妊婦健診で「羊水が少し少なめですね」「羊水過少気味です」と言われて、検索窓に「羊水過少」と打ち込みながら、不安な気持ちでこのページにたどり着いた方もいらっしゃると思います。羊水過多と違っておなかの変化にも気づきにくく、「何がいけなかったんだろう」と自分を責めてしまう方も少なくありません。
はじめまして、ちなみです。元看護師として病院勤務を経験し、現在は妊活・妊娠・子育てを中心に情報発信している男女2児のママです。この記事では、羊水過少とはどういう状態なのか、診断基準、時期によって変わる原因、気づきにくい症状、赤ちゃんへの影響、羊水過多との違い、診断されたあとの流れまで、順を追って解説します。
ちなみ(元看護師)
羊水過少とは?羊水の量が基準より少ない状態
診断基準は「羊水インデックス(AFI)5cm未満」または「羊水ポケット2cm未満」
羊水過少とは、赤ちゃんを包む羊水の量が基準よりも少ない状態のことです。超音波検査では、母体の腹部を4か所に分けてそれぞれの羊水の深さを測り合計する「羊水インデックス(AFI)」と、羊水がもっとも深く見える一か所を測る「羊水ポケット(最大垂直深度)」という2つの方法で評価されます。一般に、AFIが5cm未満、または羊水ポケットが2cm未満の場合に羊水過少と判断されます。健診のたびに測定される項目の一つで、「少なめですね」と言われた場合は、この基準に沿って判断されていると考えてよいでしょう。
羊水のほとんどは赤ちゃんの尿からつくられている
羊水は、妊娠初期は主に母体の血液成分が羊膜を通してしみ出すことで作られますが、妊娠中期以降になると、赤ちゃんが尿として羊水腔に出す量が中心になっていきます。赤ちゃんは羊水を飲み込み、尿として排出することを繰り返しながら、羊水の量を一定に保つ役割の一端を担っています。そのため、赤ちゃんの腎臓や尿路に何らかの問題があったり、逆に胎盤からの栄養や酸素の供給がうまくいかず尿量が減ったりすると、羊水の量にも影響が出てくることがあります。
原因は?妊娠の時期によって傾向が変わる
妊娠中期に多いのは赤ちゃん側の要因
妊娠中期は、羊水のもとが母体由来から赤ちゃんの尿中心へと切り替わっていく時期にあたります。この時期の羊水過少は、赤ちゃんの腎臓がうまく作られていない(腎無形成・無機能腎)、尿の通り道がふさがっている(閉塞性尿路障害)といった、赤ちゃん側の先天的な要因が比較的早くから関わっていることがあります。あわせて、胎児の染色体異常や、赤ちゃんの発育が週数相当より小さい状態(胎児発育不全)が関係していることもあります。
妊娠後期に多いのは母体・胎盤側の要因
妊娠後期になると、母体の妊娠高血圧症候群(胎盤機能不全を伴うもの)、胎盤の血流が悪くなること、予定日を過ぎても生まれない過期妊娠などが、羊水過少の原因として増えてきます。母体の血流や胎盤の働きが低下すると、赤ちゃんへ届く栄養や酸素が減り、赤ちゃんの尿量そのものが少なくなることで、結果的に羊水量も減っていくと考えられています。妊娠高血圧症候群について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
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破水による羊水の流出も見逃せない原因
妊娠後期に急に羊水が減ったように見える場合は、破水によって羊水が外に流れ出てしまっている可能性がまず疑われます。自分では「おりものが少し多いだけ」と感じていても、実際には少しずつ羊水が漏れ出ていた、というケースもあります。破水の症状や見分け方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
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- 赤ちゃん側:腎臓・尿路の先天的な異常、染色体異常、胎児発育不全
- 母体・胎盤側:妊娠高血圧症候群、胎盤機能不全、過期妊娠
- 破水による羊水の流出
