「お食い初めって、赤ちゃんに本当に食べさせるの?」——準備を調べはじめて、まずここで止まる方がとても多いです。献立の写真はどれも立派な尾頭付きの鯛。でも、うちの子はまだ首がすわったばかりで、母乳やミルクしか飲んでいない。
結論から書きます。お食い初めで、赤ちゃんに実際に食べさせることはありません。食べるまねをさせる儀式です。生後100日ごろはまだ離乳食が始まる前の時期で、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」でも離乳の開始は生後5〜6か月頃が適当とされています。
この記事では、元看護師で2児の母である私「ちなみ」が、お食い初めはいつ・どんな順番でやるのか、献立は何を用意するのか、お金は誰が出すのかを整理したうえで、安全のためにここだけは守ってほしい2つのことをお伝えします。
お食い初めとは?「一生食べ物に困らないように」と願う儀式
読み方は「おくいぞめ」。百日祝いとも呼ばれます
お食い初めは「おくいぞめ」と読みます。生後100日ごろに行うことから百日祝い(ももかいわい)、地域によっては箸初め・箸揃え・真魚始め(まなはじめ)などとも呼ばれます。
込められているのは、「この子が一生、食べ物に困りませんように」という願いです。乳歯が生えはじめる時期にあたることから、「食べ物を噛める丈夫な歯が生えますように」という意味も重ねられています。
実際に食べさせるのではなく、食べるまねをさせます
ここがいちばん大事なところなので、先に書いておきます。お食い初めは、料理を赤ちゃんの口元へ運ぶまねをするだけの儀式です。口に入れることはしません。
理由はシンプルで、この時期の赤ちゃんはまだ食べ物を飲み込む準備ができていないからです。厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」は、離乳の開始についてこう説明しています。
「離乳の開始とは、なめらかにすりつぶした状態の食物を初めて与えた時をいう。開始時期の子どもの発達状況の目安としては、首のすわりがしっかりして寝返りができ、5秒以上座れる、スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる(哺乳反射の減弱)、食べ物に興味を示すなどがあげられる。その時期は生後5〜6か月頃が適当である」
生後100日はおよそ3か月と1週間。まだ哺乳反射が残っていて、スプーンを入れても舌で押し出してしまう時期です。この段階で固形物を口に入れるのは、誤嚥(ごえん)につながります。
②について補足します。こども家庭庁は、「おもちゃなど小さな物で窒息(0歳から6歳くらい)」として、小さな部品を乳幼児の手の届く所に置かないよう呼びかけています。歯固めの石はまさにその大きさです。石そのものを口に当てる作法もありますが、私は箸を介する方法をおすすめします。
参考 窒息・誤飲事故|こどもの事故防止ハンドブックこども家庭庁
ちなみ(元看護師)
参考 授乳や離乳について(授乳・離乳の支援ガイド)こども家庭庁

