「胎動っていつごろから感じるの?」「今日はなんだか胎動が少ない気がする」「胎動が激しすぎるけど大丈夫かな」——おなかの中の赤ちゃんの様子を直接見ることはできないからこそ、胎動は多くの妊婦さんにとって、うれしさと不安が入り混じるテーマだと思います。
はじめまして、ちなみです。元看護師として産科病棟での勤務を経験し、現在は妊活・妊娠・子育てを中心に情報発信している男女2児のママです。この記事では、胎動を感じ始める時期、時期ごとの感じ方の変化、胎動が激しいとき・少ないときの考え方、胎動カウントのやり方、そして受診の目安まで、順を追って解説します。
ちなみ(元看護師)
胎動とは?赤ちゃんがおなかの中で動いているサイン
胎動とは、おなかの中の赤ちゃんが手足を動かしたり、体の向きを変えたり、体をひねったりする動きを、お母さんが自分の体で感じ取ることをいいます。赤ちゃん自身は妊娠のかなり早い時期から動いていますが、その動きが子宮の壁に届き、お母さんが「動いた」と自覚できるようになるまでには時間がかかります。
胎動を感じ始めるのは妊娠20週ごろから
日本産婦人科医会は、胎動について「妊娠20週ごろから胎動を感じ始めます」と説明しています。ただし「最初のころはまだ力が強くありませんので、不規則であることや、感じないときもあるかもしれません」とも書かれており、感じ始めのころは「あるようなないような」という状態が続くのが普通です。そして「妊娠20週半ば過ぎ以降はある程度感じられた方がよいでしょう」とされています。
初産婦と経産婦で、感じ始める時期は違う?
「経産婦のほうが胎動を早く感じる」とよくいわれます。これは、一度経験しているぶん「これが胎動だ」と気づきやすいためだと考えられています。実際に妊娠16週ごろから気づいたという声もありますが、あくまで傾向であり、経産婦でも20週を過ぎてからはっきり分かるようになる方はたくさんいます。逆に初産婦の方が「腸が動いているだけかも」と迷いながら、あとから振り返って「あれが胎動だった」と気づくケースも珍しくありません。
妊娠14〜18週で感じた気がするのは、気のせい?
妊娠14週・15週・17週・18週といった早い時期に「ポコッとした気がする」と感じる方も少なくありません。この時期は腸の動き(ガスの移動)と胎動の区別がつきにくく、実際にどちらだったのかを確かめる方法はありません。ただ、そのころに感じなかったからといって問題があるわけではないので、妊婦健診で赤ちゃんの発育が順調と言われているなら、焦らず待って大丈夫です。妊娠週数の数え方そのものがあいまいだと時期の判断もしにくくなるので、あわせてこちらの記事もご覧ください。
妊娠週数の数え方|受精より2週早いのはなぜ?週数↔月数の早見表・出産予定日まで元看護師が解説
胎動はどんな感じ?時期別の変化と胎動の種類
胎動の感じ方は、赤ちゃんの大きさや子宮の中のスペースによって、時期ごとに大きく変わっていきます。「どんな感じか分からない」という不安は、変化の全体像を知っておくとかなり和らぎます。
感じ始めのころ:ポコポコ・モニョモニョ・腸が動くような感覚
最初のころによく表現されるのが「ポコポコ」「モニョモニョ」「小さな泡がはじけるような感じ」「腸がキュルッと動いた感じ」といった感覚です。弱くて不規則なので、感じる日と感じない日があっても、この時期はまだ心配しすぎなくて大丈夫です。
妊娠7〜8か月ごろ:グーッ・ドゥルンと体全体で動く
赤ちゃんが大きくなってくると、手足で蹴る「ボコッ」という動きに加えて、体全体で向きを変える「グーッ」「ドゥルン」といった大きなうねりのような胎動を感じるようになります。この時期はおなかの中にまだスペースがあるため、赤ちゃんがよく動き回り、胎動がもっとも活発に感じられる時期といわれています。
臨月:おなかの表面に手足の形が浮き出ることも
臨月に近づくと、赤ちゃんの体が大きくなり子宮のスペースにゆとりがなくなるため、大きく回転するような動きは減り、その代わりに「グーッと押し出される」「おなかの表面に手やかかとの形が浮き出る」といった感じ方に変わっていきます。動きの回数が減ったように感じても、赤ちゃんの力そのものは強くなっているのが、この時期の特徴です。
