妊娠後期の健診で「今日からNSTをします」と言われて、はじめてその名前を聞いた——という方は多いと思います。おなかにベルトを2本巻かれて、20分も30分もベッドで横になって、最後に細長い紙を見ながら先生が何か言っている。何を測られていたのか、あの紙のギザギザは何なのか、よくわからないまま終わってしまった。
この記事では、元看護師で2児の母である私「ちなみ」が、NST(ノンストレステスト)が何を見ている検査なのか、いつから始まるのか、当日の流れ、そして記録紙のグラフに何が書かれているのかを、日本産婦人科医会の資料をもとに整理しました。
「赤ちゃんが寝ていて、もう一回やりますと言われた」「時間が延びて不安になった」という方にも読んでほしい内容です。それがよくあることなのかどうかが、いちばん知りたいところだと思うので。
目次
- NST(ノンストレステスト)とは?
- NSTで何がわかるの?
- NSTはいつから、どのくらいの頻度で受けるの?
- 検査当日の流れ——実際にはどんなことをするの?
- 記録紙のグラフには何が書いてあるの?
- 赤ちゃんが寝ていて反応が出ないとき
- 検査中、お母さんは寝ていてもいいの?
- NSTと、お産のときのモニタリングは何が違う?
- NSTの費用はどうなるの?
- 結果について、健診で聞いておきたいこと
- 健診でよく使われる言葉の意味
- 健診と健診のあいだで、見逃したくないサイン
- ちなみから|あの30分は、赤ちゃんとふたりきりの時間です
- まとめ|NSTは「元気さ」を見る検査です
- よくある質問(NST・ノンストレステスト|FAQ)
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NST(ノンストレステスト)とは?
「ストレスをかけない検査」という意味です
NSTはNon-Stress Testの略で、日本語ではノンストレステストと呼びます。「ノンストレス」というのは、赤ちゃんに負荷をかけない状態で測るという意味です。
陣痛のように子宮が強く収縮している状態は、赤ちゃんにとって負荷(ストレス)がかかっている状態です。それに対してNSTは、陣痛が来ていない、ふだんどおりの状態で赤ちゃんの様子を見ます。だから「ノンストレス」なのです。
測っているのは2つ——赤ちゃんの心拍と、子宮の張り
おなかに巻かれるベルトが2本あるのは、測っているものが2つあるからです。
- 赤ちゃんの心拍数——超音波を使ったセンサーで、心臓の拍動を拾います
- 子宮の収縮(おなかの張り)——おなかの表面のかたさの変化をとらえるセンサーです
この2つを同時に記録した紙のことを胎児心拍数陣痛図(CTG)と呼びます。健診で渡される、あの細長い記録紙のことです。
- NST/ノンストレステスト——検査の名前
- CTG(胎児心拍数陣痛図)——記録された図のこと
- 分娩監視装置——測定に使う機械のこと
- 胎児心拍数モニタリング——心拍を見守ること全般
どれも同じ検査まわりの言葉なので、施設によって言い方が違っても心配いりません。
「NST」には、まったく別の意味もあります
検索していると混乱するので先に書いておきます。医療の世界ではNST=栄養サポートチーム(Nutrition Support Team)という意味でも使われます。病院で栄養管理を担当する多職種のチームのことで、妊娠とはまったく関係ありません。
「NSTとは」で検索すると両方が混ざって出てくるので、妊婦健診の話を探しているときは「ノンストレステスト」と検索したほうが早いです。
NSTで何がわかるの?
