね。結論からいうと、カフェインも「ゼロにしなければいけない」ものではなく、量の問題です。妊娠中は1日のカフェイン量の目安を意識して、その範囲で楽しむ、という考え方が基本になります。

1日のカフェイン量の目安

海外の機関では、妊娠中のカフェインは1日あたりおよそ200mg程度までを目安とする考え方が示されています。200mgは、コーヒーであればおおよそマグカップ1〜2杯分が目安とされます(コーヒーの濃さやカップの大きさによって変わります)。「○杯まで絶対OK」と断定はできませんが、ふだんから何杯も飲んでいた方は、量を意識して減らしてみる、というイメージで大丈夫です。

カフェインそのものの安全性や量の考え方については、食品安全委員会が妊婦さん向けに分かりやすくまとめています。

参考 お母さんになるあなたと周りの人たちへ(食品の安全)内閣府 食品安全委員会

意外とカフェインを含むもの・カフェインレスの選択肢

見落としがちなのが、コーヒー以外にもカフェインを含むものがあること。紅茶・緑茶・ほうじ茶・ウーロン茶・ココア・チョコレート・コーラ・エナジードリンクなどにもカフェインは含まれます。とくにエナジードリンクや栄養ドリンクは量が多いものもあるので注意したいところです。

とはいえ我慢ばかりではつらいので、カフェインレスコーヒー・ノンカフェインのお茶(麦茶・ルイボスティー・たんぽぽ茶・そば茶など)を上手に取り入れてみてください。最近はおいしいカフェインレス商品も増えています。「コーヒーが飲みたい気持ち」を我慢しすぎず、カフェインレスで気分転換する、というのも立派な選択肢ですよ。

アルコールは妊娠中は控える【少量でも避けたい理由】

ここまで「量と頻度の問題」「加熱すれば食べられる」とお伝えしてきましたが、アルコールだけは「妊娠中は控える」が基本です。これは数少ない「できるだけ避けたい」グループになります。

少量でも避けたいと言われる理由

妊娠中にお酒を飲むと、アルコールが胎盤を通して赤ちゃんに届きます。妊娠中の飲酒は、赤ちゃんの発育や発達に影響する胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)につながる可能性があると言われています。「どれくらいなら安全」という明確な量は分かっていないため、妊娠が分かったら、また妊娠の可能性があるときは、飲まないでおくのが基本とされています。怖がらせたいわけではなく、「控えておけば心配いらない」というシンプルな話として受け止めてくださいね。

ノンアルコール飲料・料理酒の考え方

「お酒の雰囲気だけでも楽しみたい」というときは、ノンアルコール飲料(アルコール0.00%表記のもの)を選べば安心です。料理に使うお酒(料理酒・みりん・ワイン)は、しっかり加熱してアルコールを飛ばせば、通常の料理で使う程度なら過度に心配しなくてよいとされています。洋酒入りのお菓子(ラムレーズン・ブランデーケーキなど)は、加熱されていないものはアルコールが残っていることがあるので、気になる場合は避けておくと安心です。

すでに飲んでしまって不安なときは
妊娠に気づく前に少しお酒を飲んでいた、という方も少なくありません。「飲んでしまった=必ず赤ちゃんに異常が出る」というものではありません。過度に自分を責めて抱え込まず、不安なときはかかりつけの産婦人科で相談してみてください。これから控えれば大丈夫、という気持ちで前を向いていきましょう。

そのほか注意したい食べ物【ひじき・生もの・塩分糖分】

ここまでの大きなグループ以外にも、知っておくと安心な食べ物がいくつかあります。どれも「絶対禁止」ではなく、量と頻度・衛生の話として押さえておきましょう。

ひじき(無機ヒ素)|たまに食べる分には心配しすぎない

ひじきには無機ヒ素が比較的多く含まれることが知られています。ただし、これも毎日大量に食べ続けるのでなければ、過度に心配する必要はないとされています。週に何度もどんぶり一杯、というような極端な食べ方を避け、いろいろな食材をバランスよく食べていれば大丈夫。「ひじきの煮物を食べてしまった」と落ち込む必要はまったくありませんよ。

生もの全般|食中毒の観点から

刺身・生牡蠣・ユッケ・生レバーなどの生ものは、これまで触れてきた食中毒(リステリア・腸炎ビブリオ・ノロウイルスなど)の観点から、妊娠中は少し慎重になりたいグループです。「絶対に食べてはいけない」というより、鮮度のよいものを選ぶ・信頼できるお店で・体調のよいときに・量はほどほどにと、リスクを下げる工夫をしながら付き合うイメージです。心配な方は加熱したものを選べば安心です。

塩分・糖分のとりすぎ|妊娠期の体の変化と

意外と見落としがちなのが塩分・糖分のとりすぎです。妊娠中は妊娠高血圧症候群妊娠糖尿病といった、血圧や血糖に関わる変化が起こることがあります。塩分・糖分の多い食事は、これらと関わると言われているため、味つけは薄めを意識する・甘い飲み物やお菓子は量と頻度を決めるといった工夫が役立ちます。これも「○○を食べてはいけない」ではなく、毎日の積み重ね=量と頻度の話として捉えてくださいね。

食べてはいけない野菜はある?

