毎晩1時間かけて寝かしつけて、やっと寝たと思ったら30分で起きる。絵本も読んだ、トントンもした、抱っこもした。それでも寝ない——。寝かしつけは、子育ての中でも「がんばった分だけ報われる」とは限らない、しんどい時間です。
寝かしつけのコツというと、夜の寝室で何をするかに目が行きがちです。でも、先にお伝えしたいのは、寝かしつけは夜ではなく「朝」から始まっているということ。厚生労働省のe-ヘルスネットには、「私たちは朝に目覚めて明るい光を浴びてから約14時間後より徐々に眠気を感じるように(生物時計)がセットされています」と書かれています。
つまり、夜の寝つきの半分は、その日の朝に何時に起きて、光を浴びたかで決まっているのです。
この記事では、元看護師で2児の母である私「ちなみ」が、月齢別の寝かしつけの考え方、今日からできる基本、ネントレの向き・不向き、寝かしつけは何歳まで続くのか、イライラしたときの逃げ道まで、順番に整理します。
寝かしつけは「朝」から始まっている
眠気は、朝の光から約14時間後にやってくる
人の体には、約1日周期でリズムを刻む体内時計があります。この時計は、朝に目覚めて明るい光を浴びることで毎日リセットされ、そこから時間がたつと自然に眠くなるようにできています。
e-ヘルスネットの「約14時間後」をそのまま当てはめると、朝7時に起きて光を浴びた子は、夜9時ごろから自然に眠くなる計算です。反対に、朝9時まで寝ていた日は、夜11時ごろまで眠くならない。寝かしつけに1時間かかるのは、寝かしつけのやり方ではなく、まだ眠くなる時間ではないからかもしれません。
「早寝・早起き」ではなく「早起き・早寝」
e-ヘルスネットは、こどもの生活リズムについて「『早寝・早起き』ではなく『早起き・早寝』から始めましょう」とはっきり書いています。早く寝かせようとがんばるより、まず起きる時間を決めて、朝の光を浴びるほうが先、ということです。
そのコツとして、ベランダに出て日光を浴びる、それが無理なら「窓辺で顔を戸外に向ける」ことを挙げ、「室内方向を見てしまうと体内時計の時刻合わせには不十分です」と注意しています。また、「1~2週間ほども続けるとこどもたちの体内時計は徐々に朝型に変わり」とも説明しています。
ちなみ(元看護師)
週末の寝坊が、月曜の寝かしつけを難しくする
e-ヘルスネットは、「くれぐれも週末の寝坊には注意してください。お昼近くまで寝坊してしまうと体内時計が一気に遅れ、1週間分の苦労は水の泡になってしまいます」とも書いています。休みの日に家族でゆっくり寝ていたい気持ちはよくわかりますが、赤ちゃんの起きる時間だけは、平日とあまりずらさないのがおすすめです。

月齢別・寝かしつけの考え方
赤ちゃんの眠り方は、月齢でどんどん変わります。今の月齢で「できること」と「まだできないこと」を知っておくと、うまくいかない夜に自分を責めずに済みます。
| 月齢の目安 | 眠りの特徴 | 寝かしつけで意識したいこと |
|---|---|---|
| 新生児〜生後2か月ごろ | 昼夜の区別がなく、2〜3時間ごとに起きる | 寝かしつけより授乳と安全。リズムづくりは昼夜の明暗くらいで十分 |
| 生後3〜5か月ごろ | 夜にまとめて眠る時間が少しずつ延びてくる | 朝の起床時間をそろえ、寝る前の流れ(入眠儀式)を始める |
| 生後6〜11か月ごろ | 昼寝の回数が減っていく。夜中に起きる・夜泣きが出る子も | 昼寝の終わりが遅くなりすぎないように。夜中に起きても明かりをつけない |
| 1歳〜 | 昼寝が1回にまとまっていく | 1日の睡眠時間(昼寝込み)を見る。断乳・卒乳と寝かしつけの方法を見直す時期 |
新生児〜生後2か月ごろ:寝かしつけは「できなくて当たり前」
この時期の赤ちゃんは、まだ昼と夜の区別がなく、眠りも浅く細切れです。寝かしつけの技術でどうにかなる時期ではありません。昼は明るく、夜は暗く。おなかが満たされて、おむつが乾いていれば十分です。新生児期の「寝ない」については、こちらでくわしく整理しています。