見ているのは「赤ちゃんが元気かどうか」
NSTが見ているのは、おなかの中で赤ちゃんが元気に過ごせているかです。医療の言葉では「胎児の健常性」や「well-being(ウェルビーイング)」といった言い方をします。
体の形や病気を調べるエコーとは、目的が違います。エコーが「かたち」を見る検査だとすれば、NSTは「元気さ」を見る検査です。
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動くと心拍が上がる——それが元気な証拠
NSTの考え方の中心はここです。とてもわかりやすい説明が、日本産婦人科医会の資料に載っています。
赤ちゃんが健康なら、一定の割合で胎動が起こります。胎動は赤ちゃんにとって運動なので、私たちがジョギングをするときと同じように、動けば心拍数が上がります。
つまり「動いたときに、心拍数がちゃんと上がるかどうか」を見ているわけです。この一時的な心拍数の上がりを一過性頻脈と呼びます。
参考 スタートアップ3(胎児が健全である証拠)日本産婦人科医会
ちなみ(元看護師)
病気を診断する検査ではありません
ここは押さえておいてください。NSTはその時点での赤ちゃんの様子を見る検査であって、病気の有無を診断するものではありません。
また、「今日大丈夫だったから、この先ずっと大丈夫」という保証をするものでもありません。だからこそ、健診と健診のあいだは、あなたが感じる胎動がいちばんの情報になります。
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NSTはいつから、どのくらいの頻度で受けるの?
妊娠後期から健診に加わることが多い
多くの施設では、妊娠後期(30週台の後半ごろ)から健診のメニューに入ってきます。「36週から毎回」という施設もあれば、もう少し早い時期から始める施設もあります。
開始時期は施設の方針によって差があります。「友だちはもっと早くから始まったのに」と比べる必要はありません。気になる場合は、健診で「うちはいつからNSTが入りますか」と聞いてしまうのがいちばん早いです。
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もっと早い時期から行うことがある理由
経過に応じて、後期を待たずにNSTを行うことがあります。たとえば次のような場合です。
- おなかの張りが続いている・切迫早産と言われている
- 血圧が高め・妊娠高血圧症候群と言われている
- 赤ちゃんの発育がゆっくりと言われている
- 羊水の量が気になると言われている
- 双子などの多胎妊娠
- 糖尿病など、妊娠前からの持病がある
- 予定日を過ぎている
- 胎動が減ったと相談した
つまりNSTが増えること自体は「悪い知らせ」ではなく、「より丁寧に見ています」という意味です。回数が増えると不安になりがちですが、見守りの手が厚くなったと受け取ってください。
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予定日を過ぎたとき
予定日を過ぎると、多くの施設でNSTの回数が増えます。「まだ生まれないな」と待っている時期に、健診のたびにベルトを巻かれることになります。
これは、予定日を過ぎてからの経過を丁寧に確認するためです。赤ちゃんの元気さと羊水の量を合わせて見ながら、待てる状態かどうかを判断していきます。「まだ?」と焦る時期ですが、この確認があるからこそ安心して待てる、という面もあります。
双子など多胎の場合
赤ちゃんが2人いる場合は、それぞれの心拍を別々に記録します。センサーの数が増えるので、おなかに巻くベルトも多くなり、位置合わせに時間がかかることがあります。
2人が同時に起きているとは限らないため、片方だけ反応が出て、もう片方は待つということもよくあります。単胎より時間がかかりやすいと思っておくと、当日あわてずにすみます。
頻度は状況によって変わります
毎回の健診で行う場合、週に1回の場合、入院中はもっと頻繁に行う場合など、状況によって大きく変わります。「前回はやったのに今回はやらなかった」ということもありますが、それも経過を見たうえでの判断です。

検査当日の流れ——実際にはどんなことをするの?
だいたいの流れ
- トイレを済ませる——始まると途中で抜けにくいので、先に行っておきます
- ベッドに横になる——多くは少し上体を起こした姿勢か、体の左側を下にした横向きです
- おなかにベルトを2本巻く——センサーにゼリーを塗ってから当てます。少し冷たいです
- そのまま安静に過ごす——記録が取られていきます
- 終了。記録紙を見ながら説明を受ける
施設によっては、胎動を感じたらボタンを押してくださいと手元にスイッチを渡されます。押した記録が紙に印されるので、「動いたタイミング」と「心拍が上がったタイミング」を照らし合わせられるようになっています。
時間はどのくらいかかる?