「妊娠中 食べてはいけない野菜」と検索して、不安になっている方も多いかもしれません。結論からお伝えすると、基本的に、妊娠中に食べてはいけない野菜はありません。むしろ野菜は、葉酸・ビタミン・食物繊維など妊娠中にうれしい栄養がたっぷり。安心してたくさん食べてくださいね。

基本的に野菜は食べてよい

「この野菜は流産する」「妊娠中は◯◯を食べてはいけない」といった話がインターネット上で見かけられることがありますが、特定の野菜が妊娠に悪影響を及ぼすという確かな根拠は、基本的にありません。野菜は妊娠中の強い味方。色の濃い野菜(緑黄色野菜)も淡色野菜も、バランスよく取り入れていきましょう。

あえて注意点を挙げるなら|洗浄と食べ過ぎ

あえて注意点を挙げるとすれば、ひとつは生野菜の洗浄です。前述のトキソプラズマや食中毒の観点から、生で食べる野菜・カット野菜・サラダはよく洗って食べると安心です。もうひとつは、ごく一部の野菜を極端に大量に食べ続けるようなケース。どんな食材も「そればかり大量に」は栄養が偏るので、いろいろな野菜をまんべんなくが基本です。普通に食卓で食べる量であれば、神経質になる必要はありませんよ。

食べてはいけない果物はある?

果物についても「妊娠中に食べてはいけない果物がある」という噂を目にして不安になる方がいます。こちらも結論は同じで、基本的に、妊娠中に食べてはいけない果物はありません。果物はビタミンや葉酸、食物繊維を含む大切な栄養源です。

基本的に果物は食べてよい・むしろ栄養源

果物は、ビタミンC・葉酸・カリウム・食物繊維などを含み、つわりで食欲がないときにも口にしやすい食べ物です。「果物を食べてはいけない」と避けてしまうのは、むしろもったいないこと。旬の果物を適量、楽しんで大丈夫ですよ。

「パイナップルやパパイヤで流産」などの噂について

「パイナップルやパパイヤを食べると流産する」といった噂を聞いたことがあるかもしれません。これらは科学的な根拠が確立しているわけではなく、通常の食事で食べる程度の量で心配しすぎる必要はないとされています。煽る情報に振り回されず、落ち着いて受け止めてくださいね。気になる方は、食べ慣れない海外の果物を一度に大量に、ということだけ避けておけば十分です。

量には少し注意|果物の糖分

ただし、果物にも果糖(糖分)は含まれます。「体にいいから」とジュースにして大量に飲んだり、一度にたくさん食べ続けたりすると、糖分のとりすぎにつながることがあります。とくに妊娠糖尿病が気になる方や、体重管理を意識している方は、量をほどほどに。果物は「適量を楽しむ」のが、いちばんおいしくて安心な食べ方です。

食べてはいけないお菓子・甘いものはある?

「妊娠中 食べてはいけないお菓子」が気になる方へ。基本的に「これは絶対に食べてはいけない」というお菓子はほとんどありません。ただし、原材料に注意したいものと、量・頻度に気をつけたいものがあります。

注意したい成分が入ったお菓子

お菓子のなかで気をつけたいのは、これまで触れてきた成分が入っているものです。具体的には、洋酒入りのお菓子(ラムレーズン・ブランデーケーキ・ウイスキーボンボンなど)=アルコールカフェインを多く含むチョコレート(とくに高カカオ・大量に食べる場合)=カフェイン加熱殺菌されていないナチュラルチーズを使った生チーズケーキやティラミス(生卵使用のもの)=リステリア・サルモネラなどです。とはいえ、いずれも「ひとくち食べたら大変」というものではなく、原材料を確認して、気になるものは控えるくらいの感覚で大丈夫です。

糖分・カロリーのとりすぎ|我慢しすぎなくていい

お菓子で本当に気をつけたいのは、特定の商品というより糖分・カロリーのとりすぎです。前述のとおり、妊娠中は体重管理や妊娠糖尿病の観点から、甘いものの量と頻度を意識したいところ。とはいえ、我慢しすぎてストレスをためるのも考えもの。「毎日たくさん」を「少しだけ楽しむ」に切り替える、果物やヨーグルトで甘いものの欲求を満たす、といった工夫で、上手に付き合っていきましょう。

