切迫早産とは?症状・原因・なりやすい人の特徴から入院期間まで元看護師が解説

妊娠中期〜後期の女性が自宅のベッドで安静に過ごしているシーン|切迫早産の自宅安静のイメージ

妊婦健診で「切迫早産気味ですね」と言われた、お腹の張りが治まらなくて不安になっている——そんな状態で検索窓に「切迫早産」と打ち込んでいる方も多いと思います。「早産」という言葉に、赤ちゃんのことを考えて頭が真っ白になってしまいますよね。

はじめまして、ちなみです。元看護師として病院勤務を経験し、現在は妊活・妊娠・子育てを中心に情報発信している男女2児のママです。この記事では、切迫早産とはどういう状態なのか、症状・原因・なりやすいと言われる人の特徴、診断や治療の流れ、入院期間や費用のことまで、順を追って解説します。

ちなみ(元看護師)

「切迫早産」という言葉だけを見ると不安になりますが、これは「もう早産してしまった」状態ではなく、「早産にならないように今から備える」段階のことです。まずは落ち着いて、一緒に正しい知識を確認していきましょう。

切迫早産とは?早産の危険が迫っている状態のこと

まずは「切迫早産」がどういう状態を指すのか、基本から確認していきましょう。

お腹の張り・子宮頸管の変化などがみられる状態

切迫早産とは、規則的なお腹の張りや痛み(子宮収縮)があり、子宮の出口である子宮頸管にも開き始めるなどの変化がみられる、早産の危険性が迫っている状態のことです。まだ実際に早産(早期に赤ちゃんが生まれてしまうこと)には至っていないものの、そのままだと早産につながりかねない一歩手前の段階、と捉えるとわかりやすいと思います。

妊娠22週0日〜36週6日の間に起こる状態

「早産」は妊娠22週0日から36週6日までの間に赤ちゃんが生まれることを指します(それより前に妊娠が終わってしまうことは「流産」と呼ばれます)。切迫早産も同じく妊娠22週0日以降にみられる状態で、それより前の時期に同じような症状がある場合は「切迫流産」と呼ばれ、区別されています。妊娠週数の数え方や正期産(37週0日〜41週6日)の考え方については、こちらの記事も参考にしてみてください。

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参考 早産・切迫早産公益社団法人 日本産科婦人科学会

症状|見逃したくないサイン

切迫早産の症状は一つとは限らず、いくつかのサインが組み合わさって現れることもあります。次のような変化に気づいたら、我慢せず早めに産院へ連絡してください。

規則的なお腹の張り・生理痛のような痛み

安静にしていても治まらない、規則的な間隔で繰り返すお腹の張りや、生理痛のような下腹部の痛みが続く場合は注意が必要なサインの一つです。妊娠中のお腹の張りそのものは生理的にみられることも多いのですが、「張りの感じ」だけで切迫早産かどうかを自己判断することはできません。お腹の張りの原因や見分け方については、こちらの記事で詳しくまとめています。

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出血・おりものの変化

少量の出血やおりものの色・量の変化も、切迫早産のサインとして現れることがあります。出血があるとどうしても不安になりますが、量や色だけで原因を判断することはできず、内診や超音波検査で確認する必要があります。妊娠中の出血について詳しく知りたい方はこちらもあわせてご覧ください。

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破水感(さらさらとした水っぽい感じ)

尿漏れとは違う、さらさらとした水のような液体が少量ずつ、あるいは急に流れ出るような感覚がある場合は、卵膜が破れる「前期破水」の可能性があります。破水は感染のリスクにもつながるため、量が少なくても自己判断せず、すぐに産院へ連絡してください。

早めの連絡・受診が必要なサイン
安静にしていても治まらない規則的なお腹の張り/生理痛のような痛みが続く/出血がある/水っぽいおりものが増える・破水感がある/赤ちゃんの胎動がいつもと違う。これらに気づいたら、次の健診日を待たず、早めに産院へ電話で相談してください。
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原因|なぜ切迫早産になるの?

