「会陰切開って、必ずされるの?」「痛みはいつまで続くんだろう」「傷跡って目立つのかな」——出産が近づいてくると、こうした疑問が頭をよぎる方は少なくないと思います。ネットで検索すると「痛みのぶり返し」「肉芽」など、少し不安になる言葉も目に入ってきますよね。
はじめまして、ちなみです。元看護師として産科病棟での勤務を経験し、現在は妊活・妊娠・子育てを中心に情報発信している男女2児のママです。この記事では、会陰切開の目的や方法、行われるケース、痛みのピークとセルフケア、傷跡のケア、保険適用まで、順を追って中立に解説します。
ちなみ(元看護師)
会陰切開とは?読み方と目的
読み方は「えいんせっかい」
会陰切開は「えいんせっかい」と読みます。「会陰」とは、腟口と肛門の間にある部分のことです。経腟分娩の最終段階で、赤ちゃんの頭が出てくる直前に、はさみを使ってこの会陰の一部を数センチ切る処置を「会陰切開」と呼びます。
目的は分娩をスムーズにし、重度の裂傷を防ぐこと
国立成育医療研究センターによると、会陰切開は「分娩をよりスムーズにするための処置」とされています。会陰は出産時に赤ちゃんの頭の大きさに合わせて自然に伸びますが、伸びが追いつかない場合、切開を入れずに任せると、より深く不規則な自然裂傷(会陰裂傷)が生じてしまうことがあります。あらかじめ計画的に切開を入れることで、傷の方向や深さをコントロールし、縫合しやすい形にする、という意味合いもあります。
会陰切開は全員に行われるわけではない
「ルーティンで行う処置」ではなくなっている
「会陰切開 しない人の特徴」と検索される方も多いのですが、そもそも現在の産科医療では、会陰切開はすべての経腟分娩で一律に行う処置ではなくなってきています。日本産婦人科医会がまとめた研究班の報告では、「会陰切開をルーティンに行う必要はない」とされ、ルーティンで切開した場合と必要時のみ切開した場合とで、分娩時の満足度に大きな差はみられなかったと報告されています。それどころか、ルーティンに会陰切開を行うほうが、かえって重度の会陰裂傷が多くなる傾向や、肛門失禁など骨盤底の長期的なトラブルが増える可能性も指摘されています。
つまり、会陰が十分に伸びて自然な経過で分娩が進みそうであれば、切開せずに見守るという判断も珍しくないということです。切開するかどうかは、その場の状況を見ながら医師や助産師が判断します。
誘発分娩であっても経腟分娩である以上、状況によっては会陰切開が行われることがあります。誘発分娩の流れやリスクについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
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会陰切開は、吸引分娩を行うときにあわせて実施されることが多い処置です。吸引分娩そのものの流れや赤ちゃんへの影響について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
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主に行われるケース
国立成育医療研究センターの情報によると、会陰切開が行われるのは主に次のような場合です。
- 赤ちゃんの心音に異常がみられ、早く娩出させる必要がある場合
- 吸引分娩や鉗子分娩を行う場合(器具を挿入するスペースを確保するため)
- 会陰の伸びが不十分で、大きな自然裂傷が予測される場合
陣痛から分娩に至るまでの一連の流れについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。
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なお、帝王切開の場合は経腟分娩を行わないため、会陰切開そのものが発生しません。帝王切開の流れや費用について詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。
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切開の方法・タイミング・麻酔
切る方向と長さの目安
会陰切開には主に、会陰の中央からやや斜め下に切る方向(時計の文字盤にたとえて5時方向・7時方向と表現されることがあります)があり、赤ちゃんの頭の大きさや会陰の伸び具合に応じて医師が判断します。切開の長さはおおむね2〜3センチ程度が目安とされています。
局所麻酔をするため、切る瞬間の痛みは感じにくい
切開の前には局所麻酔を行うため、切る瞬間そのものに強い痛みを感じることは少ないとされています。陣痛のいきみの感覚が強い分、切られたことに気づかなかったという声も少なくありません。麻酔の効きが十分でなく痛みが強い場合は、追加で麻酔を行うこともできるので、我慢せずそのときの状態を伝えて大丈夫です。
縫合方法:溶ける糸と抜糸のタイミング
多くは自然に溶ける吸収糸を使用
会陰切開後は、切開した部分と自然にできた裂傷部分をあわせて縫合します。現在は「吸収糸」という、体内で自然に溶けていく糸を使う産院が多く、この場合は抜糸をしなくても、産後1〜2か月ほどかけて自然に糸が吸収されてなくなっていきます。