うっかり食べてしまったときの考え方

ここまで読んで、「あれ、私もう食べちゃったかも…」と不安になった方もいるかもしれません。だからこそ、いちばんお伝えしたいことがあります。一度うっかり食べてしまったからといって、過度に心配する必要はありません。

一度の少量で、過度に心配しなくていい

妊娠中の食べ物のリスクは、ほとんどが「量と頻度」「確率」の問題です。「一度・少量食べた=必ず赤ちゃんに異常が出る」というものではありません。生ハムを少し食べた、コーヒーを飲みすぎた日があった、うなぎを食べた――そうしたことの多くは、問題なく経過すると言われています。「やってしまった」と自分を責め続けるより、今日から気をつければ大丈夫、と気持ちを切り替えてくださいね。

心配な症状があるときは自己判断せず相談を

もし、食べたあとに発熱・激しい下痢・嘔吐・強い腹痛などの体調の変化があるときは、食中毒などの可能性もあります。その場合は自己判断せず、かかりつけの産婦人科に連絡・相談してください。市販の薬を自己判断で飲むのは避け、まず医療機関に相談を。何もなければ、それで安心できますし、早めの相談がいちばんの安心材料になります。

うっかり食べてしまったときの目安
一度の少量で、過度に心配しなくて大丈夫です。ただし、発熱・激しい下痢・嘔吐・強い腹痛など体調の異変があるときは、自己判断で市販薬を飲んだりせず、必ずかかりつけの産婦人科に相談してください。「これくらいで連絡していいのかな」と遠慮しなくて大丈夫。不安なときに頼れるのが、かかりつけ医です。

自分を責めない・神経質になりすぎない

妊娠中は、ただでさえ心も体も揺れやすい時期。そこに「あれもダメ、これもダメ」と完璧を求めすぎると、食事が苦痛になってしまいます。食事は本来、楽しいもの。大きなリスクのあるものだけ知っておいて、あとは「だいたい大丈夫」と大らかに構える――それくらいのバランスが、ママの心の健康にも、赤ちゃんにとっても、きっといちばんいいはずです。

俗説の正しい受け止め方【自閉症・頭が良くなる食べ物】

妊娠中の食べ物については、不安をあおる噂や、逆に「これを食べれば賢い子に」といった期待をあおる情報も流れています。最後に、よく検索される2つの俗説について、中立に整理しておきますね。

「妊娠中の食べ物で自閉症・発達障害になる」について

「妊娠中に◯◯を食べると自閉症になる」といった情報を見て、不安になった方もいるかもしれません。けれども、特定の食べ物を食べたことで自閉症や発達障害になる、という確かな科学的根拠は確立していません。自閉スペクトラム症などの発達の特性は、さまざまな要因が複雑に関わると考えられており、妊娠中の特定の食べ物だけで決まるものではないとされています。煽る情報に過度に振り回されず、「食べ物のせいだ」と自分を責めないでくださいね。バランスのよい食事を心がけていれば十分です。

「これを食べれば頭が良くなる」について

反対に、「妊娠中にこれを食べると赤ちゃんの頭が良くなる」という情報もよく見かけます。気持ちはとてもよく分かりますが、こちらも特定の食品で赤ちゃんの知能が決まる、という根拠が確立しているわけではありません。DHAなどが注目されることはありますが、「これさえ食べれば」と特定の食品を万能視するのではなく、いろいろな食材をバランスよく食べることが基本です。特定の食べ物に過度な期待もプレッシャーも感じず、おいしく楽しく食べることを大切にしてください。

私が2人の妊娠で、食べ物とどう折り合いをつけたか

妊娠中の食事とおだやかに向き合う女性のイメージ|ちなみの体験談

最後に、私自身の話を少しだけ。私は2人の子を妊娠・出産しましたが、どちらのときも食べ物には毎日のように気をつかいました。もともとお刺身が大好きで、妊娠が分かったときは「しばらくお預けかぁ」と少しさみしかったのを覚えています。でも、「火を通したお魚はおいしく食べられる」と気づいてからは、煮魚や焼き魚を楽しむようにして、自分なりに折り合いをつけていきました。

コーヒーも大好きだったので、いきなりゼロにするのはつらくて、カフェインレスコーヒーに少しずつ置き換えたり、1日の杯数を減らしたりと、無理のない範囲で調整しました。「完璧にやらなきゃ」と気負っていた時期もありましたが、看護師としての知識をふり返って「リスクが高いものだけしっかり避ければ、あとは大らかでいい」と思えてから、ずいぶん気持ちが楽になりました。