- 特発性(原因がはっきりしないケースもある)
これらはあくまで「関連すると言われている」要因であり、当てはまることがあっても、必ずしも赤ちゃんに重い問題があるとは限りません。「自分の生活のどこかがいけなかったのでは」と自分を責める必要はありません。

症状は?「気づきにくい」のが最大の特徴
羊水過多では、おなかが張りやすくなったり、急に大きくなったと感じたりすることがありますが、羊水過少は、母体側にはっきりした自覚症状が出にくいという特徴があります。強いて挙げるなら、いつもより胎動を感じにくくなったと感じることがある程度で、多くの場合は妊婦健診の超音波検査で「羊水が少なめですね」と指摘されて初めて気づく、というケースがほとんどです。
だからこそ、「症状がないから大丈夫」と自己判断せず、指定された健診をきちんと受けることが、赤ちゃんの状態を早めに把握するための一番の方法になります。胎動がいつもと違う、極端に少ないと感じるときは、次の健診を待たずに産院へ連絡して問題ありません。
赤ちゃんへの影響・リスクは?時期によって注意点が異なる
妊娠中期に起こる羊水過少の影響
妊娠中期という早い時期に羊水過少が続くと、赤ちゃんの肺や胸郭がうまく育ちにくくなったり、羊水という「クッション」が少ないことで関節が硬くなったり(関節拘縮)、特徴的な顔つき(Potter顔貌)がみられたりすることがあると言われています。生まれたあとに呼吸の面でサポートが必要になるケースもあるため、この時期に羊水過少がわかった場合は、より慎重な経過観察が行われます。
妊娠後期に起こる羊水過少の影響
妊娠後期の羊水過少では、羊水腔が狭くなることで、へその緒(臍帯)や胎盤が圧迫されやすくなり、赤ちゃんへの血流や酸素の供給が一時的に不安定になる「胎児機能不全」につながる可能性が指摘されています。そのため、後期に羊水過少がわかった場合は、赤ちゃんの心拍やお腹の張りをみるノンストレステスト(NST)や超音波検査を通じて、赤ちゃんが元気に過ごせているかを、より頻回に確認していくことになります。
参考 羊水が少ないといわれましたが公益社団法人 日本産婦人科医会
「羊水過多」との違いは?正反対の状態
「羊水過少」と似た言葉に「羊水過多」があります。名前の通り、羊水過多は羊水の量が基準より多い状態で、羊水過少とは正反対にあたります。羊水過多は羊水インデックス(AFI)が25cm以上、または羊水ポケットが8cm以上の場合を指し、原因としては母体の妊娠糖尿病がもっとも多いとされています。同じ「羊水の量の異常」でも、多いのか少ないのかによって、疑われる原因も経過の見方も変わってきます。羊水過多について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
羊水過多とは?原因・症状・ダウン症との関係から治療法まで元看護師が解説
「水分をたくさん摂ると増える」って本当?
「羊水過少 改善」「羊水を増やす方法」と検索して、水分摂取について調べている方も多いのではないでしょうか。母体がしっかり水分を摂ることは体調管理として大切なことですが、水分摂取だけで羊水量が確実に増えるという医学的な根拠は、現時点でははっきりと確立されていません。普段よりも極端に多くの水分を摂ることを自己判断で行うのではなく、気になる場合は、水分の摂り方も含めて担当医に相談することをおすすめします。

診断されたらどうなる?基本は経過観察
超音波・NSTでの定期的なモニタリングが中心
羊水過少と診断された場合、多くは超音波検査で羊水量や赤ちゃんの発育を確認しながら、ノンストレステスト(NST)などで赤ちゃんの元気さを定期的にチェックしていく、経過観察が基本になります。原因として妊娠高血圧症候群や胎盤機能の低下が疑われる場合は、あわせてそちらの管理も並行して行われます。
状態によっては入院・分娩のタイミングの検討も