20分から40分程度が目安ですが、これはあくまで目安です。赤ちゃんの様子によって延長されることがよくあります(理由は次のセクションで詳しく説明します)。
大事なのは、健診全体の所要時間が長くなるということです。NSTが入る日は、待ち時間も含めて余裕をもったスケジュールにしておいてください。上の子のお迎えの時間ぎりぎりに予約を入れると、かなり焦ることになります。
痛みはありません
ベルトを巻いて外から測るだけなので、針を刺したり、体の中に入れたりすることはありません。痛みはありません。
ただし同じ姿勢で30分近く動けないのはそれなりにつらいです。腰が痛くなったり、あお向けで気分が悪くなったりすることがあります。がまんせず、その場で伝えてください。姿勢を変えてもらえます。
うまく心拍が拾えないこともあります
検査中に助産師さんが何度もセンサーの位置を直しに来ることがあります。「何かあったの?」と不安になりますが、たいていは単純に音が拾いにくくなっただけです。
赤ちゃんが動いて位置が変わったり、お母さんが姿勢を変えたりすると、センサーの向きがずれて拾えなくなります。赤ちゃんが元気に動いているほど、むしろずれやすいくらいです。
位置を直しているあいだ、心音が途切れて静かになると心臓が縮む思いがしますが、機械が拾えていないだけで、赤ちゃんの心臓は動いています。落ち着いて待って大丈夫です。
あると助かるもの
- 上下が分かれた服——おなかを出しやすい服装だとスムーズです
- 羽織るもの——おなかを出したまま30分横になるので、意外と冷えます
- 飲み物——終わったあとに飲めると楽です
- スマホ——ただし施設のルールに従ってください
ゼリーを拭き取ったあと少しべたつきが残ることがあるので、ウェットティッシュを持っている方もいます。
記録紙のグラフには何が書いてあるの?
「見方」を知りたい方がとても多いテーマです。自分で判定するためではなく、説明を理解しやすくするためという前提で読んでください。
上段が心拍、下段が子宮の張り
記録紙は2段になっています。
- 上段——赤ちゃんの心拍数。細かく上下しながら流れていきます
- 下段——子宮収縮(おなかの張り)。張ると山ができます
紙は一定の速さで流れていて、日本では1分間に3cm送る設定が使われます。だから紙の長さが、そのまま検査時間の長さになります。
心拍数の数字——大人よりずっと速いのが普通です
赤ちゃんの心拍数の基本になる値を胎児心拍数基線といい、110〜160bpmが正常な範囲とされています(bpmは1分間の拍動の回数)。160を超えると頻脈、110を下回ると徐脈と分類されます。
大人の安静時の心拍数はだいたい60〜80くらいですから、赤ちゃんの心拍は大人の倍近く速いことになります。モニターの数字が140などと表示されているのを見て「速すぎるのでは」と驚く方がいますが、それが正常です。
医療者が見ている5つのポイント
日本産婦人科医会の資料では、CTGを読むときに確認する項目として次の5つが挙げられています。
| 項目 | 何を見ているか |
|---|---|
| 胎児心拍数基線 | 10分間のおおよその心拍数(110〜160bpmが正常) |
| 基線細変動 | 心拍数の細かい揺れ。1分間に2サイクル以上の、規則性のない変動 |
| 一過性頻脈 | 一時的に心拍数が上がること |
| 一過性徐脈 | 一時的に心拍数が下がること |
| 子宮収縮 | おなかの張りの回数と強さ |
この5つを組み合わせて総合的に判断します。ひとつの項目だけを取り出して良し悪しを決めることはしません。
一過性頻脈——「これが出てほしい」もの
前に書いた「動くと心拍が上がる」の、上がった部分がこれです。定義もきちんと決まっています。
- 妊娠32週以降——15秒以上2分未満のあいだ、15bpm以上心拍数が増えること。しかも開始から30秒未満で比較的急速に上がるもの
- 妊娠32週未満——10bpm以上、10秒以上のもの
週数によって基準が違うのは、週数が進むほど赤ちゃんの反応がはっきりしてくるからです。早い時期は反応が小さいのが当たり前なので、基準もそれに合わせてあります。
一過性徐脈——「下がる」ほうの動き
一過性頻脈が「上がる」なら、こちらは一時的に心拍数が下がる動きです。15秒以上2分未満のあいだ、心拍数が減少するものを指します。