そして、これは正直にお伝えしたいのですが、1人目と2人目では、気になるものも、食べられるものも違いました。つわりの出方も食の好みも、その時々で変わるんですよね。だから「私はこうしたから、あなたもこうすべき」とは言えません。感じ方も体質も人それぞれ。この記事も、ひとつの参考材料として受け取っていただいて、最終的にはあなたとあなたの赤ちゃんのペースで、無理なく付き合っていってもらえたらうれしいです。

まとめ|知れば、こわくない

妊娠中の食べ物・この記事のポイント
  • 避けたい食べ物の多くは「食中毒・感染症」と「特定の成分のとりすぎ」が理由。リスクの理由で整理すると分かりやすい
  • 多くは「加熱すれば食べられる」「種類・量・頻度を選べばよい」。完全に避けたいのはアルコールなどごく一部
  • 野菜・果物・お菓子に「絶対に食べてはいけないもの」はほとんどなく、量と頻度・衛生の話
  • 一度の少量で過度に心配しなくてよい。体調の異変があるときは自己判断せず産婦人科へ
  • 「自閉症」「頭が良くなる」などの俗説は根拠が確立しておらず、バランスのよい食事が基本

妊娠中の食べ物は、「あれもダメ、これもダメ」と身構えるとどんどん苦しくなってしまいます。でも、なぜ避けたいのか(リスクの理由)を知れば、こわがりすぎず、落ち着いて選べるようになります。大切なのは、完璧を目指すことではなく、大きなリスクだけ知っておいて、あとは食事を楽しむこと。不安なときは、ひとりで抱え込まずに、かかりつけの産婦人科に相談してくださいね。あなたの妊娠期間が、おいしくて穏やかなものになりますように。

「じゃあ反対に、妊娠中に積極的に食べたほうがいいものは?」「つわりで思うように食べられないときは?」という方は、関連記事もあわせてご覧ください。

「食べてはいけないものが分かった、じゃあ積極的に食べたいものは何?」という疑問にお答えする姉妹記事もあります。葉酸・鉄・DHA・タンパク質・カルシウムなど妊娠中に特に意識したい栄養素と、スーパーで選びやすい食材を元看護師ちなみが栄養素別にまとめました。両方あわせると妊娠中の食事の全体像が見えますよ。

参考 母子保健・不妊症・不育症などこども家庭庁

よくある質問(妊娠中の食べ物|FAQ)

Q妊娠中に食べてはいけないものは何ですか?

A.「絶対に食べてはいけない」ものは多くありません。注意したいのは、食中毒・感染症のリスクがあるもの(ナチュラルチーズ・生ハム・生肉・刺身・生卵など)水銀に注意したい一部の大型魚(マグロ・メカジキ・キンメダイなど)ビタミンAのとりすぎになりやすいもの(レバー・うなぎ)カフェイン、そしてアルコールです。多くは加熱すれば食べられたり、種類・量・頻度を選べば問題ありません。完全に控えたいのはアルコールなどごく一部です。

Qチーズは食べていいですか?

A.一般的に売られているプロセスチーズ(加熱殺菌されたもの)はそのまま食べても問題ないとされています。注意したいのは加熱殺菌されていないナチュラルチーズで、リステリアのリスクがあるため、そのまま食べるのは避けたいグループです。ただし、ピザやグラタンなどしっかり加熱して使えば食べられます。パッケージの表示を確認してみてください。

Qカフェインはどれくらいまで大丈夫ですか?

A.妊娠中は1日あたりおよそ200mg程度までを目安とする考え方が示されています。これはコーヒーであればおおよそマグカップ1〜2杯分が目安です(濃さやカップの大きさで変わります)。コーヒー以外に紅茶・緑茶・ココア・チョコ・エナジードリンクにもカフェインは含まれます。我慢がつらいときは、カフェインレスコーヒーやノンカフェインのお茶を取り入れるのもおすすめです。

Qうっかり食べてしまったらどうすればいいですか?

A.一度・少量食べただけで、過度に心配する必要はありません。妊娠中の食べ物のリスクは「量と頻度」の問題で、多くは問題なく経過すると言われています。今日から気をつければ大丈夫、と気持ちを切り替えてください。ただし、食べたあとに発熱・激しい下痢・嘔吐・強い腹痛などの体調の変化があるときは、自己判断で市販薬を飲んだりせず、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。

Q生魚・刺身は食べてはいけませんか?

A.「絶対に食べてはいけない」というより、食中毒(リステリア・腸炎ビブリオなど)と、一部の大型魚の水銀という2つの観点から、量と種類・鮮度に気をつけたい食べ物です。新鮮なものを信頼できるお店で、体調のよいときに、量はほどほどに。心配な方は加熱した魚を選べば安心です。魚自体はDHAなどを含む大切な栄養源なので、避けすぎる必要はありません。

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