「産休って、結局いつから入れるんだろう」——妊娠がわかって職場に報告するころ、いちばん最初にぶつかる疑問だと思います。
ところが調べ始めると、「6週間前から」「42日前から」「34週から」と、書いてある表現がばらばらです。しかも「産前は請求しないと取れない」「産後は本人が希望しても休まないといけない」といった話が出てきて、余計にわからなくなる。そういう方がとても多いです。
この記事では、元看護師で2児の母である私「ちなみ」が、産休がいつから始まっていつ終わるのか、自分の日付をどう数えればいいのか、出産予定日がずれたらどうなるのかを、厚生労働省と日本年金機構の公式情報にもとづいて整理しました。
先に結論を書いておきます。産休は「産前休業」と「産後休業」というまったく性質の違う2つの休みが、たまたま続いているだけです。ここを分けて理解すると、一気にわかりやすくなります。
産休とは?産前休業と産後休業は「別もの」です
ひとつの休みではなく、2つの休みが続いている
「産休」は日常的にはひとつの言葉として使われますが、法律の上では「産前休業」と「産後休業」という別々の制度です。根拠は労働基準法第65条です。
この2つは、期間の長さも、取り方も、強制力もまったく違います。ここを混ぜて考えると「いつから休めるのか」が永遠にはっきりしません。まず表で全体像をつかんでください。
| 産前休業 | 産後休業 | |
|---|---|---|
| 期間 | 6週間(多胎妊娠は14週間) | 8週間 |
| 日数でいうと | 42日(多胎妊娠は98日) | 56日 |
| 起算点 | 出産予定日からさかのぼって数える | 出産した日の翌日から数える |
| 取るには | 本人が請求してはじめて取れる | 請求は不要。自動的に休みになる |
| 働けるか | 本人が希望すれば、直前まで働ける | 産後6週間は働けない(例外なし) |
| 性格 | 本人が選べる休み | 会社に課された就業禁止 |
参考 産前・産後の休業について厚生労働省 女性にやさしい職場づくりナビ
いちばん大事な違いは「請求がいるかどうか」
表の中でとくに押さえてほしいのが、産前休業は「請求制」だという点です。
つまり、黙っていても産前休業は始まりません。自分から「この日から産前休業に入ります」と会社に申し出ることで、はじめて取得できます。逆にいえば、体調がよくて本人が望むなら、出産直前まで働き続けることも法律上は可能です。
一方の産後休業は正反対です。会社は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならないと定められています。これは本人の意思に関係なく会社に課された義務なので、「早く復帰したい」と本人が希望しても、産後6週間は働けません。
ちなみ(元看護師)

産休はいつから?——産前休業の数え方
出産予定日を含めて、さかのぼって6週間(42日)
産前休業は、出産予定日を含めてさかのぼった6週間=42日間です。双子など多胎妊娠の場合は14週間=98日間と、大きく長くなります。
ここでつまずきやすいのが起算点です。数えるときは出産予定日そのものを1日目として、そこから過去にさかのぼって42日と考えます。出産当日は産前休業に含まれる、という扱いです。
妊娠週数でいうと「34週0日」ごろから
週数で考えたほうがイメージしやすい方も多いと思います。
妊娠40週0日が出産予定日ですから、そこから6週間さかのぼると妊娠34週0日。つまり妊娠10か月に入る少し前、妊娠9か月の後半あたりが産前休業のスタートラインです。多胎妊娠なら14週間前なので妊娠26週0日ごろ、妊娠7か月に入るころからになります。
「自分がいま何週なのか」があいまいな方は、先に週数の数え方を確認しておくと、この先の計算がぐっと楽になります。
妊娠週数の数え方|受精より2週早いのはなぜ?週数↔月数の早見表・出産予定日まで元看護師が解説
産前休業は「1日目から丸ごと」でなくてもいい
意外と知られていませんが、産前休業は42日間まるごと取らなければいけないものではありません。「請求した場合に就業させてはならない」という条文なので、請求した日から休みに入る形になります。
