「妊娠初期に葉酸を飲まなかったけど大丈夫?」「葉酸ってダウン症の予防になるって本当?」「いつまで飲み続ければいいの?」——妊娠が判明したとき、こんな疑問や不安が頭をよぎっている方は多いのではないでしょうか。
はじめまして、ちなみです。元看護師として病院勤務を経験し、現在は妊活・妊娠・子育てを中心に情報発信している男女2児のママです。私自身、第一子・第二子の妊活を始めたときから葉酸サプリを飲み始め、妊娠確認後も継続しました。つわりがつらくてサプリが飲みにくかった日も正直ありました。
この記事では、葉酸が妊娠中に必要な理由・いつからいつまで・何μg摂ればよいかという基本から、「飲まなかった後の不安」「ダウン症との正しい関係」「つわり中の乗り越え方」まで、妊活期から授乳期まで整理してお伝えします。一番はじめに伝えたいことは——気づいた今から始めることには、必ず意義があります。
ちなみ(元看護師)
目次
- 妊娠中に葉酸が必要な理由——神経管閉鎖障害とのつながり
- 葉酸はいつからいつまで摂ればいい?
- 1日の推奨摂取量と上限——過剰摂取に気をつけるポイント
- 妊娠初期に葉酸を飲まなかったら?——正確に知って不安を手放す
- 葉酸とダウン症——最も多い誤解を正確に整理する
- 葉酸を多く含む食べ物——妊婦さんに取り入れやすい食材
- 葉酸サプリの選び方——妊娠後も飲み続けるためのポイント
- つわり中の葉酸摂取——飲めない日があっても大丈夫
- 葉酸欠乏性貧血との関係——鉄欠乏性貧血とは別の話
- 男性も葉酸が必要?——妊活カップル視点
- ちなみの経験から——妊活期から授乳期まで
- まとめ——葉酸は続けることに意味がある
- よくある質問(妊娠初期の葉酸|FAQ)
- 続けて読みたい関連記事
妊娠中に葉酸が必要な理由——神経管閉鎖障害とのつながり
葉酸(ビタミンB9)は、妊娠初期の神経管閉鎖障害リスクを低減するために最も重要な栄養素のひとつです。厚生労働省は妊娠を計画している女性に対して、食事に加えて毎日400μg(マイクログラム)のモノグルタミン酸型葉酸をサプリメントから摂取することを推奨しています。
葉酸(ビタミンB9)の3つの主な働き
葉酸は体の中で主に3つの大切な役割を担っています。
①DNA合成と細胞分裂のサポート:受精卵が細胞分裂をくり返して赤ちゃんの体をつくっていく過程で、DNAの合成が大量に行われます。葉酸はこの合成に欠かせない補酵素として働くため、妊娠初期の爆発的な細胞増殖を支える栄養素です。②赤血球の産生:葉酸はビタミンB12と連携して赤血球の形成を助けます。不足すると「巨赤芽球性貧血(葉酸欠乏性貧血)」が起きることがあります。③神経管閉鎖障害リスクの低減:妊活・妊娠初期に葉酸サプリが特に推奨される最大の理由がこれです。神経管の形成が始まる妊娠初期に、十分な葉酸があることでリスクが低減されると、複数の研究で示されています。
神経管閉鎖障害とは何か——二分脊椎・無脳症の形成時期
神経管とは、赤ちゃんの脳・脊髄・背骨の元になる管状の構造物です。この神経管が正常に閉じるのは妊娠4〜6週ごろとされています。多くの方が妊娠に気づく前の時期です。
神経管が正常に閉じなかった場合に起きるのが神経管閉鎖障害です。代表的なものには、背骨の一部が閉じないまま残る二分脊椎と、脳の大部分が形成されない無脳症があります。発生率は低いものの、葉酸の摂取によってそのリスクが低減できると複数の研究で示されており、「気づいてから飲み始めるのでは遅い場合がある」と言われる背景がここにあります。
食事だけでは400μgの確保が難しい3つの理由
「サプリより食事から摂ればいいのでは?」という疑問は自然ですが、妊娠初期に必要な400μgを食事だけで確実に補い続けることは現実的に難しいとされています。理由は3点あります。
①食品由来の葉酸(ポリグルタミン酸型)の吸収率は約50%:食事に含まれる葉酸は、サプリのモノグルタミン酸型に比べて体内での利用率が約半分程度です。②調理で30〜50%が失われやすい:葉酸は水溶性で熱に弱く、茹でる・炒めるといった加熱調理で大きく減少します。③必要量を食事だけで摂ると食材量が膨大になる:たとえばほうれん草で400μg相当を摂ろうとすると、生で約180g(大きめ1束)が毎日必要になります。
「食事をベースにしながら、サプリで確実に補う」というアプローチが妊活・妊娠初期のスタンダードとされているのは、こうした理由からです。妊娠中の食事全体のバランスについては、こちらもあわせてご参照ください。
妊娠中に食べていいもの・積極的に食べたい食材は?栄養素別に元看護師ちなみが解説
葉酸はいつからいつまで摂ればいい?