ここで大事なのは、一過性徐脈があること=異常、ではないということです。医療者が見ているのは、下がったという事実だけではなく、子宮の収縮とどういうタイミングで重なっているか、どんな下がり方をしているか、どれくらいで戻るかです。
だからこそ、記録紙の下向きのへこみを見つけて自分で心配するのは意味がありません。同じ「下がり」でも、意味はまったく違うからです。
基線細変動——実はここが重視されます
あまり知られていませんが、医療者が重く見ているのが基線細変動です。心拍数のグラフをよく見ると、線がまっすぐではなく細かくギザギザ揺れているのがわかると思います。あの揺れのことです。
日本産婦人科医会の資料では、1分間に2サイクル以上の胎児心拍数の変動で、振幅・周波数とも規則性がないものと定義されています。
感覚的な言い方をすると、心拍が細かく揺れているのは、体の調節機能がちゃんと働いているサインと考えられています。逆に線が平坦になってしまうほうが注目されます。「ギザギザしていて不安定に見える」と心配する方がいますが、むしろギザギザしているのが自然な状態です。
胎動ボタンの印
胎動を感じたときに押すボタンを渡された場合、押したタイミングが記録紙に印として残ります。この印と、心拍が上がった部分が近い位置にあれば、「動いたときに心拍が上がった」ことが目で確認できます。
ただし、押し忘れても問題ありません。赤ちゃんの動きは心拍の変化そのものにも表れるので、ボタンはあくまで補助です。「押せなかった」と落ち込む必要はまったくないです。
記録紙を自分で判定しないでください
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。
医療者は波形を評価するときに5段階のレベル分類という枠組みを使います。ただし日本産婦人科医会は、この分類について「レベル分類は診断ツールではなく物差(モノサシ)である」とはっきり書いています。専門家が使う道具ですら、それ単独で診断するものではない、ということです。
参考 ステップアップ8(胎児心拍数波形のレベル分類)日本産婦人科医会
しかも判読は肉眼的(主観的)に波形を見て当てはめる手順で行われ、レベルごとの対応は産婦人科診療ガイドラインや助産業務ガイドラインに定められています。紙を持ち帰って自分で線の上下を数えても、意味のある判断にはなりません。
気になったなら、その場で「これはどういう状態ですか」と聞くのが唯一の正解です。「聞いたら心配性だと思われるかな」と遠慮する必要はまったくありません。

赤ちゃんが寝ていて反応が出ないとき
「時間を延長します」「もう一度やりましょう」と言われて、頭が真っ白になった——という方は本当に多いです。ここを詳しく書きます。
赤ちゃんにも睡眠のリズムがあります
おなかの中の赤ちゃんは、ずっと動き続けているわけではありません。眠っている時間帯があり、その間は動きが少なくなります。
NSTは「動いたときに心拍が上がるか」を見る検査なので、赤ちゃんが寝ている時間帯に当たると、そもそも動かないので反応が出ません。これは赤ちゃんの元気さの問題ではなく、タイミングの問題です。
だから、延長はよくあることです
反応が出ないときにまず行われるのは、単純に時間を延ばして様子を見ることです。赤ちゃんが目を覚ますのを待つわけです。
ほかにも、体の向きを変える/少し体を動かしてもらう/音の出る器具で刺激する/時間をおいてもう一度測るといった方法がとられます。どれもごく一般的な対応で、「異常が見つかったから」ではありません。
- まず「寝ているのかもしれません」と考える——実際にいちばん多い理由です
- その場で理由を聞いていい——「反応待ちですか、それとも気になる点がありますか」と聞けば答えてもらえます
- 気になる点がある場合は、必ず説明があります——黙って延長だけして帰されることはありません
ちなみ(元看護師)
検査の前にできる、ちょっとした工夫
確実な方法ではありませんが、赤ちゃんが動きやすい状態で臨むと、スムーズに終わることがあります。
- 空腹のまま行かない——何か食べたあとのほうが動きやすいと言われます
- ふだん胎動をよく感じる時間帯を知っておく——予約の時間を選べるなら参考になります
- 直前にトイレを済ませる——落ち着いて横になれます
ただしうまくいかなくても、あなたのせいではまったくありません。赤ちゃんの都合なので、こちらでコントロールできるものではないです。
検査中、お母さんは寝ていてもいいの?