ですから、こういう取り方もできます。
- 42日間すべて休む——もっとも一般的
- 途中から休む——たとえば予定日の3週間前から入る
- 直前まで働く——体調がよく、本人が希望する場合
ただし、妊娠後期は体調が読めません。張りが増えたり、むくみや息苦しさが強くなったり、切迫早産で急に入院になることもあります。「ぎりぎりまで働くつもりだったのに、予定が全部くずれた」というのは珍しいことではありません。
引き継ぎの計画は、「予定より2週間早く抜けても回る形」で組んでおくと、あとで自分が楽になります。
切迫早産とは?症状・原因・なりやすい人の特徴から入院期間まで元看護師が解説
産休はいつまで?——産後休業の数え方
出産した日の翌日から8週間(56日)
産後休業は、出産した日の翌日から数えて8週間=56日間です。産前とは違い、出産当日は産後休業に含まれません(出産当日は産前休業のほうに入ります)。
そして産後休業は、本人の請求を必要としません。会社が働かせてはいけない期間なので、何もしなくても自動的に休業になります。
産後6週間は、本人が希望しても働けません
産後8週間のうち、最初の6週間は例外がありません。本人が「もう元気だから復帰したい」と言っても、会社は就業させられません。
例外が認められるのは産後6週間を過ぎてからです。この場合は、次の2つが両方そろってはじめて働けます。
- 本人が請求すること
- 医師が支障がないと認めた業務であること
つまり「本人が希望した」だけでは足りず、医師の判断が必要です。
元看護師として補足すると、この6週間という線引きには意味があります。出産で大きく変化した子宮や骨盤底、ホルモンの状態が元に戻っていく時期で、産褥期(さんじょくき)と呼ばれます。見た目には元気に見えても、体の中ではまだ回復の途中です。
産褥期とは?いつまで続く?体の変化・過ごし方・働ける時期まで元看護師がまるごと解説
ちなみ(元看護師)

出産予定日がずれたら産休はどうなる?
予定日ちょうどに産まれる人のほうが少数です
ここが、産休の話でいちばん質問の多いところです。そしていちばん誤解されているところでもあります。
結論から書きます。ずれても損はしません。産前休業が短くなることはあっても、産後休業の8週間は必ず確保されます。
出産が予定日より遅れた場合——産休は「延びる」
予定日を過ぎてから産まれた場合、予定日の翌日から実際に出産した日までの期間も、産前休業として扱われます。その分、産休全体は長くなります。
そして産後休業は、実際に出産した日の翌日から8週間を数えます。予定日から数えるのではありません。
たとえば予定日より5日遅れて産まれたなら、産前休業は42日+5日=47日、産後休業はそこから56日。合計103日になります。
出産が予定日より早かった場合——産前が「短くなる」
逆に予定日より早く産まれた場合は、産前休業がその分だけ短くなります。
ただし産後休業の56日は変わりません。こちらも実際に出産した日の翌日から数えるので、早産でも8週間はきちんと確保されます。
たとえば予定日より10日早く産まれたなら、産前休業は42日−10日=32日、産後休業は56日。合計88日になります。
公的な書き方で確認しておく
日本年金機構は、産前産後休業期間を次のように定義しています。社会保険料の免除を判断するための、いちばん正確な表現です。
——つまり、予定日より遅れたときは「出産予定日」から42日をさかのぼり、予定日より早かったときは「実際の出産日」から42日をさかのぼる。そして産後はどちらの場合も「出産の日後56日」。この一文に、ずれたときの扱いがすべて入っています。
参考 従業員が産前産後休業を取得したときの手続き日本年金機構
| 出産のタイミング | 産前休業 | 産後休業 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 予定日ちょうど | 42日 | 56日 | 98日 |
| 予定日より遅れた | 42日+遅れた日数 | 56日(実際の出産日の翌日から) | 長くなる |
