「お腹が痛くなったり治まったりを繰り返している……これって前駆陣痛?それとも本当の陣痛?」臨月に入り、これまでと違うお腹の痛みや張りにドキドキしながら「前駆陣痛」と検索窓に打ち込んでいる方も多いのではないでしょうか。特に初めての出産だと、どのタイミングで病院に連絡すればいいのか分からず、不安になってしまいますよね。
はじめまして、ちなみです。元看護師として産科病棟に勤務した経験があり、現在は妊活・妊娠・子育てを中心に情報発信している男女2児のママです。この記事では、前駆陣痛とはどんな痛みなのか、本陣痛との違い、いつから始まるのか、そして病院へ連絡するタイミングまで、順を追って解説します。
ちなみ(元看護師)
前駆陣痛とは?本陣痛の前に起こる「準備の痛み」
子宮が本格的な陣痛に向けて準備を始めるサイン
前駆陣痛とは、出産が近づく妊娠後期から臨月にかけて、子宮が不規則に収縮することで起こるお腹の張りや痛みのことです。医学的な「陣痛」そのものではなく、本格的な陣痛(分娩陣痛、いわゆる本陣痛)が始まる前段階の症状として位置づけられており、「仮性陣痛」と呼ばれることもあります。日本産婦人科医会も、妊娠末期に起こりうる腹痛の一つとして陣痛と並べて前駆陣痛の名前を挙げており、決して珍しい現象や異常なものではありません。
参考 (1)妊娠末期に起こり得る症状公益社団法人 日本産婦人科医会
「陣痛」の定義はおよそ10分間隔の規則的な収縮
国立成育医療研究センターによると、陣痛とは「赤ちゃんを外に押し出そうと子宮が収縮するときに起こる痛み」で、およそ10分間隔で規則的に起こるようになった時点を陣痛の開始としています。つまり、痛みや張りがあっても間隔が不規則でバラバラな段階は、医学的な意味での「陣痛」にはまだ至っておらず、前駆陣痛として扱われることが多いといえます。
前駆陣痛が進んだあと、本陣痛の前後で「破水」が起こることもあります。破水の色・匂い・量からの見分け方や、破水したらすぐにすべきことをまとめた記事もあわせてご覧ください。
破水とは?どんな感じ?色・匂いの見分け方から高位破水・前期破水、破水したらすべきことまで元看護師が解説
前駆陣痛と合わせて、出産が近づくサインには「おしるし」もあります。おしるしの色・量の目安や、陣痛までの期間についてまとめた記事もあわせてご覧ください。
おしるしとは?色・量の目安から陣痛までの期間を元看護師が解説
前駆陣痛のあとに始まる本格的な「陣痛」そのものについて、間隔の測り方や痛みの強さの変化、病院へ連絡するタイミングをまとめた記事もあわせてご覧ください。
陣痛とは?間隔・痛みの強さ・病院へ行くタイミングを元看護師が解説
参考 おしるし、破水、陣痛について国立成育医療研究センター 産科
いつから始まる?多くは妊娠37週以降・臨月に起こる
個人差が大きく、始まる時期は人それぞれ
前駆陣痛がいつから始まるかについては、「妊娠◯週から」と一律に決まっているわけではありません。妊娠37週(臨月)以降に感じ始める方が多い一方で、出産直前までそれらしい症状をほとんど感じない方もいれば、臨月に入るとほぼ毎日のように張りや痛みを感じる方もいます。経産婦(2人目以降の出産)の方が早い時期から、あるいは頻繁に感じやすいとも言われることがありますが、これも個人差の範囲内で、必ずそうなるというものではありません。
妊娠37週未満で同じような症状があるときは要注意(切迫早産との違い)
ここで一つだけ、必ず知っておいていただきたいことがあります。「前駆陣痛」という言葉が当てはまるのは、あくまで妊娠37週以降・正期産に入ってからの症状です。もし妊娠37週より前に、規則的なお腹の張りや痛みが繰り返し起こる場合は、「前駆陣痛」ではなく「切迫早産」のサインである可能性があります。切迫早産は早めの対応が必要になることもあるため、週数が早い時期に気になる張りや痛みが続くときは、自己判断せず産院に連絡してください。切迫早産について詳しく知りたい方はこちらもあわせてご覧ください。
切迫早産とは?症状・原因・なりやすい人の特徴から入院期間まで元看護師が解説
前駆陣痛と本陣痛の違い|見分け方のポイント
「今の痛みが前駆陣痛なのか本陣痛なのか分からない」という声はとても多く聞かれます。次の3つのポイントで、ある程度見分けることができます。