よく聞かれる質問です。基本的には、リラックスして過ごして問題ありません。眠くなったら眠ってしまってもかまわない、という施設が多いです。むしろ緊張しているより、ゆったりしていたほうが記録は安定します。
ただし2点だけ気をつけてください。
- 胎動ボタンを渡されている場合は、押せる状態でいる——眠ってしまうと押せません。気になるなら「眠ってしまいそうです」と先に伝えておくとよいです
- あお向けで気分が悪くなったら起きて伝える——眠っていて我慢してしまうのがいちばんよくありません
横になって静かに過ごせる30分は、妊娠後期にはなかなか貴重な時間でもあります。休憩の時間だと思ってしまってかまいません。
NSTと、お産のときのモニタリングは何が違う?
同じ機械(分娩監視装置)を使うので混同されやすいのですが、目的とタイミングが違います。
| NST(妊娠中) | お産のときのモニタリング | |
|---|---|---|
| いつ | 陣痛が来ていない妊娠中 | 陣痛が来ている分娩中 |
| 目的 | 赤ちゃんが元気に過ごせているかの確認 | 陣痛という負荷に赤ちゃんが耐えられているかの確認 |
| 時間 | 20〜40分程度 | 状況に応じて長時間・連続で行うことがある |
| 姿勢 | 横になって安静に | 陣痛の合間に動くこともある |
「ノンストレス」という名前は、まさにこの違いから来ています。陣痛という負荷(ストレス)がかかっていない状態で測るからノンストレスなのです。
入院してお産が始まると、同じようにベルトを巻いて心拍を見ていくことになります。NSTで一度経験しておくと、そのときに戸惑わずにすみます——これはNSTの、ちょっとした副産物のよさだと思います。
陣痛とは?間隔・痛みの強さ・病院へ行くタイミングを元看護師が解説
陣痛が来ている状態で測ることもあります
「まだ出産ではないけれど、おなかの張りが強い」という状態で入院して、モニターをつけることがあります。この場合は張りの回数や強さと、赤ちゃんの心拍の関係を一緒に見ています。
前駆陣痛なのか本陣痛なのかを判断するときにも、この記録が手がかりになります。
前駆陣痛とは?本陣痛との違い・いつから・どんな痛みかを元看護師が解説
NSTの費用はどうなるの?
ここは正直に、幅のある書き方をします。NSTの費用の扱いは、状況によって変わります。
- 妊婦健診の一部として行われる場合——妊婦健診そのものが原則自費なので、健診費用に含まれる形になります。自治体の補助券の対象になるかは、券の内容によります
- 医学的な必要があって行われる場合——経過に応じて必要と判断された場合は、保険診療として扱われることがあります
同じ検査でも扱いが違うのは、「健康な経過の確認」として行うのか、「必要があって」行うのかで位置づけが変わるためです。金額も施設によって差があります。
気になる場合は、NSTが始まる前の健診で「今後NSTが入ると費用はどうなりますか」と聞いておくのが確実です。妊娠後期は健診の回数も増える時期なので、先に見通しを立てておくと安心できます。
妊婦健診の頻度は?回数・スケジュール・毎回の検査内容と費用を元看護師が解説
結果について、健診で聞いておきたいこと
NSTのあとは、記録紙を見ながら短い説明があるのが普通です。その場で聞いておくとよいことを挙げます。
- 「今日の結果はどうでしたか」——いちばんシンプルで、いちばん確実です
- 「赤ちゃんはよく動いていましたか」——一過性頻脈が出ていたかを、やさしい言葉で聞けます
- 「次もNSTはありますか」——今後の見通しがわかります
- 「家で気をつけて見ておくことはありますか」——次の健診までの過ごし方につながります
- 「どういうときに連絡すればいいですか」——これがいちばん大事です
とくに最後のひとつは、聞いておくと次の健診までの不安がまったく違います。連絡していい基準を先に持っておくと、迷う時間がなくなるからです。
追加の検査をすすめられたとき
NSTの結果を見て、その日のうちに追加で確認しましょうと言われることがあります。よくあるのは次のような流れです。
- もう一度時間をおいてNSTを取り直す——いちばん多い対応です
- エコーで確認する——羊水の量や赤ちゃんの動き方を合わせて見ます
- その日は少し長めに院内で様子を見る
- 入院して継続的に見る——経過によってはこの判断になることがあります
提案されると不安になると思いますが、これらは「今わかっていないことを、はっきりさせるための手順」です。何かが確定したから追加しているわけではありません。
このときこそ、「今どういう状態だと考えていますか」「何を確かめるための検査ですか」と聞いてください。目的がわかるだけで、待ち時間の重さがまったく変わります。
羊水過少とは?原因・症状・胎児への影響から入院・分娩まで元看護師が解説
記録紙はもらえる?