「自分の生活の何が悪かったのだろう」と自分を責めてしまう方も多いのですが、切迫早産の背景にはさまざまな要因が関わっていると考えられています。

感染(絨毛膜羊膜炎など)

腟や子宮の中で細菌感染が起こり、卵膜や子宮頸管に炎症が広がる「絨毛膜羊膜炎」は、切迫早産の原因の一つとしてよく知られています。感染が疑われる場合は抗菌薬による治療が行われることがあります。

子宮頸管無力症・子宮の形態の特徴

子宮頸管が本来よりゆるく開きやすい「子宮頸管無力症」や、子宮筋腫、子宮の形の生まれつきの特徴なども、子宮収縮や頸管の変化につながることがあると言われています。

多胎妊娠・羊水過多

双子・三つ子などの多胎妊娠や、羊水の量が多い「羊水過多」の状態では、子宮が大きく引き伸ばされることで子宮収縮が起こりやすくなると考えられています。

原因がはっきりしないことも多い

これらに当てはまらなくても切迫早産になる方は少なくなく、はっきりとした原因が特定できないケースも多くあります。「何か悪いことをしたから」ではなく、体質やその時の体の状態など、コントロールしきれない要因が関わっていることも多いと理解しておいてください。

参考 切迫早産(妊娠22週以降)|母性健康管理に関する用語辞典厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト

なりやすいと言われる人の特徴

誰にでも起こりうるものですが、次のような特徴がある方は、健診でより注意深く経過をみられることがあります。

切迫早産になりやすいと言われる特徴
  • 双子・三つ子などの多胎妊娠
  • 過去の妊娠で切迫早産・早産を経験したことがある
  • 喫煙の習慣がある
  • 妊娠前の体重が低い、またはやせ型の体型
  • 子宮筋腫や子宮の形の特徴がある
  • 立ち仕事・長時間労働など体への負担が大きい仕事をしている
  • 強いストレスがかかっている状態が続いている
  • 高年齢または若年での妊娠

当てはまる項目があったとしても、必ず切迫早産になるというわけではありません。あくまで「健診で注意深く経過をみていく目安」として捉えていただければと思います。仕事を続けている方は、母健連絡カードを使って業務内容の調整を相談できることも知っておくと安心です。

診断・エコーでわかること

子宮頸管長の測定

健診の超音波検査では、子宮頸管の長さ(子宮頸管長)を測定することがあります。一般的に、妊娠中期以降で子宮頸管長が短くなっている場合は、早産のリスクがより注意深く経過観察される目安の一つとされています。ただし数値だけで断定されるものではなく、症状や経過とあわせて総合的に判断されます。

内診・NST(ノンストレステスト)

内診で子宮口の開き具合を確認したり、お腹に器具をつけて赤ちゃんの心拍と子宮収縮の様子を記録するNST(ノンストレステスト)を行ったりすることで、切迫早産の状態かどうかが判断されます。「エコーだけでわかるのか」と気になる方もいますが、実際には超音波検査・内診・NSTなど複数の情報を組み合わせて診断されるのが一般的です。

治療の流れ|自宅安静と入院管理

軽症の場合は自宅安静と内服薬から

症状が軽い場合は、自宅での安静と、子宮収縮を抑える飲み薬(子宮収縮抑制薬・いわゆる「張り止め」)による治療からスタートすることが多いです。自己判断で薬の量を調整せず、指示された用法・用量を守ってください。

進行すると入院・点滴治療

自宅安静だけでは症状が落ち着かない場合や、子宮頸管の変化が進んでいる場合は、入院のうえで点滴による子宮収縮抑制薬の投与が行われることがあります。感染が疑われれば抗菌薬もあわせて使用されます。

妊娠期間によっては赤ちゃんの肺を成熟させる薬を使うことも

もし早産になる可能性が高いと判断された場合、赤ちゃんの肺の機能をできるだけ成熟させておくために、ステロイド薬を投与することがあります。これは実際に早産になってしまった際に赤ちゃんの呼吸器系の負担を減らす目的で行われるもので、あくまで医師の判断のもとで行われる治療です。