規則的なピクピク・ブルブルは、赤ちゃんのしゃっくりであることが多い
「一定のリズムでピクッ、ピクッと数分間続く」「おなかの一か所がブルブル震える」という胎動に驚く方も多いのですが、これは赤ちゃんのしゃっくりであることが多いとされています。冬城産婦人科医院の解説でも「時々『痙攣様の胎動』を認めることがありますが、胎児の『しゃっくり』であることが多く、元気な証拠ですので心配いりません」と説明されています。飲み込んだ羊水を出そうとする横隔膜の動きで、赤ちゃんが呼吸の練習をしているサインとも考えられています。

胎動を感じやすい体勢・タイミング
「まわりの人は毎日感じているのに、自分はよく分からない」という場合、感じ方だけでなく、感じやすい状況を作れているかどうかも関係します。胎動は、お母さんが動いているときや何かに集中しているときは気づきにくく、静かにしているときほど分かりやすくなります。
- 体の左側を下にして横になっているとき(左側臥位)
- ソファなどにゆったり座って、静かに過ごしているとき
- 入浴後や、夜ベッドに入って落ち着いたとき
- 食後で血糖値が上がっているとき
- おなかに手を当てて、意識を向けているとき
逆に、家事や仕事で動き回っている日中は、胎動があっても気づかないことがよくあります。「今日は少ないかも」と感じたときは、まず一度横になって静かな環境をつくり、落ち着いて確かめてみてください。
胎動の位置は?下の方に感じるときや逆子との関係
おへその下や膀胱のあたりにツーンと響くことがある
胎動を感じる位置は、赤ちゃんの姿勢や向きによって変わります。おへその上のほうで感じる日もあれば、下腹部や恥骨のあたり、ときには膀胱を押されて「ツーン」と響くような感覚になることもあります。位置が日によって変わるのは、赤ちゃんが子宮の中で向きを変えているからで、それ自体は自然なことです。
逆子だと胎動の位置が変わる?
赤ちゃんが頭を上にした姿勢(骨盤位・いわゆる逆子)の場合、足が上のほうにくるため、みぞおちの近くを蹴られるように感じることがあるといわれます。ただし胎動の位置だけで逆子かどうかを判断することはできません。逆子かどうかは妊婦健診の超音波検査で確認されるものなので、気になるときは健診で聞いてみてください。逆子と診断されたときの考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
逆子(さかご)とは?原因といつまで様子を見るか、逆子体操・帝王切開の判断基準を元看護師が解説
胎動が激しい・痛いときは大丈夫?
激しい胎動は、赤ちゃんが元気に動いているサイン
「胎動が激しすぎて眠れない」「肋骨を蹴られて痛い」という声はとても多く聞かれます。結論からいうと、胎動がしっかり感じられること自体は、赤ちゃんが元気に動いているサインとして受け止めて大丈夫です。赤ちゃんが大きくなり力も強くなるため、後期になるほど「痛い」と感じる胎動が増えるのは自然な変化です。
ただし、胎動そのものではなく、おなかが硬くなる張りをともなう痛みが規則的に続く場合は、話が変わってきます。おなかの張りと胎動の見分け方については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
妊娠中のお腹の張りはなぜ起こる?時期別の原因と対処法、危険なサインの見分け方を元看護師が解説
「胎動が激しいとダウン症」という説には医学的な根拠が確認されていない
「胎動が激しい子の特徴」「胎動が激しいと障害があるのでは」といった検索がとても多いテーマなので、ここは正直にお伝えします。胎動の激しさや回数と、赤ちゃんの染色体の状態や発達を結びつける医学的な根拠は確認されていません。胎動の強さや頻度には、赤ちゃんの個性、お母さんの体格、胎盤の位置、羊水の量など、さまざまな要因が関わります。
染色体の状態について調べる検査は、出生前検査として妊娠初期から中期にかけて別途行われるものです。不安が強いときは、胎動の感じ方から推測しようとするより、妊婦健診の場で率直に相談するほうが、はるかに確かな安心につながります。
臨月に胎動が激しいと、もうすぐ生まれる?