最重要期——妊娠希望の1ヶ月以上前から妊娠初期(〜12週)
神経管の形成は妊娠4〜6週ごろに完了します。この時期はほとんどの方が妊娠に気づいていない時期です。サプリを飲み始めてから血中の葉酸濃度が安定するまでには4〜12週程度かかるとされており、「妊娠発覚→今日からサプリ開始」では神経管形成の最重要期に間に合わない可能性があります。
そのため、厚生労働省は「妊娠を計画している女性・妊娠の可能性がある女性」に対して、妊娠前からの摂取を推奨しています。妊娠希望の1ヶ月以上前から開始するのが理想とされています。妊活を始めた段階でスタートすれば、タイミングとしては十分です。
妊娠中期・後期も継続が推奨される
妊娠初期(〜12週)を過ぎると神経管はすでに閉じています。では葉酸はもう必要ないかというと、そうではありません。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、妊娠中の葉酸の推奨量として、通常の推奨量(240μg/日)に加えて付加量240μg(合計480μg目安)が設定されています。
これは赤ちゃんの体が著しく成長する中期・後期にも、DNA合成・赤血球産生のために葉酸の需要が高いためです。また、葉酸欠乏性貧血(後述)の予防という観点でも、継続摂取が有用とされています。
授乳期も葉酸は必要——340μgを目安に
授乳期も葉酸の推奨量は通常より高く設定されています。日本人の食事摂取基準(2025年版)では授乳期の付加量は100μg(合計340μg目安)です。母乳を通じて赤ちゃんに葉酸が届くため、授乳している間も意識的に摂ることが推奨されています。
妊娠発覚後に気づいたら——「今から始める」に意義がある
「妊娠してから気づいた」「葉酸のことを知らずに過ごしてしまった」という方も、焦る必要はありません。神経管の形成が済んでいる中期以降でも、赤血球産生・DNA合成・授乳期の葉酸補給という意味で、摂取を始める価値があります。
重要なのは「後悔するより今日から始める」こと。「もっと前から飲んでいれば」という気持ちは十分わかりますが、今日のスタートが一番早いスタートです。気づいたことを起点に行動する——そのシンプルな前向きさが、妊娠期間全体を通じて大切な姿勢だと思っています。
1日の推奨摂取量と上限——過剰摂取に気をつけるポイント
厚労省が推奨する「食事から240μg+サプリから400μg」の根拠
日本では2000年から厚生労働省が、妊娠を計画している女性・妊娠初期の女性に対して、通常の食事に加えてモノグルタミン酸型葉酸(サプリ由来)を毎日400μg摂ることを推奨してきました。この推奨は現在も有効です。
食事から得られる葉酸(ポリグルタミン酸型・約240μg/日目安)と合わせると、合計約640μgを摂取することになります。この「サプリから400μg」という数字は、神経管閉鎖障害リスク低減の効果が確認された研究で用いられた量を参考に設定されたものです。
サプリ由来の上限は1日1mg(1,000μg)——なぜ上限があるか
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人女性のモノグルタミン酸型葉酸(サプリ等由来)の耐容上限量は1日1,000μg(1mg)と定められています。
この上限が設けられている理由は、長期的に超過した場合にビタミンB12欠乏のサインを隠してしまう可能性があるためです。大量の葉酸摂取は、B12欠乏で本来出るはずの貧血(巨赤芽球性貧血)の血液所見を一時的に改善させてしまい、B12欠乏そのものの発見が遅れるリスクがあります。「多ければ多いほど良い」は葉酸には当てはまりません。
市販品400μgを1粒飲むのは大丈夫?——安心の根拠
市販の葉酸サプリで一般的な「1粒あたり400μg」の製品を、1日1粒飲む分は上限(1,000μg/日)を大きく下回ります。推奨どおりの飲み方であれば、過剰摂取を過度に心配する必要はありません。
妊娠中の付加量:通常推奨量240μg+付加量240μg→合計約480μg目安
授乳期の付加量:通常推奨量240μg+付加量100μg→合計約340μg目安
