後陣痛とは?いつからいつまで続く・どんな痛み・和らげ方を元看護師が解説

明るい窓辺のソファで両手にマグカップを持ちひと息つく女性のイメージ|産後の後陣痛が続く時期を過ごすシーン

出産が終わって、やっとひと息つけると思ったのに、下腹部がぎゅーっと締めつけられるように痛む。授乳のたびに強くなって、思わず息を止めてしまう。人によっては「陣痛のときより、こっちのほうがつらかった」と言うほどです。

それが後陣痛(こうじんつう)です。出産の痛みについては事前にたくさん調べていても、産んだあとにこんな痛みが待っているとは知らなかった、という方は本当に多いです。

こんにちは、ちなみです。元看護師で、男の子と女の子の2児の母をしています。私自身、上の子のときはほとんど気にならなかったのに、下の子のときは授乳のたびに冷や汗が出るほどでした。同じ人間の同じ体でも、こんなに違うのかと驚いたのを覚えています。

この記事では、後陣痛がなぜ起こるのかというしくみから、始まる時期・いつまで続くのか、どんな痛みなのか、授乳のたびに強くなる理由、そして痛みを我慢しなくていい理由まで、公的機関や医療者向け資料をもとに整理していきます。

後陣痛とは?産後に感じるあの痛みの正体

まず、いちばん大事なことをお伝えします。後陣痛は、体に何か悪いことが起きているのではなく、子宮が元の大きさに戻ろうとして収縮している痛みです。

子宮が縮むときの「けいれん痛」

MSDマニュアル家庭版は、出産後の子宮について「分娩後に子宮は収縮し、妊娠前の大きさと位置に戻り始める。この収縮はけいれん痛を起こし、痛みが伴う」と説明しています。

妊娠中の子宮は、赤ちゃんが入っていられるほど大きくふくらんでいます。それが出産を終えて、また元のサイズまで縮んでいく。その筋肉の動きが痛みとして感じられる、というわけです。

医療者向けのMSDマニュアル プロフェッショナル版では、この現象をはっきりと後陣痛という名前で扱っており、「分娩後初めの数日間は、子宮復古の際の収縮に疼痛(後陣痛)を伴う場合があり、鎮痛薬が必要になることがある」と記載されています。

ちなみ(元看護師)

「子宮復古(しきゅうふっこ)」というのは、子宮が妊娠前の状態に戻っていくことを指す言葉です。後陣痛は、その復古の途中で起こる痛み。痛みそのものが、体がちゃんと働いている証拠でもあるんです。

どこが痛い?どんな痛み?

痛む場所は下腹部です。子宮のある位置なので、おへそから下、恥骨のあたりまでの範囲に感じます。

痛みの性質は、MSDマニュアルの表現を借りれば「けいれん痛」「子宮の痙攣痛」です。ぎゅーっと締めつけられて、少しゆるんで、またぎゅーっと来る。多くの方が「重い生理痛によく似ている」と表現します。

後陣痛の感じ方(よく聞かれる表現)
  • 下腹部がぎゅーっと締めつけられる
  • 重い生理痛のような、波のある痛み
  • 痛みが来ては引き、また来る
  • 授乳中に強くなる
  • 腰のあたりまで響くように感じることもある

「陣痛」と名前は似ていますが、別のものです

陣痛は、赤ちゃんを外に出すために子宮が収縮する痛みです。後陣痛は、出産を終えた子宮が元に戻るために収縮する痛み。目的がまったく違います。

ただし、どちらも「子宮の筋肉が縮む痛み」という点では同じしくみです。だから痛みの感じ方が似ていて、「陣痛が戻ってきたのかと思った」という声も出てきます。

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参考 産褥期のケアの大まかな説明MSDマニュアル家庭版

後陣痛はいつから始まって、いつまで続く?