「陣痛前に胎動が激しくなる」「胎動が激しいと近いうちに生まれる」という説もよく語られますが、これも医学的に確立されたサインではありません。臨月は赤ちゃんの力が強くなる時期なので、動きの一つひとつを大きく感じやすいという事情もあります。出産が近づいているかどうかは、胎動の激しさではなく、おしるし・破水・規則的な陣痛といった兆候で判断していきます。

胎動が少ない・感じない日があるときの考え方
赤ちゃんは20〜40分ごとに寝たり起きたりしている
日本産婦人科医会は「赤ちゃんは20〜40分で寝たり起きたりするようになってきますので、寝ているときは感じにくいかもしれません」と説明しています。つまり、数十分ほど胎動を感じない時間があるのは、赤ちゃんが眠っているだけというケースが多いのです。そのうえで「妊婦健診で発育が順調と言われていて、時々は胎動を感じるのであれば大丈夫である可能性が高い」とされています。
臨月に胎動が少なく感じるのはなぜ?
同じく日本産婦人科医会によると、妊娠10か月になると胎動が少なく感じるという妊婦さんが増えます。これは「赤ちゃんの頭が骨盤の中に固定されて、大きな動きがとりにくくなるから」と説明されています。ただし重要なのは、そのうえで「妊娠10か月であっても胎動がなくなってはいけません」と明記されている点です。動きが小さくなることと、胎動がなくなることは、まったく意味が違います。
受診・連絡の目安
胎動は、お母さんだけが気づける赤ちゃんからのサインです。「気にしすぎかも」「こんなことで連絡したら迷惑かも」と我慢する必要はまったくありません。
- 何時間もまったく胎動を感じない
- いつもと比べて急に胎動が弱くなった・極端に少なくなった
- 横になって静かにしても、しばらく胎動が確認できない
- 胎動が減ったことに加えて、強い腹痛や出血、持続するおなかの硬さがある
かかりつけの医療機関に連絡してください。妊娠30週以降であれば、赤ちゃんの心拍を40分ほど記録するノンストレステスト(NST)で元気かどうかを確認することができます。
とくに、胎動が減ったことに加えて持続する強い腹痛やおなかの硬さがある場合は、常位胎盤早期剥離のように急いで対応が必要な状態が隠れていることもあります。判断に迷う症状については、こちらの記事も参考にしてください。
常位胎盤早期剥離とは?症状(どこが痛い)・原因・気づかないケースから対応まで元看護師が解説
胎動カウント(10カウント法)のやり方
「いつもと違う気がする」という感覚を、できるだけ客観的に確かめるための方法が胎動カウントです。多くの産院で、妊娠28週前後から指導されています。
赤ちゃんが10回動くまでにかかる時間を測る
10カウント法は、赤ちゃんがおなかの中で10回動くのに何分かかるかを測る方法です。体の左側を下にして横になるなどリラックスした姿勢をとり、胎動を感じたらそれを1回目として時間を測り始め、10回目の胎動を感じた時点までの時間を記録します。ポイントは「何分だったか」そのものより、「いつもの自分と同じくらいか」を確かめることにあります。
参考 【妊娠28週〜31週の方へ】胎動10カウントをしましょう!野村産婦人科
目安となる時間
冬城産婦人科医院の解説では「妊娠28週以降のテンカウントタイムの平均は10〜15分であり、90%の方は約35分以内」と紹介されています。ただしこれはあくまで統計的な目安であり、赤ちゃんが眠っている時間帯に測れば当然長くかかります。1回の結果だけで判断せず、時間をあけてもう一度測ってみることが大切です。それでもいつもより明らかに時間がかかる、あるいは10回に届かないというときは、産院に連絡してください。
5分以内で10回など、速すぎるときは?
「5分もかからず10回数え終わってしまった」というケースもよくあります。赤ちゃんが起きて活発に動いている時間帯であれば自然なことで、速いこと自体を心配する必要はありません。胎動カウントは「少なすぎないか」を確かめるための方法であり、短い時間で10回に達したのなら、赤ちゃんはよく動いていると受け止めて大丈夫です。
おなかの張り・陣痛と胎動の関係
「おなかが張っても胎動があれば大丈夫」といえる?