施設によって違います。渡してくれるところもあれば、カルテとして保管するところもあります。もらえなくても問題はありません——記録は施設に残っています。
もし記念に持ち帰りたいなら、「この紙はいただけますか」と聞いてみてください。ただし前に書いたとおり、持ち帰って自分で読み込むためのものではないことは忘れないでください。
健診でよく使われる言葉の意味
NSTのあとに言われる言葉は、短くて、しかも聞き慣れないものが多いです。よく耳にするものを整理しておきます。
| 言われる言葉 | だいたいの意味 |
|---|---|
| リアクティブ/反応あり | 動いたときに心拍の上がり(一過性頻脈)が確認できた、という意味 |
| ノンリアクティブ/反応が出ない | 記録した時間内に、その上がりが確認できなかったという意味。寝ていた可能性が高い |
| 所見なし/問題ありません | 気になる点が見当たらなかったという意味 |
| もう少し取りましょう | 記録時間を延長するという意味。多くは反応待ち |
| 経過を見ましょう | いま対応が必要な状態ではないが、次回も確認するという意味 |
| 念のため | 確定した問題があるわけではないが、確かめておきたいという意味 |
※言い回しは施設や担当者によって違います。この表は言葉の雰囲気をつかむためのもので、正式な定義ではありません。
「ノンリアクティブ」と言われても、まず落ち着いて
この言葉を持ち帰って検索して、不安でいっぱいになる方が多いです。もう一度書きます。記録時間内に反応が出なかった理由でいちばん多いのは、赤ちゃんが眠っていたことです。
だから多くの場合、次に行われるのは「時間を延ばす」「もう一度取る」です。その結果、反応が確認できて終わることがほとんどです。
もし本当に気になる所見があれば、医療者は必ずその場で説明し、次の対応まで伝えます。説明がないまま帰されているなら、それは待っているだけだと考えて大丈夫です。
「念のため」という言葉について
医療者は「念のため」をとてもよく使います。これは不安をあおる意図ではなく、確定していないことを確定していないまま伝えるための言葉です。
とはいえ、言われたほうは気になります。「念のため、というのは何を確かめるためですか」と聞き返してかまいません。失礼にはなりませんし、むしろ説明する側も助かります。

健診と健診のあいだで、見逃したくないサイン
NSTはあくまでその日その時間の記録です。次の健診までのあいだ、赤ちゃんの様子をいちばん近くで感じ取れるのはあなたです。
- いつもより胎動が明らかに少ない、感じられない
- おなかが強く張り続けて、休んでもおさまらない
- 出血がある
- 破水したかもしれない
- 強い腹痛がある
- 激しい頭痛・目のちらつき・急にむくんだ
「こんなことで電話していいのかな」と迷う程度のことこそ、電話で聞いてしまってかまいません。産院はそのために連絡先を渡しています。
とくに胎動が減ったと感じたときは、遠慮なく連絡してください。「気のせいだった」で終わるならそれがいちばんいい結果です。
胎動はいつから?どんな感じ・激しいときや少ないときの受診目安まで元看護師が解説
ちなみから|あの30分は、赤ちゃんとふたりきりの時間です
NSTの時間って、独特だと思いませんか。おなかにベルトを巻かれて、静かな部屋で横になって、心拍の音だけが規則的に聞こえてくる。何もできないので、ただ自分のおなかのことだけを考える30分になります。
