「お腹の中でジュワッとした感覚があった気がする……これって破水?それともただの尿もれ?」臨月が近づき、こうした感覚にドキドキしながら「破水」と検索窓に打ち込んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に初めての出産だと、破水がどんな感じで起こるのか、陣痛より先に来ることがあるのか、そしてもし破水したらすぐに何をすればいいのか、わからないことだらけで不安になりますよね。
はじめまして、ちなみです。元看護師として産科病棟に勤務した経験があり、現在は妊活・妊娠・子育てを中心に情報発信している男女2児のママです。この記事では、破水とはどういう状態なのか、色・匂い・量からの見分け方、高位破水やおりもの・尿もれとの違い、破水したらすぐにすべきこと、そして前期破水についてまで、順を追って解説します。
ちなみ(元看護師)
破水とは?卵膜が破れて羊水が流れ出ること
赤ちゃんを包む「卵膜」が破れることで起こる
お腹の中で赤ちゃんは、羊水で満たされた「卵膜」という薄い膜の袋に包まれて育っています。この卵膜が破れて、中の羊水が外に流れ出てくることを「破水」と言います。厚生労働省の情報では、「胎児を包む羊膜が破れ羊水が漏出してくることを破水という」と説明されています。
通常は分娩中、子宮口が全開大してから起こる
破水が起こるタイミングは人によって異なりますが、厚生労働省の情報では「正常では分娩時に子宮口が全開大してから破水がおこる」とされています。つまり、多くの場合は陣痛が進んで子宮口が十分に開いたあとに破水するのが、一般的な経過ということになります。
陣痛より先に破水が来ることもある「前期破水」
一方で、陣痛が始まる前に破水が起こることもあり、これを「前期破水」と呼びます。厚生労働省の情報でも「分娩開始以前に破水がおこることを前期破水という」と定義されています。前期破水については、この記事の後半で詳しく解説します。
破水はどんな感じ?量・色・匂いからの見分け方
量の出方は人それぞれ|一気にドバッと/少しずつじわじわ
国立成育医療研究センターの情報によると、破水の出方には「一度に大量の水が出ることもあれば、尿漏れのような感覚で少しずつ出ることもある」とされています。「生ぬるい水が一気に流れ出た」と感じる方もいれば、「なんだか下着が濡れている気がする」程度で、破水だと気づきにくいケースもあります。
参考 おしるし、破水、陣痛について国立成育医療研究センター 産科
色・匂いの目安
正常な羊水は無色から薄い黄色で、ほぼ無臭か、やや甘酸っぱいにおいがすることが多いといわれています。一方で、緑がかった色や茶色っぽい色、血液が混じったような色に気づいたときは、赤ちゃんが胎内で排便してしまう「胎便」の混入や、他のトラブルのサインである可能性があるため、量にかかわらずすぐに産院へ連絡してください。
- 横になって安静にしていると量が減り、立ち上がると量が増える
- においがほぼない、またはやや甘酸っぱい
- 色が透明〜薄い黄色でない(緑・茶色・血液混じり)
- 下着やナプキンが繰り返し濡れる感覚がある
見分けがつかないときは、量にかかわらず産院へ連絡を
「破水かどうか自分では判断できない」というときは、無理に自己判断しようとせず、産院に電話で相談しましょう。多くの産院では、電話口で状況を聞いたうえで来院のタイミングを指示してくれます。迷ったときこそ、遠慮せず連絡してくださいね。
破水とおりもの・尿もれの違い|「高位破水」に注意
高位破水とは?卵膜の高い位置が破れて少しずつ漏れる状態
破水は通常、赤ちゃんの頭に近い卵膜の部分が破れて、羊水がまとまって流れ出ることが多いといわれています。これに対して、卵膜のより高い位置(子宮口から離れた部分)が破れることを「高位破水」と呼びます。高位破水では羊水が少量ずつゆっくりと漏れ出てくるため、おりものや尿もれと区別がつきにくいことがあります。
自分でできる見分け方の目安
次のような特徴があるときは、おりものや尿もれではなく破水の可能性を考えて、産院に相談することをおすすめします。