「いつまで続くのか」は、後陣痛でいちばん多く検索されている疑問です。ここには2つの時間軸があるので、分けて考えると混乱しません。

始まりは、出産の直後から

子宮は分娩を終えた直後から収縮を始めます。そのため後陣痛も、産まれてすぐ、分娩室にいるうちから感じる方が多いです。「胎盤が出たあとから、ずっとお腹が痛い」というのは、この収縮が始まっているということですね。

痛みの目安は「分娩後初めの数日間」

痛みそのものが続く期間について、MSDマニュアル家庭版は「この収縮は、分娩後数日間痛みを伴うこともあります」としています。プロフェッショナル版も「分娩後初めの数日間」という表現です。

つまり、強く痛むのは産後数日間がひとつの目安ということになります。入院期間とちょうど重なるくらい、とイメージするとわかりやすいと思います。多くの方は、退院するころには「言われてみれば、あまり感じなくなったかも」という状態になっていきます。

後陣痛の時間の目安
  • 始まり:分娩の直後から
  • 強く痛む時期:分娩後初めの数日間(MSDマニュアル)
  • ピーク:この数日間のなかにある。何日目と決まっているわけではない
  • 子宮が戻りきるまで:4〜6週間(後述)

「ピークは何日目」と決まった数字はない

ピークが何日目に来るのかを示した確立した数字は、公的機関や医療者向けの資料には見当たりません。産後1日目がいちばんつらかったという方もいれば、2〜3日目に強くなったという方もいます。

日数で自分の状態を採点するより、「昨日より楽になる方向に向かっているか」を見るほうが役に立ちます。方向さえ下向きなら、経過としては順調です。

痛みは数日でも、子宮が戻るのは4〜6週間かかる

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。「痛みが終わること」と「子宮が元に戻ること」は、まったく別の時間軸で進みます。

MSDマニュアル プロフェッショナル版は、子宮復古の経過を次のように整理しています。

子宮が戻っていく経過(MSDマニュアル プロフェッショナル版より)
  • 5〜7日後:子宮は硬くなって圧痛はなくなり、子宮底が恥骨結合と臍とのほぼ中間に達する
  • 2週後まで:腹部からは触知できなくなる
  • 典型的には4〜6週間で妊娠前の大きさに戻る

MSDマニュアル家庭版も、「通常、子宮は出産後1〜2週間は、小さくなって上部(子宮底部)が恥骨より下になるまで、腹部から触知できます」「出産後4週間ほどは大きいままです」と、同じ流れを説明しています。

つまり、痛みが引いたからといって、子宮が戻りきったわけではありません。痛みは数日で落ち着いても、体の内側では1か月以上かけて回復が続いています。産後すぐに動きすぎてしまう方が多いのは、この時間差が知られていないからだと思います。

ちなみ(元看護師)

「痛くなくなった=もう治った」ではないんですね。痛みは早めに引いていくけれど、子宮そのものは4〜6週間かけてゆっくり戻る。痛みが消えたあとの数週間こそ、無理をしないでほしい時期です。

参考 産褥の管理MSDマニュアル プロフェッショナル版

授乳のたびに痛くなるのはなぜ?

「赤ちゃんにおっぱいをあげようとすると、決まってお腹が痛くなる」。これは後陣痛のとても特徴的な現れ方で、しくみもはっきりしています。

授乳がオキシトシンの分泌を刺激するから

MSDマニュアル家庭版は、「子宮の収縮力は母乳を与えると強まります。授乳がきっかけとなって、オキシトシンというホルモンの分泌が刺激されます」と説明しています。

オキシトシンは母乳を押し出す働きをするホルモンですが、同時に子宮を収縮させる働きも持っています。だから赤ちゃんが吸いはじめると、母乳が出る準備と一緒に、子宮もぎゅっと縮む。授乳と痛みが同時に来るのは、そういう理由です。

(クリエイターが確定するaltプレースホルダー)

痛いのは「順調に戻っている」サインでもある

授乳のたびの痛みはつらいものですが、見方を変えると、子宮の回復を助ける働きがちゃんと起きているということでもあります。授乳している方のほうが後陣痛を強く感じやすいのは、この収縮が後押しされているからです。