サプリ由来の耐容上限量:1日1,000μg(1mg)/飲み忘れ翌日に2日分まとめて飲むのはNG
妊娠初期に葉酸を飲まなかったら?——正確に知って不安を手放す
「飲まなかった」ことのリスクを確率論で正確に理解する
「妊娠初期に葉酸を飲まなかった」という事実は、「神経管閉鎖障害が起きた」ということとイコールではありません。
葉酸の摂取はあくまでリスクを低減するための取り組みです。神経管閉鎖障害そのものの発生率は決して高くなく、葉酸不足はそのリスクを高める要因のひとつとされています。しかし、「葉酸を飲まなかった」からといって必ずしも何か異常が起きるわけではありません。インターネット上には断定的な表現も見受けられますが、医学的には確率論として整理するのが正確です。
また、葉酸以外の要因(遺伝的素因・環境因子など)も神経管閉鎖障害の発生に関わることが知られています。葉酸摂取は「できることをやる」という取り組みであり、「飲まなかった=赤ちゃんに異常が確定した」という構図は医学的に正確ではありません。
後悔・不安を抱えているあなたへ
気づいた今から飲み始めることの意義——担当医への相談を
「今気づいた」からこそ、今日から始められます。妊娠初期(〜12週)に神経管閉鎖障害予防の意味での効果は時期によって限られますが、中期以降の赤ちゃんの成長・貧血予防・授乳期の栄養補給という意味での葉酸の役割はまだ十分に残っています。
「いつから飲んでいなかったか」「現在どんな状態か」については、自己判断で悩み続けるより産婦人科医に相談するのが一番確実です。担当医は個別の状況を踏まえてアドバイスできます。「こんな些細なことを聞いていいの?」と遠慮する必要はありません——相談することを歓迎しています。
葉酸とダウン症——最も多い誤解を正確に整理する
ダウン症(21トリソミー)とは——染色体異常のメカニズム
ダウン症(ダウン症候群)は、通常2本1組の第21番染色体が3本になってしまう21トリソミーと呼ばれる染色体異常です。日本では生まれた赤ちゃんの約1,000人に1人の割合で発生するとされています。
21トリソミーは精子または卵子が作られる減数分裂の過程で染色体の分離が正常に行われなかったことで起きます。このメカニズムは葉酸など栄養素の摂取量とは直接の関係がありません。ダウン症の発生率は母親の年齢とともに高まることが知られていますが、これも染色体分離エラーの確率に関わるものであり、葉酸摂取で制御できるものではありません。
「葉酸でダウン症を予防できる」は医学的に確立されていない
観察研究の限界——因果関係と相関の違い
一部の観察研究で葉酸摂取とダウン症の発生率に関連性を示唆するデータが報告されたことがあります。しかし観察研究は「AとBが関連していた」ことを示すものであり、「Aをすることで確実にBを防げる」という因果関係を証明するものではありません。交絡因子(他の関連要因)の影響も大きく、因果関係を断定するには不十分とされています。
「葉酸を飲めばダウン症を防げる」という情報を目にしたとき、それは現時点では科学的に確立されていない情報です。一方で「葉酸を飲んでもダウン症は防げないからいらない」という解釈も誤りで、神経管閉鎖障害リスク低減という確立した目的があります。この2つは別の話であり、冷静に区別して理解することが大切です。

葉酸を多く含む食べ物——妊婦さんに取り入れやすい食材
葉酸含有量が多い食材(妊婦さん向けのランキング)
食事からの葉酸補給は、サプリの効果を底上げする意味でも重要です。特に葉酸を多く含む食材を覚えておくと、日々の献立に意識して取り入れやすくなります。
なお、レバーは葉酸含有量が非常に多い食材ですが、妊娠初期にとりすぎを避けたいビタミンA(レチノール)も豊富に含まれています。週1回・少量程度なら問題ないとされていますが、毎日大量に食べることは妊娠中は控えましょう。
加熱で壊れやすい葉酸——調理の工夫で損失を減らす
葉酸は水溶性ビタミンのため、茹でると水に溶け出し、加熱でも分解されやすい性質を持っています。調理による損失は食材や調理法によって異なりますが、ゆで調理では30〜50%が失われることもあるとされています。