- 横になって安静にすると量が減り、立ち上がったり歩いたりすると量が増える
- においがほぼない、または尿とは違う甘酸っぱいにおいがする
- 一度きりでなく、繰り返し下着やナプキンが濡れる
ナプキンをあてて色や量の変化を確認しておくと、産院に電話で相談する際にも状況を伝えやすくなります。判断がつかない場合は、そのナプキンを持参して受診する方法もあります。

破水したらすぐにすべきこと
陣痛がなくても、まず産院に連絡を
破水したら、たとえ陣痛がまだ始まっていなくても、まず産院に連絡しましょう。国立成育医療研究センターの情報では、破水後は「24時間以内に陣痛が始まるので、病院に連絡してから準備をして向かいましょう」とされています。自己判断で様子を見続けず、電話で状況を伝えて指示を仰いでください。
入浴・シャワー・性交渉は控える
破水すると、卵膜という赤ちゃんを守るバリアが破れた状態になり、腟から子宮の中へ細菌が入り込みやすくなります。国立成育医療研究センターの情報でも「ばい菌が入りやすい状態であるため、入浴は避ける必要がある」とされており、湯船につかるお風呂やシャワーでの洗浄、性交渉は控えましょう。清潔なナプキンをあてて、体を清潔に保つよう心がけてください。
病院までの移動と持ち物
移動の際は、清潔な大きめのナプキンやバスタオルをあてて、できるだけ体を横にした状態で向かうと安心です。陣痛がなくても、そのまま入院になる可能性を考えて、入院バッグを持って向かいましょう。慌てず、落ち着いて準備を進めることが大切です。

前期破水(正期産に至る前の破水)について
妊娠37週未満で破水した場合
妊娠37週0日より前に破水した場合は「前期破水」となり、切迫早産と関連して起こることもあります。日本産科婦人科学会の情報でも、前期破水は「切迫早産と前後して」起こることがあるとされ、破水後は子宮内への感染リスクや、羊水が減ることで赤ちゃんが圧迫されるリスクが高まるため、注意深い管理が必要になります。妊娠22週から36週6日での早産のリスクについては、切迫早産についてまとめたこちらの記事もあわせてご覧ください。
切迫早産とは?症状・原因・なりやすい人の特徴から入院期間まで元看護師が解説
破水と合わせて、出産が近づくサインには「おしるし」もあります。おしるしの色・量の目安や、破水・前駆陣痛との違いについてまとめた記事もあわせてご覧ください。
おしるしとは?色・量の目安から陣痛までの期間を元看護師が解説
羊水過多(羊水の量が基準より多い状態)があると、卵膜にかかる圧力が高まり、破水しやすくなると言われています。羊水過多の原因や症状について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
羊水過多とは?原因・症状・ダウン症との関係から治療法まで元看護師が解説
妊娠後期に急に羊水が減ったように見える場合は、破水によって羊水が流出している可能性が疑われます。羊水過少の原因や赤ちゃんへの影響について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
羊水過少とは?原因・症状・胎児への影響から入院・分娩まで元看護師が解説
破水の前後に起こることが多い「陣痛」について、間隔の測り方や病院へ連絡するタイミングをまとめた記事もあわせてご覧ください。
陣痛とは?間隔・痛みの強さ・病院へ行くタイミングを元看護師が解説
抗菌薬投与と、週数による対応の違い
前期破水と診断されると、腟内の細菌が子宮内に感染するのを防ぐため、抗菌薬が投与されます。日本産科婦人科学会の情報によると、「妊娠34週以降であれば、あえて子宮収縮抑制薬を投与せず、感染に注意しながら慎重に様子を見ることも多い」とされています。一方、妊娠34週未満の早い時期の破水では、赤ちゃんの肺の成熟を促す治療などを行いながら、できるだけ入院管理のもとで慎重に経過を見ていくことになります。
破水したのに陣痛が来ない…そんなときは?