過度に心配しすぎなくて大丈夫
切迫早産と言われても、多くの場合は安静と適切な治療によって妊娠を継続でき、正期産(37週0日以降)を迎えられます。不安な気持ちはあると思いますが、指示された安静度を守り、健診で経過をしっかり見てもらいながら、一つずつ向き合っていきましょう。
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入院期間・費用・傷病手当金

入院期間は数日から出産までさまざま

入院期間は症状の程度によって大きく異なります。数日間の安静・点滴治療で症状が落ち着いて退院できる方もいれば、症状が続く場合は出産まで数週間〜数ヶ月にわたって入院管理が続くケースもあります。「いつ退院できるか」は経過を見ながら医師が判断するため、明確な目安を自分で決めつけないようにしましょう。

入院費用の目安と高額療養費制度

切迫早産の入院は治療を目的とするため、通常の分娩費用とは異なり公的医療保険が適用され、自己負担は原則3割です。長期間の入院になると医療費が高額になることもありますが、その場合は「高額療養費制度」を利用することで、自己負担額に上限が設けられます。事前に「限度額適用認定証」を用意しておくと、窓口での支払いを抑えられます。

傷病手当金の対象になることも

会社員として健康保険に加入している方が、切迫早産の入院で連続して仕事を休み、給与が支払われない場合は、傷病手当金の対象になることがあります。加入している健康保険組合や協会けんぽに条件や手続き方法を確認してみてください。

妊娠22週未満の時期に同じような出血や腹痛の症状がみられる場合は「切迫流産」と呼ばれ、区別されています。切迫流産の症状・原因・流産の種類との違い・安静についての考え方をまとめた記事もあわせてご覧ください。

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妊娠37週以降に起こる同じような張りや痛みは「前駆陣痛」と呼ばれ、切迫早産とは区別されます。前駆陣痛とは何か、本陣痛との違いをまとめた記事もあわせてご覧ください。

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妊娠37週未満で破水が起こると「前期破水」と呼ばれ、切迫早産と関連して起こることもあります。破水の見分け方や前期破水への対応についてまとめた記事もあわせてご覧ください。

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参考 傷病手当金|給付と手続き全国健康保険協会(協会けんぽ)

してはいけない体勢・自宅安静中の過ごし方

お腹に負担がかかる体勢・動作は避ける

長時間立ち続ける、重いものを持つ、前かがみで作業を続けるといった、お腹に負担がかかる体勢や動作は控えるよう指導されることが多いです。座るときも、深く腰かけて骨盤を安定させ、こまめに姿勢を変えることを意識してみてください。

指示された安静度を守る

「安静」といっても、ベッドから一切起き上がれない「絶対安静」から、家事の一部はできる程度の「自宅安静」まで、程度は人によって異なります。自己判断で安静度を緩めたり厳しくしたりせず、医師から説明された範囲を守ることが大切です。

安静中の気分転換の工夫

長期間の安静はどうしても気持ちが塞ぎがちになります。読書や動画視聴、家族とのやり取りなど、横になったままでもできる気分転換の方法を見つけておくと、安静生活を乗り切る支えになります。一人で抱え込まず、家族や医療スタッフに気持ちを話すことも大切にしてください。

ちなみから|看護師時代に見てきた切迫早産の患者さんたち

少しだけ、看護師時代の経験をお話しさせてください。私自身は幸い、2回の妊娠のどちらでも切迫早産で長期入院になることはありませんでしたが、看護師として勤務していたころ、切迫早産で長期入院されている妊婦さんを何人も見てきました。

入院が決まった直後は「なぜ自分が」「このまま早く生まれてしまったらどうしよう」と涙を流される方も少なくありませんでした。それでも、点滴を受けながら安静を続け、健診の数値が少しずつ落ち着いていく様子に励まされながら、無事に正期産を迎えて退院されていく方をたくさん見てきました。長期入院を経験された方の多くが「あのとき無理をしないでよかった」と話してくれたのが、今でも強く印象に残っています。

ちなみ(元看護師)