| 予定日より早かった | 42日−早まった日数 | 56日(実際の出産日の翌日から) | 短くなる |
| 多胎妊娠 | 98日(同じ考え方) | 56日 | 154日が基本 |
自分の産休期間を計算する手順
4ステップで出せます
- 出産予定日を確認する——母子健康手帳や健診の記録で正確な日付を確認します
- 予定日から41日さかのぼる——その日が産前休業の初日です(予定日自身を1日目として42日目にあたる日)。多胎妊娠なら97日さかのぼります
- 予定日の翌日から56日を数える——その日が産後休業の最終日の目安です
- 産後休業の翌日を確認する——ここが「育休の開始日」または「復帰予定日」になります
この4つが出れば、職場との相談にはじゅうぶんです。
厚生労働省の自動計算ツールが使えます
自分で数えるのが不安な方は、厚生労働省が産休・育休の期間を自動で計算できるページを公開しています。出産予定日を入れるだけで、産前休業の開始日・産後休業の終了日・育休の期間が出ます。
手で数えた結果と、このツールの結果を照らし合わせると確実です。
参考 産休・育休 自動計算厚生労働省 女性にやさしい職場づくりナビ
産休は誰でも取れる?——パート・契約社員・入社1年未満
雇用形態は関係ありません
よくある不安が「正社員じゃないから取れないのでは」というものです。
産前産後休業は、雇用形態にかかわらずすべての女性労働者が対象です。正社員・パート・アルバイト・契約社員・派遣社員、どれであっても取得できます。労働基準法が働く人すべてに適用される法律だからです。
同じ理由で、入社してからの期間も関係ありません。育児休業には労使協定によって「入社1年未満は対象外」とできる仕組みがありますが、産前産後休業にはそうした除外規定がありません。入社直後でも取得できます。
産休を理由に解雇することはできません
もうひとつ知っておいてほしいのが解雇制限です。産前産後休業の期間中と、その後30日間は解雇が禁止されています。
妊娠・出産を理由とした不利益な取り扱いも法律で禁止されています。不安を感じたときは、ひとりで抱えずに労働局へ相談してください。
自営業・フリーランスの場合
労働基準法は「雇われて働く人」を守る法律なので、自営業やフリーランスの方は産前産後休業そのものの対象にはなりません。
ただし、国民年金には産前産後期間の保険料が免除される制度があります。出産予定日または出産日の属する月の前月から4か月間(多胎妊娠の場合は3か月前から6か月間)が対象で、市区町村の窓口に届け出ます。免除されても、その期間は保険料を納めたものとして扱われます。該当しそうな方は、お住まいの市区町村の国民年金の窓口で確認してください。

産休中のお金はどうなる?
給料は「法律上は無給でよい」ことになっています
まず現実的なところから。産休中の給料を支払う義務は、会社にはありません。法律が定めているのは「休ませなければならない」ということだけで、「給料を払え」とは書かれていないためです。
もちろん会社が独自に有給扱いにしている場合もあります。自分の勤務先がどちらなのかは、就業規則を確認するか、人事・総務に聞いてください。
代わりに公的な給付があります
無給でも生活が止まらないように、いくつかの仕組みが用意されています。ここでは全体像だけ押さえてください。
- 出産手当金——健康保険から支給されるもの。産休中の収入を補う給付です。勤務先の健康保険に加入している方が対象で、金額は過去の給与額から計算されます
- 社会保険料の免除——産前産後休業の期間中は、健康保険と厚生年金保険の保険料が、本人負担分も会社負担分も免除されます。しかも免除された期間は「保険料を納めた期間」として扱われるので、将来の年金額が減ることはありません
- 出産育児一時金——出産したときに健康保険から支給されるもの。多くは医療機関へ直接支払われる形で使われます
社会保険料の免除は、勤務先が年金事務所へ「産前産後休業取得者申出書」を出すことで適用されます。自分で手続きするものではありませんが、会社が出し忘れると免除されません。産休に入る前に「申出書は出してもらえますか」と一言確認しておくと確実です。
産休と育休はどう違う?