とはいえ「順調な証拠だから我慢しましょう」という話ではありません。痛みへの対処は別に用意されています(後述します)。しくみを知ることと、痛みを我慢することは、まったく別のことです。

ちなみ(元看護師)

病棟でも「授乳のたびに痛くて、あげるのが怖くなってきました」という声をよく聞きました。痛みを理由に授乳をためらうくらいなら、遠慮なく痛み止めのことを相談してほしいと思っています。授乳と痛み対策は両立できます。

ちなみに、この時期は「母乳がまだ出ていないのに、授乳のたびにお腹だけ痛くなる」という状態になることもあります。第1子の場合、十分な量の母乳が出るようになるまで普通は72〜96時間かかるとされているので、痛みだけが先に来るのはめずらしいことではありません。母乳はいつから出るのか、足りているかをどう見分けるのかは、こちらの記事にまとめました。

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後陣痛が強い人・ほとんどない人がいるのはなぜ?

同じ産院で同じ日に産んでも、痛みの感じ方はまったく違います。ここも気になるところだと思います。

「経産婦のほうが強い」とよく言われるけれど

2人目・3人目のほうが後陣痛が強い、という話は広く語られています。実際、私自身も下の子のときのほうがはるかにつらく感じました。

ただし、「経産婦のほうが強い」と数字や根拠つきで説明している公的機関・学会の資料は見当たりませんでした。よく言われることではありますが、確立した説明として示せるものがない、というのが正直なところです。

ですので、この記事では「経産婦だからこれくらい痛いはず」という前提は置きません。2人目なのに軽くても、1人目なのに強くても、どちらもおかしくありません。

「後陣痛がない」「軽い」のも心配いりません

MSDマニュアル家庭版は、この収縮について「分娩後数日間痛みを伴うこともあります」という書き方をしています。プロフェッショナル版も「疼痛(後陣痛)を伴う場合があり」という表現です。

つまり痛みは「必ず起こるもの」として書かれていません。ほとんど感じないまま過ぎる方がいるのは、当然に想定されている範囲です。

「痛くないけれど、ちゃんと子宮は戻っているの?」という心配もあると思いますが、子宮が戻っているかどうかは痛みの強さではなく、悪露の変化や健診での確認で見ていくものです。痛みが軽いこと自体は、回復が遅れているサインではありません。

痛みの強さについて、押さえておきたいこと
  • 痛みは「伴うこともある」もので、必ず起こると書かれてはいない
  • 「経産婦のほうが強い」に公的な裏づけは見当たらない
  • 強くても軽くても、回復の良し悪しを表しているわけではない
  • 子宮の戻りは、痛みではなく悪露の変化や健診で確認する

帝王切開のあとの後陣痛はどう違う?

帝王切開で出産した場合も、子宮が収縮して戻っていく過程は同じなので、後陣痛は起こります。

違うのは、そこに手術の傷の痛み(創部痛)が重なることです。日本産婦人科医会は、分娩中・産褥期に起こりうる症状について「最も多いのは,後陣痛や帝王切開後の創部痛であり,これらは鎮痛薬の投与により経過観察を行う」としています。

ここで注目してほしいのは、医療者向けの資料で後陣痛と創部痛が並んで挙げられ、どちらも「鎮痛薬の投与により経過観察」と書かれていることです。痛みに対して薬を使うことは、例外的な対応ではなく標準的な流れなんですね。

お腹の傷が痛いのか、子宮が縮んで痛いのかを自分で区別するのは難しいので、どちらか判断しようとせず「このあたりがこう痛い」と伝えれば十分です。帝王切開の術後の経過については、こちらで詳しくまとめています。

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参考 (1)分娩中・産褥期に起こり得る症状公益社団法人 日本産婦人科医会