間隔が不規則で、痛みの強さもバラバラ
本陣痛は、痛みの間隔が徐々に規則的になり、時間とともに短くなっていくのが特徴です。一方、前駆陣痛は痛みの間隔がバラバラで、10分おきに来たかと思えば次は30分以上あく、といったように規則性がありません。痛みの強さも、強くなったり弱くなったりと波にムラがあることが多いです。
姿勢を変えたり、休んだりすると治まることが多い
前駆陣痛は、横になって休んだり、体の向きを変えたり、お風呂に入って体を温めたりすることで、痛みが軽くなったり治まったりすることが多いとされています。反対に本陣痛は、姿勢を変えても痛みが治まらず、むしろ動いても休んでも徐々に強くなっていくという違いがあります。
痛みが規則的・短い間隔になってきたら本陣痛のサイン
痛みの間隔がだんだん短く、規則的になってきて、休んでいても治まらない場合は、本陣痛に移行しているサインと考えられます。国立成育医療研究センターの案内では、初産婦は10分おきの陣痛になったとき、経産婦は10分〜15分おきの陣痛になったときが、病院へ連絡する目安とされています。
- 間隔:前駆陣痛=不規則でバラバラ / 本陣痛=だんだん規則的・短くなっていく
- 痛みの強さ:前駆陣痛=強くなったり弱くなったりする / 本陣痛=時間とともに強くなる
- 安静にしたときの変化:前駆陣痛=軽くなる・治まることが多い / 本陣痛=治まらない
- 痛みの持続:前駆陣痛=短時間で引くことが多い / 本陣痛=1回の収縮時間が徐々に長くなる
※あくまで一般的な目安です。実際の感じ方には個人差が大きいため、迷ったときは自己判断せず産院に相談してください。
前駆陣痛はどんな痛み?どこが痛い?
生理痛のような下腹部の痛み・張り
前駆陣痛の痛み方として最も多く聞かれるのが「生理痛のような鈍い痛み」です。下腹部全体がキュッと締め付けられるような、生理前後に感じる痛みに似た感覚と表現されることがよくあります。人によっては「お腹が張って硬くなる」「ズーンとした重い痛み」と感じることもあり、表現の仕方はさまざまです。
腰やお尻のあたりが痛むことも
下腹部だけでなく、腰や骨盤の後ろ側、お尻のあたりに痛みや重だるさを感じる方も少なくありません。臨月になると赤ちゃんの位置が下がり、骨盤にかかる圧力が増えることも関係していると考えられます。腰の痛みが続いてつらい場合は、体を締め付けない服装で過ごし、無理のない範囲で姿勢を変えてみてください。
「ずっと痛い」「痛みが引かない」と感じるときは
前駆陣痛は本来、痛みが波のように来ては引く(間欠的に起こる)のが特徴ですが、痛みの波が長く続いたり、なかなか完全に治まらないように感じたりすることもあります。少し休んでも一向に楽にならない、痛みが増していく一方だと感じる場合は、前駆陣痛の範囲を超えている可能性もあります。我慢せず産院に連絡して、状況を相談してみましょう。

臨月のお腹の張りとの関係
臨月に入ると、前駆陣痛以外にも「お腹が張る」感覚を頻繁に感じるようになります。実はこの「張り」と「前駆陣痛」は明確に線引きできるものではなく、連続した現象として起こることも多いです。お腹全体がカチカチに硬くなる感覚が続くようであれば、それも前駆陣痛の一つの現れ方と考えて差し支えありません。お腹の張りそのものについて時期別に詳しく知りたい方はこちらもあわせてご覧ください。
妊娠中のお腹の張りはなぜ起こる?時期別の原因と対処法、危険なサインの見分け方を元看護師が解説
おしるしとの関係|前駆陣痛と一緒に起こることも
おしるしとは、卵膜と子宮の壁が少しずつはがれることで起こる出血のことで、出産が近づいているサインの一つです。国立成育医療研究センターによると、おしるしの量は「生理のピーク時くらいまでの量であれば正常の範囲」とされており、前駆陣痛と同じタイミングで起こることもあれば、おしるしがあってから実際の陣痛が始まるまで数日かかることもあります。
一方で、生理2日目より明らかに多い出血や、鮮やかな赤い出血が続く場合は、おしるしの範囲を超えている可能性があるため、様子を見ずに早めに産院へ連絡してください。
前駆陣痛から本陣痛までの期間はどれくらい?