根拠になる法律が違います
産休と育休はセットで語られますが、まったく別の法律にもとづく別の制度です。
| 産休(産前産後休業) | 育休(育児休業) | |
|---|---|---|
| 根拠 | 労働基準法 | 育児・介護休業法 |
| 対象 | 出産する本人のみ | 父母どちらも取得できる |
| 期間 | 産前42日+産後56日が基本 | 原則として子が1歳になるまで(延長制度あり) |
| 始まり | 産前休業を請求した日 | 産後休業が終わった日の翌日から |
| 取得条件 | 雇用形態・勤続年数を問わない | 労使協定により入社1年未満を対象外にできる場合がある |
つながり方はシンプルです
時間の流れで並べると、こうなります。
- 産前休業(予定日から42日さかのぼった日〜出産当日)
- 産後休業(出産の翌日〜56日間)
- 育児休業(産後休業が終わった翌日〜)
つまり産休が終わった瞬間に育休が始まる、という並びです。育休は請求が必要なので、産休の申し出とあわせて育休の申し出もしておくのが一般的です。
なお、育休は父親も取得できます。出産直後に取れる仕組み(産後パパ育休)も整備されています。夫婦でどう分担するかは、産休の日程が決まった段階で一度話しておくと、あとが楽になります。
産休に入る前にやっておくこと
報告と申し出の時期
職場への妊娠報告は、安定期に入るころ(妊娠12〜16週ごろ)に直属の上司へ、という形が一般的です。ただし、つわりがつらい方・立ち仕事や夜勤がある方・通勤の負担が大きい方は、もっと早く伝えたほうが自分を守れます。
産休の申し出そのものは、産前休業の開始日が確定してから、遅くとも1〜2か月前までに出すのが目安です。ただし会社ごとに締切が決まっていることが多いので、報告のときに「申請はいつまでにすればいいですか」と聞いておくのがいちばん確実です。
妊娠したらまず何をする?産婦人科・母子手帳・仕事報告まで元看護師が解説
準備しておくとよいこと
- 就業規則を確認する——産休中の給与の扱い、会社独自の休暇制度、申請書類の様式
- 引き継ぎ資料をつくる——予定より早く抜けても回るように、前倒しで
- 連絡方法を決めておく——出産の報告を誰にどう入れるか。陣痛が来てから考えるのは大変です
- 「産前産後休業取得者申出書」を出してもらえるか確認する——社会保険料の免除に必要です
- 育休の申し出も同時に済ませる——復帰予定日まで含めて相談しておく
- 母子健康手帳と健診の記録を整理しておく——診断書や証明が必要になることがあります
母子手帳はいつもらう?もらい方・持ち物・「まだ早い」と言われる理由を元看護師が解説
そして、産休に入ってからの入院準備も忘れずに。産前休業が始まるころには、陣痛バッグと入院バッグはもう用意できている状態が理想です。
陣痛バッグと入院バッグの中身リスト|違い・分ける理由・いつから準備するかを元看護師が解説
産休に入るときの挨拶とお菓子——どこまでやる?
挨拶は「不在期間」と「引き継ぎ先」が伝わればじゅうぶん
産休前の挨拶で悩む方はとても多いです。ただ、必要な要素は実はシンプルで、いつからいつまで不在なのか、自分の仕事は誰が引き継ぐのか——この2つが伝わればじゅうぶんです。
メールでもスピーチでも、この構成で組み立てられます。
- これまでの感謝——妊娠中に配慮してもらったことがあれば、そこに触れる
- 不在の期間——「◯月◯日から産休に入ります」。復帰時期は「◯年◯月ごろを予定しています」と幅を持たせる
- 引き継ぎ先——誰に連絡すればよいかを明記する。ここがいちばん実用的な情報です
- ひとこと締める——長くしない
お菓子を配るかどうかは「職場の慣習しだい」です
「産休前にお菓子を配るべきか」も、よく検索されている悩みです。
結論から言えば、これは法律にもマナーにも決まりがなく、その職場でこれまでどうしてきたかがすべてです。全員が配る職場もあれば、そうした習慣がまったくない職場もあります。
迷ったときの判断材料はこれだけで足ります。
- 直近で産休に入った人がどうしていたか——いちばん確実な基準です。同僚にさりげなく聞いてみてください
- 渡す範囲を決める——部署内だけか、関わりのある人だけか。範囲を広げすぎると負担になります
- 個包装で日持ちするもの——出勤日がばらばらでも配れます。冷蔵が必要なものは避けてください
- 買いに行くのを負担に感じるなら、無理をしない——通販で済ませるか、そもそも配らない選択も普通です
ちなみ(元看護師)