破水後、しばらく待っても陣痛が始まらないケースもあります。破水した状態が長く続くと感染のリスクが高まるため、多くの場合は入院のうえで経過を観察し、状況によっては陣痛を人工的に促す「陣痛誘発」が行われることもあります。前駆陣痛と本陣痛の違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
前駆陣痛とは?本陣痛との違い・いつから・どんな痛みかを元看護師が解説
ちなみから|看護師時代に見てきた破水の妊婦さんたち
少しだけ、私自身の経験もお話しさせてください。上の子を妊娠していたとき、私は夜中に突然「生ぬるい水がドバッと出た」感覚で目が覚め、すぐにそれとわかりました。慌てて産院に電話をかけ、指示通りナプキンをあてて体を横にしたまま病院へ向かったのを覚えています。
一方、看護師時代に出会った患者さんの中には、「なんだかおりものが多いような、でも尿もれのような、よくわからない感覚がずっと続いていて」と数日経ってから来院された方もいらっしゃいました。検査の結果、それは高位破水で、少量ずつ羊水が漏れ続けていたことがわかりました。「気のせいかもと思って様子を見てしまった」と申し訳なさそうに話されていましたが、高位破水は自分では気づきにくいことも珍しくありません。「なんだかいつもと違う」と感じたら、迷わず産院に相談してくださいね。
ちなみ(元看護師)

まとめ|破水を正しく知って、落ち着いて出産に備えるために
- 破水とは、赤ちゃんを包む卵膜が破れて羊水が流れ出ること。通常は分娩中、子宮口が全開大してから起こる。
- 陣痛より先に破水が起こることもあり、これを「前期破水」と呼ぶ。
- 出方は人によって異なり、一気にドバッと出ることもあれば、尿もれのように少しずつ出ることもある。
- 正常な羊水は無色〜薄い黄色でほぼ無臭。緑・茶色・血液混じりの場合はすぐに産院へ連絡を。
- 「高位破水」は卵膜の高い位置が破れて少量ずつ漏れる状態で、おりものや尿もれと間違えやすい。
- 破水したら陣痛がなくてもまず産院に連絡し、入浴・シャワー・性交渉は控える。
- 妊娠37週未満での破水は「前期破水」となり、抗菌薬投与や入院管理など週数に応じた対応が行われる。
- 破水後に陣痛が来ない場合は、入院管理や陣痛誘発が行われることがある。
破水は突然のことで戸惑うかもしれませんが、正しい知識を持っていれば、慌てず落ち着いて対応できます。少しでも「おかしいな」と感じたら、量にかかわらず産院に連絡することを忘れないでくださいね。
よくある質問(破水|FAQ)
Q破水はどんな感じですか?色や匂いに特徴はありますか?
A.一度に大量の水が出ることもあれば、尿もれのように少しずつ出ることもあります。正常な羊水は無色〜薄い黄色でほぼ無臭ですが、緑・茶色っぽい色や血液が混じったような色の場合は、量にかかわらずすぐに産院へ連絡してください。
Q破水したのに陣痛がありません。大丈夫ですか?
A.破水後は24時間以内に陣痛が始まることが多いとされていますが、来ない場合は入院のうえで経過を観察し、状況によっては陣痛誘発が行われることもあります。破水したらまず産院に連絡し、指示に従いましょう。
Q高位破水とおりもの・尿もれの違いは何ですか?
A.高位破水は卵膜の高い位置が破れ、羊水が少量ずつ漏れる状態です。横になると量が減り立つと増える、においがほぼない、繰り返し下着が濡れるといった特徴があれば破水の可能性があります。判断がつかないときは産院に相談してください。
Q破水したらお風呂に入ってもいいですか?
A.破水後は卵膜という赤ちゃんを守るバリアが破れた状態のため、腟から子宮内へ細菌が入りやすくなります。湯船につかるお風呂やシャワーでの洗浄、性交渉は控え、清潔なナプキンをあてて過ごしてください。
Q前期破水と言われました。すぐ出産になりますか?
A.週数によって対応が異なります。妊娠34週以降であれば感染に注意しながら経過を見ることも多く、34週未満の早い時期では抗菌薬投与や入院管理のもと、できるだけ慎重に経過を見ていきます。必ずしもすぐの出産になるとは限りません。
続けて読みたい関連記事
破水について、あわせて読んでおきたいテーマを3本選びました。
前駆陣痛とは?本陣痛との違い・いつから・どんな痛みかを元看護師が解説