産後の日数別に見る後陣痛の目安

「いま何日目で、この痛みは普通なのか」を確かめたいときのために、ここまでの資料をもとに時系列で整理しておきます。あくまで目安であって、この通りに進まなければおかしい、という表ではありません。

後陣痛と子宮の戻りの目安
  • 分娩直後〜当日:子宮の収縮が始まる。分娩室にいるうちから痛みを感じる方も多い
  • 産後1〜3日ごろ:痛みが強く出やすい時期。授乳のたびに強まる。多くの方にとってこのあたりがつらい
  • 産後4〜5日ごろ:少しずつ弱まっていくのが基本の流れ。退院が近づく時期
  • 産後5〜7日ごろ:子宮は硬くなって圧痛がなくなり、子宮底が恥骨結合と臍のほぼ中間に達する(MSDマニュアル プロフェッショナル版)
  • 産後2週ごろ:子宮は腹部から触知できなくなる
  • 産後4〜6週ごろ:子宮が妊娠前の大きさに戻る。ここまでが「産褥期」

こうして並べると、痛みの山は前半の数日に集中していて、そのあとの数週間は「痛くないけれど回復中」の時間だとわかります。退院してからの数週間こそ、体はまだ工事中なんですね。

ちなみ(元看護師)

入院中は「痛いですか」と何度も聞かれるのに、退院した途端に誰も聞いてくれなくなります。でも体のほうは、まだ半分も戻っていない時期。周りが聞いてくれなくなってからが、自分で自分をいたわる番だと思っています。

後陣痛と間違えやすい産後の痛み

産後の下腹部やお腹まわりの痛みは、後陣痛だけではありません。同じ時期に別の痛みが重なるので、「これは何の痛みだろう」と迷いやすくなります。

会陰の傷の痛み

経腟分娩のあとは、会陰切開や裂傷の傷が痛みます。こちらは下腹部の内側ではなく、外陰部のあたりがひりひり・ずきずきするのが特徴で、座ったときや排泄のときに強くなります。

MSDマニュアル プロフェッショナル版が「非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が会陰の不快感および子宮の痙攣痛の両方に効果的である」としているとおり、この2つは産後に並んで起こる痛みとして扱われています。

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お腹の張り・便秘やガスによる痛み

産後は水分の不足や活動量の低下、傷をかばっていきめないことなどが重なり、お腹が張りやすくなります。ガスや便がたまった張りは、痛む場所が動く・おならや排便で軽くなるのが後陣痛との違いです。

後陣痛は子宮のある下腹部の中央で、波のように来ては引きます。場所が定まらずに移動するようなお腹の痛みなら、腸のほうを疑ってみてください。

膀胱がいっぱいになっているとき

産後は尿意を感じにくくなることがあり、気づかないうちに膀胱がぱんぱんになっていることがあります。この状態は子宮の収縮を妨げることがあるため、痛みにも関係してきます。

「なんだか下腹部が重い」というときは、尿意がなくても、まずトイレに行ってみる。それだけで軽くなることがあります。

自分で見分けようとしなくて大丈夫

ここまで違いを整理してきましたが、実際にはいくつもの痛みが同時に来るので、自分で切り分けるのはとても難しいです。そして、切り分けるのは本来こちらの仕事ではありません。

助産師さんや医師に伝えるときは、「どのあたりが」「どんなふうに」「いつ強くなるか」の3つだけで十分です。「下腹部の真ん中が、授乳のときにぎゅーっと痛みます」——このくらいで、必要な判断は伝わります。

伝えるときの3点
  • どのあたりが痛むか(下腹部の中央/外陰部/傷の周り など)
  • どんなふうに痛むか(締めつけられる/ひりひり/ずきずき/張る)
  • いつ強くなるか(授乳中/動いたとき/座ったとき/ずっと)

痛みは我慢しなくていい|後陣痛への対処

ここが、この記事でどうしても伝えたいことのひとつです。後陣痛は、我慢して乗り切るものではありません。

鎮痛薬を使うのは、標準的な対応です

MSDマニュアル プロフェッショナル版は、後陣痛について「鎮痛薬が必要になることがある」と書いたうえで、「非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が会陰の不快感および子宮の痙攣痛の両方に効果的である」としています。