損失を減らすための工夫として、次のようなものがあります。電子レンジ加熱や短時間の炒め物:ゆでるより短時間で調理できるため、葉酸の溶出・分解が少なくなります。生で食べられる食材(アボカド・枝豆・焼き海苔):加熱なしで食べられる場合はそのままが理想的です。スープや汁物:溶け出した葉酸をそのまま摂取できます。
妊娠中でも食べやすい高葉酸食材の選び方
つわり中や食欲が落ちている時期は、においや食感が気になりにくい食材から選ぶのが現実的です。枝豆(冷凍品も活用可)・アボカド・豆腐・焼き海苔・プルーンなどは比較的食べやすく、葉酸も含まれています。
食事全体のおすすめ食材については、こちらの記事でまとめています。妊活期に取り入れたい食材については、妊活中の食べ物ガイドもあわせてどうぞ。
妊娠中に食べていいもの・積極的に食べたい食材は?栄養素別に元看護師ちなみが解説
妊活におすすめの食べ物30選|食材グループ別×ランキング×避けたい食材×飲み物まで|元看護師ちなみが食卓で意識していた食材リスト
葉酸サプリの選び方——妊娠後も飲み続けるためのポイント
モノグルタミン酸型400μgを選ぶ理由——吸収率と公的推奨
葉酸サプリを選ぶ際の基本は、モノグルタミン酸型葉酸が400μg配合されているものを選ぶことです。モノグルタミン酸型は食品由来の葉酸(ポリグルタミン酸型・吸収率約50%)と比べて吸収率が約85%と高く、確実な量を届けやすいことが特長です。厚生労働省が推奨する「サプリから400μg」はこの形態を指しています。
「合成型だから危険」というイメージを持つ方もいますが、推奨量を守って飲む場合には過度に心配する必要はありません。サプリ選びの詳細な基準(成分・製造管理・続けやすさ)については、葉酸サプリ専門ガイドで整理しています。
葉酸サプリの選び方完全ガイド|成分・飲み方・いつから・男性も?元看護師が解説
妊娠が確認されたら——主治医に相談して継続方法を決める
妊娠が確認された後も、葉酸の継続は推奨されています。ただし、妊娠後は産婦人科から葉酸が含まれるビタミン剤が処方されることもあるため、自分が飲んでいるサプリと重複しないか確認することが大切です。
「今飲んでいるサプリを主治医に見せて相談する」が基本です。時期(初期・中期・後期・授乳期)によって必要量と推奨形態が変わるため、担当医のアドバイスを優先して継続方法を決めましょう。

つわり中の葉酸摂取——飲めない日があっても大丈夫
「飲めない日があっても過度に心配しない」という大前提
つわり中でも続けやすい5つの工夫
つわり中でも葉酸サプリを続けるための工夫を、実際に試しやすいものから紹介します。
①飲むタイミングを変える:吐き気が比較的落ち着いている時間帯(就寝直前・起き抜けすぐ・食後一定時間経ってから)に移してみる。②粒の小さいタイプに切り替える:喉を通りやすい小粒タイプや、ふりかけタイプに変更する。③ゼリー状・液体タイプを試す:固形の錠剤が無理なときは形状を変えることで飲みやすくなることがある。④少量の食べ物と一緒に飲む:クラッカー1枚など、口に入りやすい食べ物と合わせてサプリを飲む。⑤冷水で飲む:水を冷やすとニオイが感じにくくなり、飲みやすくなることがある。
食べ物で代替できる葉酸——つわり中でも食べやすい食材
サプリが無理なときは、食事からの葉酸摂取に切り替えることも選択肢のひとつです。つわり中でも比較的食べやすく、葉酸も含まれている食材として次のものが挙げられます。
・枝豆(冷凍):においが少なく冷やして食べやすい。50gあたり約160μg
・アボカド(半個):ネバネバ食感で食べやすい方も多い。約55μg
・焼き海苔:少量でも葉酸が含まれ、口の中でさっと食べられる
・納豆(1パック):においが気にならない場合は手軽に摂取可能。約48μg
・プルーン(ドライフルーツ):甘みがあり、サプリが飲みにくいときに取り入れやすい
つわりがひどいときの食事についてはこちらの記事が参考になります。
つわり中の食べ物は何がいい?食べやすいもの・先輩ママが食べれたものを元看護師ちなみが解説