「前駆陣痛から本陣痛まで、平均どれくらいかかるの?」と気になって検索する方も多いと思います。しかし、この期間には非常に大きな個人差があり、「平均◯時間」「平均◯日」といった一律の数値は医学的に示されていません。前駆陣痛を数日から1週間ほど断続的に感じてから本陣痛に移行する方もいれば、前駆陣痛らしきものをほとんど感じないまま本陣痛が始まる方もいます。「思ったより時間がかかっている」と焦る必要はなく、赤ちゃんと自分の体のペースに任せて過ごして大丈夫です。
病院へ連絡するタイミング・入院の目安
初産婦は10分おき、経産婦は10〜15分おきが目安
すでにご紹介した通り、痛みの間隔が初産婦で約10分おき、経産婦で約10〜15分おきに規則的になったタイミングが、産院へ連絡する一般的な目安です。初めての出産の場合、痛みが7〜5分間隔になった、もしくは痛みが強くなってきた時点で連絡すれば、多くの場合十分間に合うとされています。とはいえ、これはあくまで目安であり、心配なときは間隔にかかわらず一度連絡して相談して構いません。
すぐに連絡が必要なサイン
陣痛の間隔とは別に、次のようなサインがあれば、間隔を待たずすぐに産院へ連絡してください。
前駆陣痛のときの自宅での過ごし方・対処法
無理に動き回らず、体を休める
痛みや張りを感じたら、まずは無理に家事や作業を続けず、横になったり座ったりして体を休めましょう。前駆陣痛は安静にすることで治まることが多いため、痛みの経過を見るという意味でも、いったん手を止めることが大切です。
温めたり、姿勢を変えたりして楽な体勢を探す
お腹や腰を温めたり、横向きに寝る、クッションを抱える、四つん這いになるなど、自分にとって楽な姿勢を探してみてください。人によって楽になる姿勢は異なるので、いろいろ試しながら見つけていくのがおすすめです。
深呼吸でリラックスする
痛みがあると体に力が入りがちですが、ゆっくり深呼吸をして体の力を抜くことを意識してみましょう。呼吸を整えることは、この先の出産に向けた練習にもなります。
水分・栄養をとり、体力を温存しておく
本陣痛や出産は体力を大きく使う場面です。前駆陣痛の段階では無理をせず、こまめに水分をとり、食べられるときにしっかり食事をとって、体力を温存しておくことを意識してください。夜間に前駆陣痛で目が覚めてしまう場合も、眠れるときにできるだけ休んでおくと安心です。

初産婦と経産婦で違いはある?
経産婦(2人目以降の出産)の方が前駆陣痛を感じやすい、本陣痛への移行が早い、と言われることがありますが、これも一律の法則ではなく個人差の範囲内です。1人目のときはほとんど前駆陣痛を感じなかったのに、2人目では何日も前駆陣痛が続いた、という声もあれば、その逆のケースもあります。「経産婦だからこう」「初産婦だからこう」と決めつけず、自分の体の変化を落ち着いて観察していきましょう。
ちなみから|看護師時代に見てきた前駆陣痛との向き合い方
少しだけ、私自身の経験もお話しさせてください。1人目のときは臨月に入ってから、夜になるとお腹が張って痛くなることが数日続き、「今日こそ本物?」と何度もソワソワしていました。結局そのときは前駆陣痛で、実際に本陣痛が来たのはそれから1週間以上あとのことでした。
産科病棟で働いていたころも、「前駆陣痛と本陣痛の違いが分からず、何度も同じ質問で連絡してしまってすみません」と申し訳なさそうにお話しされる妊婦さんによくお会いしました。でも、その都度確認するのは決して悪いことではありません。むしろ、不安なまま自宅で我慢し続けるほうが心配です。分からないときは遠慮せず、産院に電話で相談してくださいね。
ちなみ(元看護師)

まとめ|前駆陣痛を正しく知って、落ち着いて出産に備えるために
- 前駆陣痛とは、妊娠後期から臨月にかけて子宮が不規則に収縮することで起こる、本陣痛の前段階の痛みや張りのこと。「仮性陣痛」とも呼ばれる。