先ほど紹介した日本産婦人科医会の記述でも、後陣痛は「鎮痛薬の投与により経過観察を行う」症状として挙げられていました。痛み止めを使うことは、特別なことでも、根性が足りないということでもありません。医療の現場で普通に行われている対応です。

「授乳中だから飲めない」と思い込まないで

痛み止めをためらういちばんの理由は、「母乳に影響しないか」だと思います。ここについても、資料ははっきり書いています。

MSDマニュアル プロフェッショナル版は「アセトアミノフェンおよびイブプロフェンは、通常の推奨用量で使用すれば授乳中でも安全であると考えられている」としています。家庭版でも「アセトアミノフェンやイブプロフェンは通常の用量であれば安全とみられています」と、同じ趣旨が書かれています。

つまり「授乳しているから痛み止めは一切使えない」というのは、正しくありません。産院で痛み止めが処方されるのは、この考え方があるからです。もらった薬は、痛いときに遠慮なく使って大丈夫です。

ただし、自分で選ばないでください
同じMSDマニュアル家庭版は、授乳中の女性について「市販薬や薬用ハーブも含めたあらゆる薬剤について、使用する前に医療専門職に相談するのがよいでしょう」としています。
この記事に出てくる成分名は、資料にそう書かれているという事実の紹介であって、特定の市販薬をおすすめするものではありません。手元の薬を飲んでよいか迷ったら、「授乳中です」と伝えたうえで、医師・薬剤師に確認してください。産院で処方された薬があるなら、それが最優先です。

ちなみ(元看護師)

「痛み止めをください」と言い出せずに、夜中ずっと耐えていた方を何人も見てきました。ナースコールを押していい理由として、痛みは十分すぎるくらいです。眠れないほど痛いなら、それは伝えるべき情報なんです。

参考 授乳期間中の薬剤および物質の使用MSDマニュアル家庭版

(クリエイターが確定するaltプレースホルダー)

体勢や過ごし方でできること

「この体勢が効く」という推奨を示した公的な資料は見当たりませんでした。ですので、ここは痛みのしくみから考えて理にかなうことを整理します。無理のない範囲で試してみてください。

後陣痛がつらいときに試せること
  • 下腹部を締めつけない。きつい下着やベルトは痛みを強く感じさせることがある
  • 体を丸めて横になる。おなかの力を抜ける姿勢のほうが楽に感じやすい
  • おなかを温める。冷えると筋肉は緊張しやすい(帝王切開の傷がある場合は傷を避け、必ず医療者に確認を)
  • 授乳の前に痛み止めのタイミングを相談しておく。授乳のたびに痛むとわかっているなら、先回りできる
  • トイレを我慢しない。膀胱がいっぱいだと子宮の収縮が妨げられることがある
  • 痛いときは横になる。産後数日は、動けることと動いていいことは違う

骨盤ベルトについて調べている方も多いのですが、後陣痛そのものを和らげる目的で使うものではありません。締めつけがかえって痛く感じることもあるので、使うなら産院の助産師さんに、いま使っていいものか確認してから にしてください。

これは後陣痛じゃないかも|受診を考える目安

後陣痛は自然な経過ですが、産後の下腹部痛がすべて後陣痛とはかぎりません。見分けるための考え方を持っておきましょう。

いちばんの目安は「痛みの向き」

後陣痛は、分娩後初めの数日間をピークに、日を追って弱まっていくのが基本の流れです。ですから、判断の軸はシンプルです。

日を追って楽になっているなら、経過として自然。反対に、日を追って強くなっている・いったん治まったのに強い痛みが出てきたなら、後陣痛以外の理由を考える——この向きで見てください。