つわりはいつから?ピーク・いつまで続くかと症状・対処法を元看護師ちなみが解説
葉酸欠乏性貧血との関係——鉄欠乏性貧血とは別の話
葉酸欠乏性貧血(巨赤芽球性貧血)とは何か
葉酸不足によって赤血球が正常に作られなくなる状態が「葉酸欠乏性貧血(巨赤芽球性貧血)」です。葉酸はビタミンB12と連携してDNA合成・細胞分裂に関わるため、不足すると赤血球が大きく成熟不全のまま(巨赤芽球)の状態になり、酸素運搬が不十分になります。
妊娠中の貧血の多くは「鉄欠乏性貧血」です。鉄欠乏性貧血は鉄が不足して起きる貧血で、赤血球が小さく色が薄い状態(小球性低色素性貧血)が特徴です。これに対して葉酸欠乏性貧血は赤血球が大きい状態(大球性貧血)になるという違いがあります。どちらも妊婦健診の血液検査で鑑別できます。
妊娠中の貧血管理と葉酸の役割
妊娠中に葉酸が十分に摂取されていると、葉酸欠乏性貧血のリスクが低減されます。また、鉄欠乏性貧血と葉酸欠乏性貧血が同時に起きている場合もあります。妊婦健診で「貧血気味ですね」と言われた場合は、どちらのタイプかを担当医に確認しておくと安心です。
妊娠中の貧血全体(鉄欠乏性貧血を中心とした原因・症状・食事対策・処方鉄剤のつき合い方)については、こちらの記事で詳しく解説しています。
妊娠中の貧血はなぜ起こる?症状・治療・食事対策を元看護師ちなみが解説
男性も葉酸が必要?——妊活カップル視点
精子のDNA合成と葉酸の関係
葉酸は「妊娠する女性のもの」というイメージが強いですが、男性にも妊活期の葉酸摂取に意義があると考えられています。精子は男性の体内で約74日かけて作られる細胞であり、その形成過程でも盛んにDNA合成が行われます。葉酸はDNA合成に欠かせない補酵素として、精子のDNA健全性にも関わる可能性が示唆されています。
妊活期の男性の葉酸摂取については、葉酸サプリガイドで詳しく解説しています。
妊娠確認後もパートナーと一緒に続けるメリット
妊娠が確認された後も、パートナーが葉酸を含む栄養素を意識的に摂ることには意味があります。精子の質は継続的な健康維持によって保たれるものであり、パートナーの栄養状態は全体的な体の健康として重要です。
栄養面以上に、「一緒に妊娠期間を健康に過ごそう」というカップルとしての共同意識が、妊娠中の精神的なサポートにつながります。「あなたも続けてみない?」と声をかけてみると、夫婦の連帯感が生まれやすくなります。

ちなみの経験から——妊活期から授乳期まで
妊活から授乳期まで葉酸サプリを続けた経験(A層)
私自身の話を少しだけ。第一子・第二子、それぞれの妊活を始めたタイミングで葉酸サプリを飲み始め、妊娠確認後も継続しました。第二子のとき(ジュンビーのピンクゼリーで産み分けして女の子を授かりました)は、妊娠初期のつわりがかなりきつくて、サプリが飲みにくい日が何日かありました。就寝前に粒の小さいタイプに切り替えて乗り越えた経験があります。
「飲めなかった日があった」という後ろめたさを感じた時期もありましたが、「今日飲めた」を積み重ねることの方が大事だと気づいてから、少し気が楽になりました。完璧に飲み続けることより、長く続けることの方が体には確実に届く——というのが今の私の考えです。葉酸の摂れ方・体への影響は個人差がありますので、体の状態については必ず担当医に相談してくださいね。
「飲まなかった、大丈夫ですか?」——看護師時代の経験(B層)
看護師時代、妊婦健診の外来で「妊娠に気づくのが遅くて、葉酸を全然飲んでいませんでした。赤ちゃんに影響があるでしょうか」と不安を打ち明けられる妊婦さんに何度か接しました。「知らなかった自分が悪いのかもしれない」と自責の気持ちを持っている方もいらっしゃいました。
担当医から「神経管の形成と葉酸の役割」「今からできること」「ダウン症との違い」などを丁寧に説明していただいた後、多くの方の表情が和らいでいたことを今でもよく覚えています。「正確に知ること」が「不安を減らす最善の方法」だと、そのたびに感じていました。あなたにもこの記事を通じて、同じような安心を届けられていれば嬉しいです。
ちなみ(元看護師)
まとめ——葉酸は続けることに意味がある