産休中にやっておくとよいこと
産前休業のあいだにできること
産前休業に入ってから出産までは、体調が許せば比較的自由に動ける時間です。ただしいつ陣痛が来てもおかしくない時期でもあるので、遠出や詰め込んだ予定は避けてください。
- 入院バッグ・陣痛バッグの最終確認——玄関のすぐ取れる場所に置いておく
- 産後の生活動線を整える——赤ちゃんを寝かせる場所、おむつ替えの場所を決めておく
- 作り置きや宅配サービスの登録——産後1か月は買い物に出られないと思っておく
- 産後の手続きを一覧にしておく——出生届、健康保険の加入、児童手当、乳幼児医療費助成など。提出先と期限を書き出しておくだけで、産後の負担がまったく違います
- 里帰りするなら移動の段取り——移動そのものが体に負担なので、日程と手段を早めに決めておく
里帰り出産とは?いつ帰る・いつ戻る・手続き・お礼まで元看護師が解説
産後休業のあいだは「回復が仕事」です
産後の8週間は、手続きと回復以外のことをしないくらいでちょうどいいです。
とくに産後1か月は、想像しているより体が動きません。睡眠は細切れになり、悪露も続きます。「産休中に資格の勉強をしよう」といった計画は、たいてい実行できません。できなくても落ち込まないでください。それが普通です。
やるべきことがあるとすれば、この3つくらいです。
- 期限のある手続きを済ませる——出生届は原則14日以内など、期限があるものから
- 1か月健診を受ける——赤ちゃんの健診と、自分の産後健診の両方
- 復帰と保育園のことを、一度だけ考える——自治体の申込時期を確認しておく
産休中のボーナスはどうなる?
意外と検索されているのが賞与の扱いです。
賞与には法律上の支払い義務がありません。支給されるかどうか、いくらになるかは、勤務先の就業規則や賃金規程で決まります。多くの会社では「査定期間中に在籍・勤務していたこと」を支給の条件にしているため、査定期間と産休が重なると、その分が減額される場合があります。
ただし押さえておきたいのは、妊娠・出産・産休の取得を理由に不利益な取り扱いをすることは、法律で禁止されているという点です。休んだ日数に応じた計算を超えて不利に扱われている、と感じたときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。
まずは自分の会社の賃金規程がどうなっているかを確認することから始めてください。
まとめ:産前と産後を分けて考えれば、迷いません
- 産休は「産前休業」と「産後休業」という別の制度が続いているもの。根拠は労働基準法第65条
- 産前休業=出産予定日を含めてさかのぼって6週間(42日)。多胎妊娠は14週間(98日)。妊娠週数でいうと34週0日ごろから
- 産前は「請求制」。自分から申し出ないと始まらない
- 産後休業=出産した日の翌日から8週間(56日)。請求は不要で自動的に休みになる
- 産後6週間は本人が希望しても働けない。6週間経過後は「本人の請求」+「医師が支障なしと認めた業務」の両方がそろえば就業可
- 予定日より遅れたら産休は延びる(予定日の翌日から出産日までも産前に含まれる)。早まったら産前が短くなるが、産後56日は必ず確保される
- 計算は「予定日から41日さかのぼる」「予定日の翌日から56日数える」の2つ。厚労省の自動計算ツールで答え合わせを
- パート・契約社員・派遣・入社1年未満でも取れる。就業規則になくても法律上の義務
- 産休期間中とその後30日間は解雇が禁止
- 給料は法律上は無給でよい。代わりに出産手当金・社会保険料免除・出産育児一時金がある。免除期間は「納めた期間」として扱われ、将来の年金は減らない
- 育休は産後休業が終わった翌日から。産休の申し出とあわせて育休も申し出るのが一般的
- 金額・締切・様式は勤務先によって違う。最後は必ず人事・総務に確認する
産休の話がややこしく感じるのは、性格の違う2つの休みを1つの言葉で呼んでいるからです。産前は「自分で選んで取る休み」、産後は「法律が休ませる期間」。この2つを分けて考えれば、自分の日付は自分で出せます。
そして、日付が出たら次にやることははっきりしています。人事・総務に確認して、引き継ぎを前倒しで組むこと。ここまで進めば、あとは体調を優先して過ごすだけです。
妊娠後期は、思っているより体が重くなります。「働けるうちは働く」ではなく「安全に引き渡せる形をつくる」——そう考えたほうが、結果的にうまくいきます。
よくある質問(産休|FAQ)
Q産休はいつから取れますか?