切迫早産と言われると、自分を責めたり焦ったりしてしまう気持ち、とてもよくわかります。でも安静にすること自体が、赤ちゃんのための大切な治療です。今できることを一つずつ、一緒に整えていきましょうね。
ちなみがキッチンで読者に語りかけているイメージ|元看護師の体験談セクション

まとめ|正しく知って、必要以上に不安にならないために

この記事のポイント
  • 切迫早産は、妊娠22週0日〜36週6日の間に規則的なお腹の張り・子宮頸管の変化などがみられ、早産の危険性が迫っている状態のこと。まだ早産に至っていない段階を指す。
  • 主な症状は規則的なお腹の張り・生理痛のような痛み・出血・破水感。一つでも当てはまれば早めに産院へ連絡を。
  • 原因は感染・子宮頸管無力症・多胎妊娠・羊水過多などが知られているが、はっきりしないことも多い。
  • 子宮頸管長の測定・内診・NSTなど複数の情報を組み合わせて診断される。
  • 治療は自宅安静・内服の張り止めが基本。進行すると入院・点滴治療、場合によっては赤ちゃんの肺を成熟させる薬が使われることもある。
  • 入院期間は症状によってさまざまで、高額療養費制度や傷病手当金の対象になることもある。
  • 指示された安静度を守ることが、赤ちゃんのための大切な治療。多くの場合は安静と治療で正期産を迎えられる。

切迫早産と言われると不安な気持ちになるのは当然のことです。ですが、正しい知識を持って向き合えば、決して怖いものではありません。担当医や助産師と二人三脚で、できることから少しずつ整えていきましょう。

よくある質問(切迫早産|FAQ)

Q切迫早産は治る確率が高いですか?

A.多くの場合、安静と子宮収縮抑制薬などの治療によって症状が落ち着き、正期産(妊娠37週0日以降)を迎えることができます。ただし経過には個人差があり、確率を一律に示すことはできません。担当医から自分の状態について説明を受け、指示された安静度を守ることが何よりの備えになります。

Q「28週の壁」とは何ですか?

A.妊娠28週前後は、赤ちゃんが生まれた場合の医療的なサポート体制が整った週数の目安として語られることがあり、切迫早産で入院中の方の間で一つの節目として意識されやすい週数です。ただし何週であっても油断せず安静を続けることに変わりはなく、担当医の説明に沿って経過をみていくことが大切です。

Q切迫早産とダウン症は関係がありますか?

A.切迫早産そのものと赤ちゃんの染色体(ダウン症・21トリソミーなど)の間に、直接の因果関係があるとは言われていません。検索でこの2つが結びつけられやすいのは、出生前診断(NIPTやクアトロテストなど)を受ける時期と、切迫早産・切迫流産の症状が出やすい時期が重なりやすいことによる混同ではないかと考えられます。染色体の状態について気になる場合は、出生前診断について担当医に相談することをおすすめします。

Q切迫早産になりやすい職業はありますか?

A.特定の職業が必ず切迫早産につながるわけではありませんが、長時間の立ち仕事や重い物を持つ作業、身体的・精神的な負担が大きい仕事は、お腹への負担につながりやすいと言われています。仕事を続けている方は、母健連絡カードを使って勤務先に業務内容の調整を相談できます。

Q自宅安静だけで乗り切ることはできますか?

A.症状が軽い場合は自宅安静と内服薬で経過をみていくことも多く、実際に自宅安静だけで乗り切ったという方もいます。ただし子宮頸管の変化が進んでいる場合や、自宅安静中に症状が悪化する場合は入院管理に切り替わることもあります。自己判断で安静度を緩めず、健診や指示された受診のタイミングを守ることが大切です。

Q切迫早産の入院中、家族の面会や外出はできますか?

A.面会や外出の可否は、指示された安静度や病院ごとの方針によって異なります。絶対安静の場合は院内での外出も制限されることがある一方、安静度が軽い場合は院内の売店程度は許可されることもあります。担当の医師・看護師に確認しながら、無理のない範囲で過ごしてください。

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