「おなかの張り 胎動があれば大丈夫」というのは非常によく検索されるフレーズですが、胎動があることだけを根拠に安心してよい、と言い切ることはできません。胎動は赤ちゃんの元気さを示す手がかりのひとつではあるものの、張りが規則的に続く、休んでも治まらない、出血をともなうといった場合は、胎動の有無にかかわらず産院に連絡すべき状況です。
陣痛が始まってからも胎動は感じられる
陣痛が始まると胎動がなくなると思われがちですが、そんなことはありません。陣痛の合間にも赤ちゃんは動いています。むしろ、陣痛中に胎動をまったく感じなくなったときは、赤ちゃんの状態を確認する必要があるため、担当の助産師や医師にすぐ伝えてください。陣痛の始まり方や病院へ連絡するタイミングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
陣痛とは?間隔・痛みの強さ・病院へ行くタイミングを元看護師が解説
ちなみから|看護師時代に見てきた胎動のこと
少しだけ、看護師時代の話をさせてください。産科病棟で働いていたころ、「胎動が少ない気がして……気のせいかもしれないんですけど」と、申し訳なさそうに電話をくださる妊婦さんが本当にたくさんいました。そのほとんどは、来ていただいて赤ちゃんの心拍を確認すると元気で、笑顔で帰られます。
でも、私たち医療者の側からすると、その電話はまったく迷惑ではありません。むしろ、毎日おなかの赤ちゃんを感じているお母さんの「いつもと違う」という感覚は、検査の数値と同じくらい大切な情報です。遠慮して一晩様子を見るより、電話一本で確認できるほうが、お母さんにとっても赤ちゃんにとってもずっといい。これは、現場にいた立場から自信を持ってお伝えできることです。
ちなみ(元看護師)

まとめ|胎動は「いつもの自分」と比べることが大切
- 胎動は妊娠20週ごろから感じ始める方が多く、20週半ば過ぎ以降はある程度感じられるようになる。感じ始めの時期には個人差が大きい。
- 感じ方はポコポコ・モニョモニョ→グーッと大きなうねり→臨月は押し出されるような感覚へと変化する。規則的なピクピクは赤ちゃんのしゃっくりであることが多い。
- 胎動は左側を下にして横になるなど、静かにしているときほど感じやすい。位置が日によって変わるのは自然なこと。
- 胎動の激しさと赤ちゃんの染色体の状態や発達を結びつける医学的な根拠は確認されていない。激しい胎動は元気に動いているサインと受け止めて大丈夫。
- 赤ちゃんは20〜40分ごとに寝たり起きたりするため、感じない時間があるのは自然。ただし何時間も感じない・急に弱くなったときは様子を見ずに連絡を。
- 胎動カウント(10カウント法)は、10回動くまでの時間を測って「いつもと同じか」を確かめる方法。妊娠28週前後から産院で指導されることが多い。
胎動は、赤ちゃんとお母さんだけが共有できるコミュニケーションです。他の人と比べる必要はまったくなく、大切なのは「昨日までの自分」と比べること。そして違和感があれば、遠慮なく産院に相談してくださいね。
よくある質問(胎動|FAQ)
Q胎動は妊娠何週ごろから感じますか?
A.日本産婦人科医会は「妊娠20週ごろから胎動を感じ始めます」としています。ただし感じ始める時期には個人差が大きく、妊娠16週ごろに気づく方もいれば、20週を過ぎてからはっきり分かるようになる方もいます。
Q経産婦のほうが胎動を早く感じるというのは本当ですか?
A.一度経験しているぶん「これが胎動だ」と気づきやすい傾向があるといわれますが、あくまで傾向であり、必ず早く感じるわけではありません。感じ始めが遅くても、妊婦健診で発育が順調であれば過度に心配しなくて大丈夫です。
Q胎動が激しいと発達に影響があるのでしょうか?
A.胎動の激しさと赤ちゃんの発達や染色体の状態を結びつける医学的な根拠は確認されていません。胎動がしっかり感じられることは、赤ちゃんが元気に動いているサインと受け止めて大丈夫です。気になることがあれば妊婦健診で相談してみてください。
Q今日は胎動が少ない気がします。様子を見てもよいですか?
A.赤ちゃんは20〜40分ほどの周期で寝たり起きたりしているため、寝ている時間帯は感じにくくなります。ただし、何時間もまったく感じない、急に弱くなった、いつもと明らかに違うというときは、様子を見ずにかかりつけの医療機関に連絡してください。
Q胎動カウントはいつから始めればよいですか?
A.産院によって指導のタイミングは異なりますが、妊娠28週前後から案内されることが多い方法です。開始時期ややり方は通っている産院の指示に従うのが確実なので、妊婦健診のときに聞いてみてください。
Q陣痛が始まったら胎動はなくなりますか?
A.なくなりません。陣痛が始まってからも赤ちゃんは動いています。むしろ陣痛中に胎動をまったく感じなくなった場合は、赤ちゃんの状態を確認する必要があるため、担当の助産師や医師にすぐ伝えてください。
続けて読みたい関連記事
胎動とあわせて読んでおきたいテーマを3本選びました。
妊娠週数の数え方|受精より2週早いのはなぜ?週数↔月数の早見表・出産予定日まで元看護師が解説