産院・産婦人科に相談したいとき
  • 痛みが日を追って強くなっている
  • いったん治まったのに、あとから強い下腹部痛が出てきた
  • 発熱をともなう
  • 悪露が減らない・鮮血に戻る・においが強い
  • 処方された鎮痛薬を使っても効かない、眠れない
  • お腹の傷(帝王切開)が赤く腫れる・熱を持つ・浸出液が出る

「子宮復古不全」という状態

子宮の戻りが順調に進まない状態は子宮復古不全(しきゅうふっこふぜん)と呼ばれます。この状態では、子宮が十分に縮まないために悪露がいつまでも減らない、鮮やかな出血に戻るといった変化が現れることがあります。

日本産婦人科医会は、分娩後しばらく経ってから起こる出血(後期分娩後異常出血)についてまとめており、産後の出血は「量が減っていく方向にあるか」を見ることが大切だとわかります。

後陣痛の強さだけで子宮の戻りは判断できません。痛みではなく、悪露の色と量の変化を見るほうが確かです。悪露の経過と受診の目安は、こちらで詳しく整理しています。

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退院後に痛みがぶり返したとき

「退院して家に帰ったら、また痛くなった」という声もよく聞きます。家に戻ると動く量が一気に増えるので、体にかかる負担が変わることは実際にあります。

ただし先ほどお伝えしたとおり、子宮が元の大きさに戻るまでには4〜6週間かかります。退院は「回復が終わった合図」ではありません。痛みが軽くぶり返す程度なら休息を優先し、強くなる方向に向かっている・発熱や悪露の変化をともなうときは、迷わず産院に連絡してください。

産後2週間健診・1か月健診は、まさにこうしたことを相談する場です。「こんなことで聞いていいのかな」と思う内容ほど、聞いておく価値があります。

参考 (8)後期分娩後異常出血 late(secondary)postpartum hemorrhage(表 21)公益社団法人 日本産婦人科医会

後陣痛が落ち着いたあとの体

後陣痛が引いても、産後の体の変化はしばらく続きます。悪露は数週間かけて色と量を変えていきますし、生理の再開はさらに先です。抜け毛が気になりはじめる方もいます。

とくに知っておいてほしいのは、生理が再開する前に排卵が起こるということです。「まだ生理が来ていないから」という理由で妊娠しないとは言えません。次の妊娠をどう考えるかは、体が戻りきる4〜6週間の間に、いちど整理しておく価値があります。

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産後の体は、痛み・出血・ホルモンの変化が同時に進む時期です。ひとつずつ「これは何が起きているのか」がわかると、必要以上に怖がらずにすみます。

産後の入院中は、後陣痛と一緒に足のむくみに悩まされることもあります。むくみのピークの時期や、家でできる対処についてはこちらの記事にまとめました。

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産後まもない時期は、後陣痛と腰の痛みが重なって区別しにくいことがあります。産後の腰痛の見分け方と、痛みが強い日の起き上がり方は、こちらの記事で整理しています。

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参考 母子保健・不妊症・不育症などこども家庭庁

まとめ

後陣痛でおさえておきたいこと
  • 後陣痛は、子宮が妊娠前の大きさに戻ろうとして収縮する痛み(けいれん痛)
  • 痛む場所は下腹部。多くの方が重い生理痛に似ていると表現する
  • 始まりは分娩の直後から。強く痛むのは分娩後初めの数日間が目安
  • ピークが何日目という確立した数字はない。日数より「昨日より楽になる方向か」で見る
  • 痛みが数日でも、子宮が戻るのは4〜6週間。痛みが消えても回復は続いている
  • 授乳で痛むのはオキシトシンが子宮の収縮力を強めるから。しくみどおりの反応
  • 「経産婦のほうが強い」に公的な裏づけは見当たらない。ない・軽いのも想定内
  • 鎮痛薬を使うのは標準的な対応。アセトアミノフェンやイブプロフェンは通常用量なら授乳中でも安全とされている(ただし自分で選ばず医師・薬剤師に相談
  • 日を追って強くなる・発熱・悪露が減らないときは後陣痛以外の理由を考えて受診を