新生児が寝ないのはなぜ?夜寝ない理由と寝かしつけのコツ、ほっとくときの安全ルールを元看護師が解説
生後3〜5か月ごろ:朝の時間をそろえ始める
夜にまとめて眠る時間が少しずつ延びてくるこの時期が、生活リズムを整え始めるタイミングです。まずは朝起きる時間をだいたい同じにして、カーテンを開ける。そして夜は、毎日同じ順番で「寝る前の流れ」をつくることを始めてみてください。
生後6〜11か月ごろ:昼寝の時間に気をつける
昼寝の回数が減っていく時期です。夕方遅くまで昼寝をしていると、夜に眠くならないことがよくあります。夕方の昼寝が長引いたら、少し早めに起こしてあげるのもひとつの方法です。夜中に起きる、夜泣きをする子もいますが、そのときも部屋の明かりはつけず、静かに対応すると、再び眠りに戻りやすくなります。
1歳〜:1日の睡眠時間で考える
e-ヘルスネットによると、米国睡眠医学会は「1〜2歳児は11〜14時間、3〜5歳児は10〜13時間」の睡眠時間を推奨しています。ここには昼寝も含まれます。夜の寝つきが悪いときは、昼寝が長すぎたり遅すぎたりしていないかを見直してみてください。
この時期は、授乳で寝かしつけていた子が、断乳や卒乳で寝かしつけ方を変えるタイミングでもあります。夜間断乳と寝かしつけの関係は、こちらにまとめています。
夜間断乳はいつから?やり方と昼夜どちらを先にやめるかを元看護師が解説
今日からできる寝かしつけの基本
寝る前の流れ(入眠儀式)を毎日同じにする
赤ちゃんは、「これが終わったら寝る時間」という合図を少しずつ覚えていきます。たとえば、
お風呂 → パジャマに着替える → 授乳・ミルク → 歯みがき(歯が生えてきたら) → 部屋を暗くする → 絵本を1冊 → 「おやすみ」
中身はなんでもかまいません。大事なのは、毎日だいたい同じ時間に、同じ順番でくり返すこと。「寝かしつけ 絵本」もよく検索されていますが、絵本そのものより、「絵本を読んだら寝る」という流れのほうに意味があります。短くて、読む人が疲れない本で十分です。
お風呂は、寝る直前より少し前に
お風呂で温まった体は、そのあと体温が下がっていくときに眠気が出やすくなります。お風呂から上がってすぐより、少し時間をおいたほうが寝つきやすい子が多いので、寝る時間から逆算して、少し早めにお風呂をすませるのがおすすめです。ひとりでお風呂に入れる段取りは、こちらにまとめています。
ワンオペお風呂の入れ方と待たせ方|順番を変えるだけで安全になる手順を元看護師が解説
寝室は、暗く・静かに・暑すぎず
- 暗く……寝る時間になったら照明を落とす。夜中の授乳やおむつ替えは手元だけの小さな明かりで
- 静かに……テレビの音や、スマホの明るい画面を近くに置かない
- 暑すぎず……赤ちゃんは大人より体温が高め。首の後ろや背中が汗ばんでいたら1枚減らす
トントン・抱っこ・添い乳……方法はどれでもいい
トントン、抱っこでゆらゆら、子守歌、おしゃぶり、添い乳。どの方法が正しいということはありません。その子と、寝かしつける人が楽になる方法を選んでかまいません。
ただし、添い乳や添い寝のまま大人が寝落ちすることには注意が必要です。こども家庭庁は、大人の身体で赤ちゃんに覆いかぶさったり、口や鼻をふさいでしまったりする危険がある添い寝に注意をうながし、赤ちゃん専用の寝床が安心につながるとしています。添い乳で寝かしつけたら、眠ったのを確かめて、あおむけでベビーベッドなど赤ちゃんの寝床へ移してあげてください。
- 1歳になるまでは、寝かせる時はあおむけに
- 寝具は硬めで平坦なもの
- 掛け布団は使わず、スリーパーなどの着るものや空調で温度を調整
- 寝床にはぬいぐるみやタオルなどを置かない
参考 赤ちゃんが安全に眠れるように ~1歳未満の赤ちゃんを育てるみなさまへ~こども家庭庁

ネントレはしたほうがいい?向き・不向き