抜糸が必要になるケース・タイミング
絹糸など溶けないタイプの糸で縫合した場合は、退院前の診察(産後5日目ごろが目安)で抜糸を行います。また、吸収糸であっても、出産直後にむくんでいた会陰の腫れが引いてくると、糸が引きつれるような痛みを感じやすくなるため、産院の方針によっては、傷がしっかり閉じたタイミングであえて抜糸してから退院となることもあります。どちらの方法になるかは産院や状況によって異なるので、気になる場合は担当の助産師に確認してみてください。
会陰切開の痛みはいつまで続く?ピークと「ぶり返し」
痛みのピークは産後数日
局所麻酔が切れたあとは、縫合部にズキズキとした痛みを感じることが多く、入院中の産後数日が痛みのピークになりやすいといわれています。座ったり歩いたりする動作で傷が引っ張られる感覚があるのも、この時期によくみられる症状です。
むくみが引く頃に感じる「引きつれ」=痛みのぶり返し
「会陰切開 痛み ぶり返し」と検索される方が多いのは、産後しばらくして、出産直後にむくんでいた会陰の腫れが引いてくる過程で、縫合部が引きつれるような痛みを再び感じることがあるためです。これは傷が治っていく自然な経過のひとつと考えられていますが、痛みの感じ方には個人差が大きく、「数日でほとんど気にならなくなった」という方もいれば、「産後しばらく違和感が続いた」という方もいます。一次資料でも明確な「平均〇日」という数値は示されていないため、こうした個人差があるという前提で捉えていただくのが安心です。
痛みが日ごとに強くなる、傷の周囲が赤く腫れて熱を持つ、膿のようなものが出る、38度以上の発熱を伴う——といった場合は、傷の感染などの可能性も考えられます。自己判断で様子を見続けず、早めに産院に相談してください。
痛みを和らげるセルフケア(座り方・寝方・トイレ)
座り方の工夫|ドーナツ型クッションで傷への圧迫を減らす
「会陰切開後 座り方」に悩む方には、中央に穴が開いたドーナツ型クッションがよく使われます。座ったときに縫合部へ体重が直接かからないようにすることで、痛みをやわらげやすくなります。入院中に助産師から勧められることも多いので、退院後の生活のためにひとつ用意しておくと安心です。
寝方の工夫|横向きで負担を減らす
仰向けで長時間過ごすよりも、傷のある側を避けて横向きで休むほうが、縫合部への圧迫が少なく楽に感じる方が多いようです。授乳や抱っこで座る時間も多くなるので、休めるときは無理のない姿勢でこまめに体を休めることを意識してみてください。

トイレ・排便時の不安への対処
「会陰切開 うんち」「会陰切開 トイレ コツ」と検索される方が多いのは、排便時にいきむことで傷が開いてしまうのではないかという不安からだと思います。実際には、縫合はしっかり行われているため、通常の排便で傷が開くことはまれです。とはいえ不安な場合は、清潔なガーゼやトイレットペーパーで会陰部をそっと支えながらいきむと、圧迫感が和らぎやすくなります。また、産後は便秘になりやすい時期でもあるため、水分をしっかりとり、便を柔らかく保つことも、結果的に排便時の負担を減らすことにつながります。妊娠中の便秘については、こちらの記事も参考にしてみてください。
妊娠中の便秘はなぜ起きる?今すぐ出す方法・鉄剤対処・薬の安全性まで元看護師が解説
産後は傷のケアと並行して、悪露(おろ)の変化も見ていくことになります。悪露がいつまで続くのか、色や量はどう変わるのか、産褥パッドのかぶれ対策や「これは受診」の目安は、こちらの記事で整理しています。
悪露(おろ)とは?いつまで続く・色や量の変化・受診の目安を元看護師が解説
傷跡のケア:盛り上がり・肉芽・かゆみ
傷跡が盛り上がる・肉芽ができることがある
「会陰切開 傷跡 盛り上がり」「会陰切開 肉芽」と検索される方も多いのですが、傷が治っていく過程で、縫合部の一部が赤く盛り上がったり、小さな肉芽(治癒過程でできる柔らかい組織)ができたりすることがあります。多くは時間の経過とともに自然に落ち着いていきますが、大きくなる、出血を繰り返す、痛みが続くといった場合は、産院で診てもらうと、必要に応じて処置をしてもらえます。
かゆみは治癒過程でよくみられる
傷が治っていく過程で、縫合部にかゆみを感じることも珍しくありません。神経の回復や皮膚の再生に伴う自然な反応のひとつと考えられていますが、かきむしってしまうと傷が悪化する原因にもなるため、清潔と乾燥を保ちながら様子を見て、かゆみが強い場合は自己判断せず産院に相談しましょう。
傷口が開いた・出血が続く場合は受診を
頻度としてはまれですが、感染などをきっかけに傷口が部分的に開いてしまうことがあります。「会陰切開 傷口 開いた」と不安になった場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに産院へ連絡してください。多くは適切な処置で対応できます。
会陰の傷が治ったあと、性行為のときに痛みや引きつれを感じることがあります。原因と対処、受診の目安はこちらにまとめました。
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会陰切開は保険適用になる?