私は上の子のときも下の子のときも、この時間がわりと好きでした。妊娠後期って、仕事や上の子のことでばたばたして、おなかの赤ちゃんのことだけを考える時間が意外と取れないんですよね。NSTのあいだだけは、否応なくそれができます。
もちろん、不安な気持ちで受けている方もいると思います。「延長します」と言われて泣きそうになった、という話も何度も聞きました。だからこそ、延長のいちばん多い理由は「赤ちゃんが寝ているから」だということを、この記事で知っておいてほしいと思いました。
そして、聞きたいことはその場で聞いてください。あの細長い紙は、家に持ち帰って読み解くものではなくて、目の前の先生や助産師さんと一緒に見るためのものです。わからないことをわからないまま持ち帰らないでくださいね。
まとめ|NSTは「元気さ」を見る検査です
- NST=Non-Stress Test。陣痛のような負荷がかからない状態で、赤ちゃんの様子を見る検査
- 測っているのは赤ちゃんの心拍数と子宮収縮(おなかの張り)の2つ。だからベルトが2本
- 見ているのは病気ではなく「赤ちゃんが元気に過ごせているか」。エコーが「かたち」なら、NSTは「元気さ」
- 考え方の中心は「動くと心拍が上がる」。ジョギングで心臓がドキドキするのと同じ。この上がりが一過性頻脈
- 開始時期は妊娠後期からが多いが、施設によって差がある。経過によっては早くから、頻繁に行われる。回数が増えるのは「丁寧に見ている」という意味
- 所要は20〜40分が目安。痛みはないが同じ姿勢がつらい。あお向けで気分が悪くなったらすぐ伝える
- 記録紙は上段が心拍・下段が子宮収縮。心拍の基本値(基線)は110〜160bpmが正常範囲で、大人の倍近く速いのが普通
- 延長・再検査のいちばん多い理由は「赤ちゃんが寝ているから」。気になる所見があるときは医療者から必ず説明がある
- 記録紙を自分で判定しない。日本産婦人科医会も「レベル分類は診断ツールではなく物差(モノサシ)である」としている。気になったらその場で聞く
- 健診の合間は胎動がいちばんの情報。減ったと感じたら待たずに連絡する
名前だけ聞くと身構えてしまう検査ですが、中身は「横になって、赤ちゃんの心音を聞いている時間」です。何を見ているのかがわかっていれば、あの30分はずいぶん過ごしやすくなると思います。
よくある質問(NST・ノンストレステスト|FAQ)
QNST(ノンストレステスト)では何がわかりますか?
A.おなかの中で赤ちゃんが元気に過ごせているかを見る検査です。赤ちゃんの心拍数と子宮の収縮(おなかの張り)を同時に記録し、赤ちゃんが動いたときに心拍数がきちんと上がるかを確認します。日本産婦人科医会の資料では、胎動は赤ちゃんにとって運動であり、私たちがジョギングをするときと同じように心拍数が増加すると説明されています。この一時的な上がりを一過性頻脈といいます。なお、体の形や病気を調べるエコーとは目的が違い、NSTは病気を診断する検査ではありません。
QNSTは妊娠何週から始まりますか?
A.多くの施設では妊娠後期、30週台の後半ごろから健診のメニューに入ってきます。ただし開始時期は施設の方針によって差があり、「36週から毎回」というところもあれば、もう少し早く始めるところもあります。また、おなかの張りが続いている、血圧が高め、赤ちゃんの発育がゆっくり、羊水の量が気になる、多胎妊娠、持病がある、予定日を過ぎている、胎動が減ったと相談した、といった場合には、後期を待たずに行うことがあります。回数が増えるのは「悪い知らせ」ではなく、より丁寧に見ているという意味です。
QNSTは痛いですか?どのくらい時間がかかりますか?