ネントレとは
ネントレ(ねんねトレーニング)は、赤ちゃんが抱っこや授乳なしで、自分で眠りに入れるように練習していくことの総称です。「セルフねんね」とも呼ばれます。やり方はいろいろありますが、大きく分けると次の2つの考え方があります。
- 生活リズムと寝る前の流れを整える、ゆるやかな方法……ここまで紹介してきた「朝の起床をそろえる」「入眠儀式を同じにする」も、広い意味ではネントレの土台です
- 眠そうなうちに布団に置き、泣いても少し待って見守る方法……待つ時間を少しずつ延ばしたり、そばにいる時間を減らしていったりする
始める前に確認したいこと
- 新生児期〜低月齢のうちは向かない……おなかがすいて起きるのは当たり前の時期。夜中に授乳が必要な時期に、泣いても待つ方法をとるのは避けましょう
- 体重が順調に増えている、体調に心配がない……健診で気になることを言われているときは、先に相談を
- 家族で方針をそろえる……夜中に泣いたとき、人によって対応がばらばらだと、赤ちゃんも混乱します
- 引っ越し、保育園の入園、体調を崩した直後など、環境が変わる時期は避ける
「やらない」も立派な選択
ネントレは、しなければいけないものではありません。抱っこや添い乳で寝かしつけるのがつらくないなら、無理に変える必要はありません。反対に、寝かしつけで心も体も限界なら、ゆるやかな方法から試してみる価値はあります。
ちなみ(元看護師)
寝かしつけは何歳まで続く?
「寝かしつけ 何歳まで」「いつまで」も、とても多く検索されています。正直に言うと、何歳でやめるべき、という決まりはありません。自分で眠れるようになる時期には大きな個人差があり、幼児期になっても「そばにいてほしい」「絵本を読んでほしい」という子はたくさんいます。
参考になるのは、日本のこどもの就寝時刻のデータです。e-ヘルスネットによると、厚生労働省の21世紀出生児縦断調査で、4歳6カ月時点での最も多い就寝時刻は21時台(50.1%)、次いで22時台(21.9%)で、21時前に寝るこどもは5人に1人以下でした。e-ヘルスネットは「乳幼児期は、こどもの睡眠習慣が親の睡眠習慣に影響されやすい」とも書いています。
つまり、寝かしつけの長さは、子どもの性格だけでなく、家族の生活リズムそのものに左右されます。「何歳までに一人で寝かせなきゃ」と期限を決めるより、朝の起床と寝る前の流れを整えながら、少しずつ親の関わりを減らしていくほうが、結果的に早く手が離れていきます。
寝かしつけでイライラしてしまうとき
寝かしつけは、1日の終わり、親がいちばん疲れている時間にやってきます。イライラするのは当たり前です。こども家庭庁も「赤ちゃんが泣きやまなくてイライラすることは誰でもあり得ることです」と書いています。
限界のときは、安全な場所に寝かせて離れていい
こども家庭庁は、泣きやまずイライラしそうなときは「赤ちゃんを安全な場所に寝かせて、その場を離れて、自分がリラックスしましょう」とし、「少ししたら(長時間の放置はいけません)、戻って赤ちゃんの様子を確認しましょう」と呼びかけています。カッとなる前に離れるのは、赤ちゃんを守るための行動です。
「パパだと泣く」は、交代をやめる理由にならない
「寝かしつけ パパ 大泣き」もよく検索されています。いつも寝かしつける人と違う人だと、最初は泣くことが多いものです。でも、毎回同じ流れで、同じ人が何日か続けると、少しずつ慣れていく子がほとんどです。最初の数日の大泣きで交代をあきらめず、寝る前の流れはそのままに、担当する人だけを替えてみてください。寝かしつけを分け合えると、それだけで夜の余裕がまったく違います。
ひとりで寝かしつけを担っていてつらいときは、こちらの記事も読んでみてください。
ワンオペ育児とは?しんどい理由と場面別の乗り切り方・使える支援を元看護師が解説
参考 【動画】赤ちゃんが泣きやまない~泣きへの理解と対処のために~こども家庭庁