- 始まる時期には大きな個人差があり、「◯週から」と一律には決まっていない。妊娠37週未満で同じような症状が続く場合は切迫早産の可能性があるため要注意。
- 本陣痛との違いは、間隔の規則性・痛みの強さの変化・安静にしたときに治まるかどうかの3点で見分けられる。
- 痛み方は生理痛のような下腹部の痛みが中心。腰やお尻のあたりに痛みが出ることもある。
- おしるしと同じタイミングで起こることもあれば、そうでないこともある。前駆陣痛から本陣痛までの期間に一律の平均はない。
- 病院へ連絡する目安は、初産婦で約10分おき、経産婦で約10〜15分おきの規則的な陣痛。破水・多量の出血・胎動減少などがあれば間隔を待たずすぐ連絡を。
- 前駆陣痛の間は、無理せず体を休め、姿勢を変えたり温めたりしながら、本陣痛に向けて体力を温存しておくことが大切。
前駆陣痛は、赤ちゃんに会える日が近づいているサインです。本陣痛との違いを知っておけば、いざというときも落ち着いて行動できます。不安なことがあれば一人で抱え込まず、産院に相談しながら、その日を迎える準備を整えていきましょう。
よくある質問(前駆陣痛|FAQ)
Q前駆陣痛はどんな痛みですか?
A.生理痛のような下腹部の鈍い痛みや、お腹全体がキュッと締め付けられるような張りとして感じる方が多いです。腰やお尻のあたりに重だるさや痛みを感じることもあります。痛みの強さや感じ方には個人差が大きく、痛みをほとんど感じないまま張りだけを感じる方もいます。
Q前駆陣痛はどのくらい続きますか?
A.1回あたりの痛みの持続時間や、前駆陣痛全体が続く期間には大きな個人差があります。数時間で治まることもあれば、数日から1週間程度、断続的に感じ続けることもあります。安静にすることで治まることが多いため、痛みが出たらまず休んでみて、経過を見ていただくのが基本です。
Q前駆陣痛から本陣痛まで、平均どれくらいかかりますか?
A.医学的に確立された「平均◯時間」「平均◯日」という数値はありません。個人差が非常に大きく、前駆陣痛をほとんど感じずに本陣痛が始まる方もいれば、1週間以上前駆陣痛が続く方もいます。焦らず、赤ちゃんと自分の体のペースに任せて過ごして大丈夫です。
Q前駆陣痛の間隔はどれくらいですか?
A.前駆陣痛は間隔が不規則なのが特徴で、10分おきに来たかと思えば次は30分以上あく、といったようにバラバラです。痛みの間隔がだんだん短く規則的になり、休んでも治まらなくなってきたら、本陣痛に移行しているサインと考えられます。
Q前駆陣痛なのに全然痛みを感じません。大丈夫ですか?
A.前駆陣痛の感じ方には個人差が大きく、痛みをほとんど自覚しないまま出産予定日を迎える方も珍しくありません。前駆陣痛の有無が、その後の出産経過に影響するわけではないため、症状がないこと自体を心配する必要はありません。健診で赤ちゃんの様子が順調と伝えられていれば、普段どおり過ごして問題ありません。
Q「陣痛10分間隔で我慢できる痛み」とはどのくらいの痛みですか?
A.痛みの強さの感じ方は個人差がとても大きいため、一律に「これくらいの強さ」とお伝えすることは難しいです。病院へ連絡する目安として使われているのは、痛みの強さそのものよりも「間隔がおよそ10分(経産婦は10〜15分)で規則的になったかどうか」です。痛みが強くて我慢できないと感じる場合は、間隔にかかわらず早めに産院へ連絡して構いません。
Q妊娠32週ですが、前駆陣痛のような張りがあります。大丈夫でしょうか?
A.「前駆陣痛」という言葉が当てはまるのは、基本的に妊娠37週以降・正期産に入ってからの症状です。妊娠37週より前に規則的なお腹の張りや痛みが繰り返し起こる場合は、前駆陣痛ではなく切迫早産のサインである可能性があります。自己判断で様子を見続けず、早めに産院へ連絡して確認してもらってください。
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