正常分娩の一部としての会陰切開は自由診療が基本
「会陰切開 保険」と検索される方が多いのは、費用面が気になるためだと思います。妊娠・出産にともなう自然な経過での分娩は「正常分娩」として扱われ、公的な健康保険の対象外(自由診療)となるのが基本です。会陰の伸びを補助し、大きな裂傷を防ぐ目的で行われる会陰切開も、この正常分娩の一環とみなされるため、原則として健康保険の適用対象にはなりません。
吸引分娩・鉗子分娩など医療行為を伴う場合は適用になることも
一方で、赤ちゃんの心音異常などにより吸引分娩や鉗子分娩が必要と判断された場合、これらは「異常分娩」として扱われ、公的医療保険の対象になることがあります。この場合、器具を挿入するスペースを確保する目的で行われる会陰切開についても、あわせて保険適用になる可能性があります。ただし、どこまでが保険の対象になるかは分娩の経過や医療機関の判断によって異なるため、詳しい取り扱いは出産した産院や加入している保険者に確認するのが確実です。
民間の医療保険は加入プランによって異なる
「コープ共済 会陰切開」といった検索が多いことからもわかるように、民間の医療保険や共済に加入している場合、手術給付金の対象になるかどうかが気になる方も多いようです。会陰切開や吸引分娩・鉗子分娩が給付対象になるかどうかは、加入している保険会社・共済の商品ごとの約款によって異なります。出産予定が近づいてきたら、契約している保険会社や共済に、対象となる分娩の種類や必要な診断書について事前に確認しておくと、申請時にあわてずに済みます。
無痛分娩を選んだ場合でも、経腟分娩である以上、状況によっては会陰切開が行われることがあります。無痛分娩の仕組みや費用について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
無痛分娩とは?メリット・デメリットから費用まで元看護師が解説
ちなみから|看護師時代に見てきた会陰切開
少しだけ、看護師時代の経験をお話しさせてください。産科病棟で働いていたころ、会陰切開について「痛そう」「怖い」というイメージだけを事前に抱いてしまい、必要以上に不安になっている妊婦さんによく出会いました。ですが実際には、局所麻酔が効いている状態で行われ、分娩そのものの痛みに比べると、切開されたこと自体に気づかなかったという方も少なくありませんでした。
産後の痛みやケアについても、「思っていたより早く落ち着いた」という方もいれば、「しばらく違和感が残った」という方もいて、経過は本当に人それぞれです。だからこそ、事前に大まかな流れとセルフケアの方法を知っておくだけでも、いざというときの安心感につながるはずだと感じています。
ちなみ(元看護師)

まとめ|会陰切開は「必要なときに行われる」医療的な処置
- 会陰切開(えいんせっかい)は、分娩をスムーズにし、大きな会陰裂傷を防ぐための処置。すべての出産で一律に行うものではなく、必要と判断された場合に行われる。
- 主なケースは、赤ちゃんの心音異常・吸引/鉗子分娩・会陰の伸びが不十分な場合など。局所麻酔をするため切る瞬間の痛みは感じにくい。
- 多くは自然に溶ける吸収糸で縫合され、抜糸が不要なことも多い。痛みのピークは産後数日で、むくみが引く頃に「ぶり返し」を感じることもあるが個人差が大きい。
- ドーナツ型クッションや横向きの休み方でセルフケアがしやすくなる。傷跡の盛り上がり・肉芽・かゆみは治癒過程でよくみられるが、悪化する場合は受診を。
- 正常分娩の一環としての会陰切開は健康保険の対象外(自由診療)が基本。吸引分娩・鉗子分娩など異常分娩に該当する場合は保険適用になることもある。民間保険の給付対象かは加入プランによるため事前確認を。
会陰切開は、正しく知っておけば必要以上に怖がるものではありません。仕組みとケアの方法を知ったうえで、当日は担当の助産師や医師と相談しながら、安心してお産に臨んでくださいね。
よくある質問(会陰切開|FAQ)
Q会陰切開は必ずされるのですか?
A.必ず行われるわけではありません。現在の産科医療ではルーティンで行う処置ではなく、赤ちゃんの心音異常や吸引・鉗子分娩、会陰の伸びが不十分な場合など、必要と判断されたときに行われます。
Q会陰切開の痛みはいつまで続きますか?
A.痛みのピークは産後数日が目安とされ、むくみが引く頃に引きつれるような「ぶり返し」を感じることもあります。ただし個人差が大きく、明確な平均日数は確立されていません。痛みが強くなる・熱を持つなどの場合は産院に相談してください。
Q縫合した糸は抜糸が必要ですか?
A.多くの産院では自然に溶ける吸収糸を使用するため、抜糸が不要なこともあります。ただし産院の方針によっては、腫れが引いたタイミングで抜糸することもあります。溶けないタイプの糸を使った場合は、退院前の診察で抜糸が行われます。
Q排便で傷が開かないか心配です。
A.縫合はしっかり行われているため、通常の排便で傷が開くことはまれです。不安な場合は清潔なガーゼなどで会陰部をそっと支えながらいきむと安心感が得られやすく、水分をとって便を柔らかく保つことも負担軽減につながります。
Q会陰切開は保険適用になりますか?
A.正常分娩の一部として行われる会陰切開は、健康保険の対象外(自由診療)となるのが基本です。吸引分娩・鉗子分娩などの異常分娩に該当する場合は保険適用になることがあります。民間保険の給付対象かどうかは加入プランによって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
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