一度は夜まとめて眠れていたのに、生後半年を過ぎたころからまた夜中に泣くようになった——いわゆる夜泣きには、医学的な定義もはっきりした原因もなく、育て方のせいではありません。時期の目安や夜にできる対処、2〜3歳の夜驚症との違いは「夜泣きはいつからいつまで?原因と対処法、放置していいか」でまとめています。
夜泣きはいつからいつまで?原因と対処法、放置していいかを元看護師が解説
まとめ|夜にがんばる前に、朝を固定する
要点を整理します。
- 眠気は朝の光から約14時間後にやってくる(e-ヘルスネット)。寝かしつけは朝から始まっている
- 「早寝・早起き」ではなく「早起き・早寝」。まず起きる時間をそろえ、窓辺で外を見て光を浴びる
- 週末の寝坊は体内時計を一気に遅らせる
- 新生児期は寝かしつけができなくて当たり前。リズムづくりは生後3か月ごろから
- 1〜2歳の推奨睡眠時間は昼寝込みで11〜14時間
- 寝る前の流れを毎日同じ時間・同じ順番で。お風呂は寝る直前より少し前に
- 方法はどれでもいい。ただし添い乳・添い寝の寝落ちに注意し、1歳まではあおむけ・寝床に物を置かない
- ネントレはしなくてもいい。するなら低月齢は避け、家族で方針をそろえて
- 何歳までという決まりはない。家族の生活リズムごと整えるほうが早く手が離れる
- イライラしたら安全な場所に寝かせて離れていい(長時間の放置はしない)
毎晩の寝かしつけがうまくいかないと、「私の何がいけないんだろう」と考えてしまいます。でも、寝かしつけに時間がかかるのは、あなたのやり方が下手だからではなく、まだ眠くなる時間ではないだけかもしれません。
今日できるいちばん小さな一歩は、明日の朝、起こす時間を決めて、起きたらすぐカーテンを開け、窓の外を一緒に見ることです。夜の寝かしつけは、明日の朝から変わり始めます。
Q寝かしつけに毎晩1時間以上かかります。どうすればいいですか?
A.まだ眠くなる時間になっていない可能性があります。厚生労働省のe-ヘルスネットは、朝に目覚めて明るい光を浴びてから約14時間後より徐々に眠気を感じると説明し、「早寝・早起き」ではなく「早起き・早寝」から始めることをすすめています。まず朝起きる時間をそろえ、窓辺で外を見て光を浴びることを1〜2週間続けてみてください。
Q寝かしつけは何歳まで必要ですか?
A.何歳でやめるべきという決まりはなく、自分で眠れるようになる時期には大きな個人差があります。e-ヘルスネットは、乳幼児期のこどもの睡眠習慣は親の睡眠習慣に影響されやすいとしています。期限を決めるより、朝の起床と寝る前の流れを整えながら、少しずつ親の関わりを減らしていくのがおすすめです。
Qネントレはいつから始めればいいですか?
A.新生児期から低月齢のうちは、おなかがすいて起きるのが当たり前なので向きません。夜にまとめて眠る時間が延びてきて、体重が順調に増え、体調に心配がないことが前提です。ネントレはしなければいけないものではなく、まずは朝の起床時間と寝る前の流れを整えるゆるやかな方法から始めるのもひとつの方法です。気になることがあれば健診で相談してください。
Q添い乳で寝かしつけても大丈夫ですか?
A.寝かしつけの方法として添い乳を選ぶこと自体はかまいません。ただし、こども家庭庁は大人の身体で赤ちゃんに覆いかぶさったり口や鼻をふさいだりする危険がある添い寝に注意をうながしています。添い乳で眠ったら、あおむけでベビーベッドなど赤ちゃん専用の寝床に移し、大人がそのまま寝落ちしないようにしてください。
Q1歳の子は何時間くらい寝ればいいですか?
A.e-ヘルスネットによると、米国睡眠医学会は1〜2歳児に11〜14時間、3〜5歳児に10〜13時間の睡眠時間を推奨しています。この時間には昼寝も含まれます。夜の寝つきが悪いときは、昼寝が長すぎたり遅すぎたりしていないかも見直してみてください。
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