羊水が少ない状態が続く場合や、赤ちゃんの状態に注意が必要と判断された場合には、経過をより近くで見るために管理入院となったり、分娩の時期を前倒しして計画的に誘発分娩を行ったりすることが検討される場合があります。入院が必要になった際は、契約している医療保険の入院給付金の対象になることもあるため、気になる方は加入している保険会社に確認しておくと安心です。
「無事出産できた」という声も多いことも知っておいてほしい
「羊水過少 無事出産」と検索する方が多いことからもわかるように、羊水過少と診断されても、健診での経過観察を経て、無事に出産を迎える方はたくさんいらっしゃいます。診断名を聞くと不安な気持ちが先に立ってしまうかもしれませんが、羊水過少はあくまで「赤ちゃんの状態を知るための手がかりの一つ」であり、それ自体が即座に悪い結果につながるわけではありません。指定された健診をきちんと受けながら、担当医と一緒に赤ちゃんの様子を見守っていくことが、今できる一番の対応になります。
ちなみから|羊水は「量」より「経過」が大切なサイン
少しだけ、看護師時代の経験をお話しさせてください。産科外来で「羊水が少し少なめですね」と伝えると、「私の水分の摂り方が悪かったんでしょうか」と、ご自身を責めてしまう方によく出会いました。でも実際には、原因がはっきりしないケースも多く、健診でこまめに様子を見ながら、そのまま順調に出産を迎える方がほとんどでした。
羊水の量は、赤ちゃんの状態を教えてくれる大切なサインの一つです。「多い」と言われても「少ない」と言われても、それ自体が即座に悪い結果を意味するわけではありません。不安なときほど、一人で抱え込まず、健診で遠慮なく質問してくださいね。
ちなみ(元看護師)

まとめ|羊水過少は「経過観察」を続けながら見守るもの
- 羊水過少とは、羊水インデックス(AFI)5cm未満、または羊水ポケット2cm未満の状態。
- 妊娠中期は赤ちゃん側(腎臓・尿路など)の要因、妊娠後期は母体・胎盤側(妊娠高血圧症候群・過期妊娠など)や破水が原因になりやすい。
- 母体側の自覚症状は乏しく、健診の超音波検査で偶然見つかることがほとんど。
- 赤ちゃんへの影響は時期によって異なり、中期は肺や関節、後期は臍帯・胎盤の圧迫に注意が必要。
- 羊水過多は正反対の状態で、原因の傾向も異なる。
- 基本は超音波・NSTでの経過観察。状態によっては入院や分娩誘発が検討されることもあるが、無事出産に至るケースも多い。
羊水過少という言葉を知ると、不安な気持ちが大きくなるかもしれません。ですが、多くは経過観察の中で赤ちゃんの元気さを確認しながら、出産を迎えていく状態です。健診を大切にしながら、気になることは遠慮せず担当医に相談してくださいね。
よくある質問(羊水過少|FAQ)
Q羊水過少はどんな基準で診断されますか?
A.超音波検査で測定する羊水インデックス(AFI)が5cm未満、または羊水ポケットが2cm未満の場合に羊水過少と判断されます。健診のたびに測定される項目の一つです。
Q羊水過少にはどんな原因がありますか?
A.妊娠中期は赤ちゃんの腎臓・尿路の異常や染色体異常などが、妊娠後期は母体の妊娠高血圧症候群や胎盤機能の低下、過期妊娠、破水などが原因になりやすいとされています。原因がはっきりしないケースもあります。
Q羊水過少に自覚症状はありますか?
A.母体側にはっきりした自覚症状が出ることは少なく、いつもより胎動を感じにくいと感じる程度です。多くは健診の超音波検査で指摘されて気づきます。
Q羊水過少と羊水過多の違いは何ですか?
A.羊水過少は羊水が基準より少ない状態(AFI5cm未満)、羊水過多は逆に多い状態(AFI25cm以上)で、正反対の状態です。原因の傾向もそれぞれ異なります。
Q羊水過少と診断されたら、必ず入院になりますか?
A.多くは超音波検査やノンストレステストでの経過観察が中心で、必ず入院になるわけではありません。状態によっては、より近くで様子を見るための管理入院や、分娩時期の検討が行われることもあります。
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