A.痛みはありません。おなかにベルトを2本巻いて外から測るだけで、針を刺したり体の中に入れたりすることはありません。時間は20分から40分程度が目安ですが、赤ちゃんの様子によって延長されることがよくあります。ただし同じ姿勢で30分近く動けないのはそれなりにつらく、腰が痛くなったり、あお向けで気分が悪くなったりすることがあります。妊娠後期は大きくなった子宮が血管を圧迫することがあるので、気分が悪くなったらがまんせずすぐ伝えてください。体の左側を下にした横向きにすると楽になることが多いです。
QNSTの検査中、寝てしまってもいいですか?
A.基本的にはリラックスして過ごして問題なく、眠くなったら眠ってしまってもかまわないという施設が多いです。緊張しているより、ゆったりしていたほうが記録は安定します。ただし胎動を感じたら押すボタンを渡されている場合は、眠ってしまうと押せないので、気になるなら「眠ってしまいそうです」と先に伝えておくとよいです。また、あお向けで気分が悪くなったときは、眠っていてがまんしてしまうのがいちばんよくないので、その場合は起きて伝えてください。
Q赤ちゃんが寝ていて「もう一度やります」と言われました。何か問題があるのでしょうか?
A.いちばん多い理由は、赤ちゃんが眠っていて動かなかったというタイミングの問題です。おなかの中の赤ちゃんにも睡眠のリズムがあり、眠っている時間帯は動きが少なくなります。NSTは「動いたときに心拍が上がるか」を見る検査なので、寝ている時間に当たると反応が出ません。そのため、時間を延ばす、体の向きを変える、音の出る器具で刺激する、時間をおいて測り直すといった対応がとられますが、どれもごく一般的なものです。気になる所見があるときは医療者のほうから必ず説明があります。不安なら「反応待ちですか、それとも気になる点がありますか」とその場で聞いてください。
QNSTの記録紙のグラフは、自分で見て判断できますか?
A.できませんし、しないでください。記録紙は上段が赤ちゃんの心拍数、下段が子宮収縮を表し、医療者は胎児心拍数基線・基線細変動・一過性頻脈・一過性徐脈・子宮収縮の5つを組み合わせて総合的に判断します。日本産婦人科医会は、波形の評価に使う5段階のレベル分類について「レベル分類は診断ツールではなく物差(モノサシ)である」と明記しています。専門家が使う道具ですら、それ単独で診断するものではないということです。しかも判読は肉眼的に波形を見て当てはめる手順で行われます。気になる点があれば、その場で「これはどういう状態ですか」と聞くのが唯一の正解です。
Q赤ちゃんの心拍数が140などと表示されました。速すぎませんか?
A.正常です。赤ちゃんの心拍数の基本になる値を胎児心拍数基線といい、110〜160bpm(1分間の拍動の回数)が正常な範囲とされています。大人の安静時の心拍数はだいたい60〜80くらいなので、赤ちゃんの心拍は大人の倍近く速いのが普通です。160を超えると頻脈、110を下回ると徐脈と分類されますが、これも一時的な変動なのか継続しているのかなど、ほかの項目と合わせて判断されます。数字ひとつを取り出して良し悪しを決めることはしません。
QNSTの費用はいくらかかりますか?保険は使えますか?
A.状況によって扱いが変わります。妊婦健診の一部として行われる場合は、妊婦健診そのものが原則自費なので健診費用に含まれる形になり、自治体の補助券の対象になるかは券の内容によります。一方、経過に応じて医学的な必要があって行われる場合は、保険診療として扱われることがあります。同じ検査でも「健康な経過の確認」として行うのか「必要があって」行うのかで位置づけが変わるためです。金額も施設によって差があるので、NSTが始まる前の健診で「今後NSTが入ると費用はどうなりますか」と聞いておくと確実です。
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妊婦健診の頻度は?回数・スケジュール・毎回の検査内容と費用を元看護師が解説