- 葉酸は神経管閉鎖障害リスク低減・DNA合成・赤血球産生を支える妊娠初期に最も重要な栄養素のひとつ
- 厚労省推奨:食事に加えてモノグルタミン酸型400μg/日をサプリから(妊娠希望段階から・神経管形成の妊娠初期12週まで特に重要)
- 中期以降も付加量あり:妊娠中は合計480μg目安・授乳期は340μg目安(食事摂取基準2025)
- サプリ由来の上限は1日1,000μg。「飲み忘れ翌日に2日分まとめて」はNG
- 「飲まなかった」=「異常が確定した」ではない。リスク低減の確率論であり、今から始める意義は必ずある
- ダウン症(21トリソミー)は染色体異常であり、葉酸摂取によって予防できるという医学的エビデンスは現時点では確立されていない
- つわりで飲めない日があっても過度に心配しない。続けられる工夫(タイミング・剤形変更)を試して
- 食事からも葉酸補給を:枝豆・ブロッコリー・ほうれん草・納豆が取り入れやすい高葉酸食材
- 妊娠確認後は今飲んでいるサプリを主治医に見せて継続方法を相談するのが基本
葉酸は妊活期から授乳期まで、ずっと体の中で働き続ける栄養素です。「最初から完璧に飲み続けないといけない」と思う必要はなく、「今日から始める・続けられる形を見つける」という姿勢で十分です。不安なことがあれば一人で抱え込まず、かかりつけの産婦人科医に相談しながら進めていきましょう。
参考 妊娠中と産後の食事について(妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針)こども家庭庁
参考 葉酸とサプリメント-神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果厚生労働省 e-ヘルスネット
よくある質問(妊娠初期の葉酸|FAQ)
Q妊娠初期に葉酸を飲まなかったけど大丈夫ですか?
A.「飲まなかった」という事実は「異常が確定した」ことではありません。葉酸摂取はあくまで神経管閉鎖障害などのリスクを低減するための取り組みであり、飲まなかったからといって必ず何か起きるわけではありません。妊娠中期〜後期・授乳期も葉酸の役割は続くため、今から始めることに十分な意義があります。不安が強い場合は、かかりつけの産婦人科医に正直に相談するのが最善です。担当医から丁寧な説明を受けることで気持ちが和らぐ方が多いです。
Q葉酸はいつまで飲めばいいですか?
A.神経管閉鎖障害予防の観点で特に重要なのは妊娠初期(〜12週)までですが、それ以降も継続が推奨されています。妊娠中は付加量として合計約480μg目安、授乳期は合計約340μg目安(日本人の食事摂取基準2025年版)が推奨されています。授乳が終わるまで飲み続けることが理想的です。時期ごとに適切なサプリや量が変わるため、妊娠確認後は主治医に飲んでいるサプリを見せて相談するのがおすすめです。
Q葉酸でダウン症を予防できますか?
A.現時点では、葉酸摂取でダウン症を予防できるという医学的エビデンスは確立されていません。ダウン症(21トリソミー)は21番染色体が3本になる染色体異常であり、受精時の染色体分離の問題によって起きます。このメカニズムは葉酸の摂取量で制御できるものではありません。葉酸が有効とされているのは神経管閉鎖障害(二分脊椎・無脳症)のリスク低減であり、この2つは別の話です。
Qつわりで葉酸サプリが飲めません。どうすればいいですか?
A.1〜数日飲めない日があっても体の葉酸貯蔵量がすぐに枯渇するわけではないので、過剰な不安は不要です。対処法として、吐き気が落ち着いた時間帯(就寝前など)に変える・小粒タイプやゼリー状に切り替える・クラッカー1枚と一緒に飲むなどの工夫があります。どうしても錠剤が無理なときは枝豆・アボカド・納豆などの高葉酸食材を食事から意識して摂ることも一つの方法です。ひどいつわり(妊娠悪阻)が続く場合は産婦人科に相談してください。
続けて読みたい関連記事
妊娠中の食事・栄養・体調管理について、あわせて読んでおきたいテーマを3本選びました。
妊娠中に食べていいもの・積極的に食べたい食材は?栄養素別に元看護師ちなみが解説