A.産前休業は、出産予定日を含めてさかのぼった6週間=42日間です。双子など多胎妊娠の場合は14週間=98日間になります。妊娠週数でいうと、40週0日が出産予定日なので、その6週間前の妊娠34週0日ごろが産前休業のスタートラインです(多胎妊娠なら妊娠26週0日ごろ)。ただし産前休業は本人が請求してはじめて取得できる「請求制」なので、黙っていても自動的には始まりません。自分から勤務先に申し出る必要があります。
Q産休は何週から何週までですか?
A.週数でいうと、産前休業は妊娠34週0日ごろから出産当日まで、産後休業は出産の翌日から8週間です。日数でいえば産前42日+産後56日で、予定日どおりに出産した場合は合計98日間になります。多胎妊娠の場合は産前が98日になるため、合計154日が基本です。ただしこれは出産予定日どおりに産まれた場合の計算で、実際の日数は出産日によって変わります。
Q出産が予定日より遅れたら、産休はどうなりますか?
A.産休は延びます。予定日の翌日から実際に出産した日までの期間も産前休業として扱われるためです。そして産後休業の8週間(56日)は、実際に出産した日の翌日から数え直されるので、丸ごと確保されます。たとえば予定日より5日遅れた場合は、産前42日+5日=47日、産後56日で合計103日になります。逆に予定日より早く産まれた場合は産前休業がその分短くなりますが、産後の56日は変わりません。
Q産後すぐに仕事へ復帰することはできますか?
A.できません。産後8週間のうち、最初の6週間は例外なく就業が禁止されており、本人が「元気だから復帰したい」と希望しても働くことはできません。産後6週間を過ぎてからは、本人が請求し、かつ医師が支障がないと認めた業務であれば就業できます。本人の希望だけでは足りず、医師の判断が必要です。この期間は産褥期と呼ばれ、見た目に元気でも体の中は回復の途中にあります。
Qパートや契約社員でも産休は取れますか?
A.取れます。産前産後休業は労働基準法にもとづく制度で、正社員・パート・アルバイト・契約社員・派遣社員など、雇用形態にかかわらずすべての女性労働者が対象です。入社してからの期間も関係ありません。育児休業には労使協定で入社1年未満を対象外にできる仕組みがありますが、産前産後休業にはそうした除外規定がないためです。会社の就業規則に書かれていなくても、法律上の義務として取得できます。「制度がない」と言われた場合は、労働基準監督署や都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に無料で相談できます。
Q産休中の社会保険料はどうなりますか?
A.産前産後休業の期間中は、健康保険と厚生年金保険の保険料が、本人負担分も会社負担分も免除されます。しかも免除された期間は「保険料を納めた期間」として扱われるため、将来受け取る年金額が減ることはありません。ただしこの免除は、勤務先が年金事務所へ「産前産後休業取得者申出書」を提出することで適用されるものです。会社が出し忘れると免除されないので、産休に入る前に担当者へ提出を確認しておくと安心です。
Q産休と育休はどう違うのですか?
A.根拠となる法律が違います。産休(産前産後休業)は労働基準法にもとづくもので、出産する本人だけが対象です。育休(育児休業)は育児・介護休業法にもとづくもので、父母どちらも取得でき、原則として子が1歳になるまで取れます。時間の流れとしては、産前休業→産後休業→育児休業という順につながり、育休は産後休業が終わった日の翌日から始まります。育休も請求が必要なので、産休の申し出とあわせて育休の申し出もしておくのが一般的です。
続けて読みたい関連記事
妊娠したらまず何をする?産婦人科・母子手帳・仕事報告まで元看護師が解説