出産という大仕事を終えた直後に、また痛みと向き合わなければいけないのは、本当に理不尽に感じると思います。しかもこの痛みは、事前にあまり説明されないまま来ることが多いんですよね。

でも、後陣痛は体が回復に向かっている過程で起きていることで、しかも我慢する必要のない痛みです。痛いときは痛いと伝えて、休めるときに休んでください。

そして、気になるサインがあるときは遠慮なく相談してください。産後のあなたの体は、赤ちゃんと同じくらい大切にされていいものです。

よくある質問(後陣痛|FAQ)

Q後陣痛はいつからいつまで続きますか?

A.子宮は分娩を終えた直後から収縮を始めるため、後陣痛も産まれてすぐから感じる方が多いです。痛みが続く期間について、MSDマニュアル家庭版は「この収縮は、分娩後数日間痛みを伴うこともあります」、プロフェッショナル版は「分娩後初めの数日間」としています。強く痛むのは産後数日間がひとつの目安で、入院期間とちょうど重なるくらいとイメージしてください。

Q後陣痛のピークは何日目ですか?

A.ピークが何日目に来るかを示した確立した数字は、公的機関や医療者向けの資料には見当たりません。産後1日目がいちばんつらかったという方も、2〜3日目に強くなったという方もいます。日数で採点するより「昨日より楽になる方向に向かっているか」を見てください。方向さえ下向きなら経過は順調です。

Q痛みが消えたら、子宮はもう元に戻っていますか?

A.いいえ、別の時間軸です。MSDマニュアル プロフェッショナル版によると、子宮は5〜7日後に子宮底が恥骨結合と臍のほぼ中間に達し、2週後までに腹部から触知できなくなり、典型的には4〜6週間で妊娠前の大きさに戻ります。痛みが引いても、体の内側では1か月以上かけて回復が続いています。

Q授乳のたびにお腹が痛くなるのはなぜですか?

A.MSDマニュアル家庭版は「子宮の収縮力は母乳を与えると強まります。授乳がきっかけとなって、オキシトシンというホルモンの分泌が刺激されます」と説明しています。オキシトシンは母乳を押し出すと同時に子宮を収縮させる働きを持つため、授乳と痛みが同時に来ます。しくみどおりの反応であって、異常ではありません。

Q授乳中でも痛み止めは使えますか?

A.MSDマニュアル プロフェッショナル版は「アセトアミノフェンおよびイブプロフェンは、通常の推奨用量で使用すれば授乳中でも安全であると考えられている」としています。「授乳中だから一切使えない」というのは正しくありません。ただし同じ資料は、授乳中はあらゆる薬剤について使用前に医療専門職に相談するのがよいとしています。自分で選ばず、産院で処方された薬を優先し、迷ったら「授乳中です」と伝えて相談してください。

Q後陣痛がほとんどないのですが、子宮はちゃんと戻っていますか?

A.心配いりません。資料はこの痛みを「伴うこともあります」「伴う場合があり」という書き方をしており、必ず起こるものとしては書かれていません。また、子宮が戻っているかどうかは痛みの強さではなく、悪露の色と量の変化や健診での確認で見ていくものです。痛みが軽いこと自体は、回復が遅れているサインではありません。

Q後陣痛はなんと読みますか?

A.「こうじんつう」と読みます。出産のときの「陣痛」のあと(後)に来る痛み、という成り立ちの言葉です。医学的には、子宮が妊娠前の状態に戻っていく子宮復古(しきゅうふっこ)の過程で起こる収縮の痛みを指します。

Q2人目のほうが後陣痛が強いというのは本当ですか?

A.よく語られる話ですが、「経産婦のほうが強い」と根拠つきで説明している公的機関・学会の資料は見当たりませんでした。2人目なのに軽くても、1人目なのに強くても、どちらもおかしくありません。痛みの強さの違いを気にするより、痛みが眠りや授乳を妨げていないかで判断してください。

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