お食い初めはいつやる?生後100日の数え方
数えるときは「生まれた日を1日目」
お宮参りと同じで、生まれた日を1日目として数えます。生まれた翌日からではありません。
ですから生後100日目=出産日の99日後です。月数でいうと、おおよそ3か月と1週間ごろにあたります。
| 出産日 | 100日目 | 110日目 | 120日目 |
|---|---|---|---|
| 1月1日 | 4月10日 | 4月20日 | 4月30日 |
| 4月1日 | 7月9日 | 7月19日 | 7月29日 |
| 7月1日 | 10月8日 | 10月18日 | 10月28日 |
| 10月1日 | 翌1月8日 | 翌1月18日 | 翌1月28日 |
この表は平年(うるう年でない年)で計算した例です。うるう年の2月29日をまたぐ場合は1日ずれるので、カレンダーで数えて確認してください。
100日ぴったりでなくてかまいません
110日目、120日目に行う地域もあります。「食い延ばし」といって、あえて日を延ばすことで長寿を願うという考え方もあるくらいです。遅れることが縁起の悪いこととは、もともと考えられていません。
実際のところ、家族が集まれる週末に合わせるのがいちばん現実的です。100日目が平日なら、その前後の土日で問題ありません。
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お宮参りとまとめてもかまいません
お宮参りを生後1か月で済ませていない場合、お宮参りとお食い初めを同じ日にまとめるご家庭も少なくありません。祖父母に二度足を運んでもらわずに済みますし、写真も一度でまとまります。
地域によっては、もともとお宮参りを生後100日ごろに行う習わしのところもあります。2つを分けなければいけない決まりはありません。
ただし当日はかなり長丁場になります。神社でのご祈祷、移動、食事と続くので、赤ちゃんの授乳とお昼寝をどこで入れるかだけは先に決めておいてください。
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献立は何を用意する?一汁三菜と歯固めの石
基本の形は「一汁三菜」
お食い初めの献立は、一汁三菜が基本の形とされています。それぞれに意味があります。
| 品目 | よく使われるもの | 込められた意味 |
|---|---|---|
| ご飯(赤飯) | 赤飯、白飯、栗ご飯など | 赤い色が魔除けになるとされる |
| 汁物 | はまぐりの吸い物 | 「吸う力が強くなるように」。はまぐりは対の貝殻がぴったり合うことから良縁の意味も |
| 焼き物 | 尾頭付きの鯛 | 「めでたい」の語呂。尾頭付きは長寿を願う |
| 煮物 | れんこん、里芋、にんじん、たけのこなど | れんこん=見通しがよい、里芋=子宝、たけのこ=まっすぐな成長 |
| 香の物 | 紅白なます、梅干し、たこなど | 紅白=めでたさ、梅干し=しわができるまで長生き |
| 歯固めの石 | 小石を1〜3個 | 石のように丈夫な歯が生えるように |
品目は地域差がとても大きい部分です。たこを入れる地域(「多幸」の語呂、噛み切れないほど丈夫な歯を願う)、くりを入れる地域など、いろいろあります。
歯固めの石はどこで手に入れる?
いちばん一般的なのはお宮参りをした神社の境内から借りてくる方法です。使い終わったら、感謝を伝えて元の場所に返します。
- 神社から借りる……使用後に返す。お宮参りのときに受け取れる神社もあります
- お食い初めセットに付いている……宅配の膳には同梱されていることが多いです
- 梅干しで代用する……「しわができるまで長生き」の意味で、石の代わりにする地域もあります
- たこで代用する……噛み切れない硬さにあやかる地域も
河原や公園の石を使う方もいますが、その場合は必ずよく洗って熱湯をかけてから使ってください。土や細菌がついたまま赤ちゃんの近くで使うものではありません。
手作り・宅配・お店、どれでもかまいません
ここは中立にお伝えします。どの方法を選んでも、儀式としての意味は変わりません。
| 向いている場合 | 気をつけること | |
|---|---|---|
| 手作り | 費用を抑えたい/家でゆっくりしたい | 鯛を焼けるグリルがあるか。前日に下ごしらえを |
| 宅配セット | 準備の負担を減らしたい/家でやりたい | 届く日と解凍の時間。食器が付くかどうか |
| お店(料亭・ホテル) | 祖父母も招く/片づけをしたくない | 個室と、おむつ替え・授乳ができる場所の有無 |
お店を予約するときは、「赤ちゃん連れでも大丈夫か」ではなく「個室か」「おむつを替えられる場所があるか」まで具体的に聞くのがコツです。生後3か月の赤ちゃんは、泣いたら移動するしかありません。
そして正直なところを書くと、赤飯を炊いて、お吸い物を作って、普段の煮物を少しきれいに盛りつけるだけでも十分に成り立ちます。鯛がどうしても手に入らなければ、切り身でもかまいません。

やり方と順番|当日の進め方
食べさせる役は「養い親」が務めます
料理を口元へ運ぶ役を養い親(やしないおや)といいます。一般には同席している中で、赤ちゃんと同性のいちばん年長の方が務めるとされています。
- 男の子……祖父など、同席している男性の最年長者
- 女の子……祖母など、同席している女性の最年長者
長寿にあやかる、という意味合いです。ただしこれも決まりではありません。夫婦と赤ちゃんだけで行うなら、どちらかが務めればよいですし、交代しても問題ありません。
食べさせる順番は「ご飯→汁物→ご飯→魚→ご飯→汁物」
一般的とされている順番は、次のとおりです。これを3回くり返します。
- ご飯 → 汁物 → ご飯 → 魚 → ご飯 → 汁物
- ご飯 → 汁物 → ご飯 → 煮物 → ご飯 → 汁物
- ご飯 → 汁物 → ご飯 → 香の物 → ご飯 → 汁物
つまりご飯と汁物を軸にして、おかずを1品ずつはさんでいく形です。覚え方としては「ご飯・汁・ご飯・おかず・ご飯・汁」を、おかずを替えて3セット。
最後に歯固めの儀を行います。箸の先を歯固めの石に触れさせ、その箸を赤ちゃんの歯ぐきにそっと当てて、「丈夫な歯が生えますように」と願います。
赤ちゃんが泣いたら、中断してかまいません
生後3か月の赤ちゃんが、儀式の間ずっと機嫌よく座っていてくれる確率は高くありません。泣いたら授乳して、落ち着いてから再開する。それでまったく問題ありません。
私からのおすすめは、先に写真を撮ってしまうことです。膳を並べて、赤ちゃんを膝に抱いた状態で記念撮影。それから儀式を始めると、途中で泣いても「写真はもう撮れたから大丈夫」と思えます。
服装は、普段着でもかまいません
伝統的には色付きの小袖を着せる習わしがあり、これを「お色直し式」と呼ぶ地域もあります。生まれてから白い産着を着ていた赤ちゃんに、初めて色物を着せるという意味です。
とはいえ現在は袴風のロンパース、セレモニードレス、よそ行きのベビー服が主流です。家でやるなら普段着でもまったく失礼にあたりません。
大人の服装も、お店でやるならきれいめ、家でやるなら普段着で十分です。ここもお宮参りと同じで、家族で格をそろえることだけ意識してください。

お金の話|費用は誰が出す?お祝い金の相場は?
誰が出すかに決まりはありません
昔は母方の実家が食器を用意するという習わしのある地域がありました。いまは、両親が出す家庭、祖父母が出す家庭、折半する家庭と、どれもあります。
お宮参りのところでも書きましたが、もめないコツは同じです。「食事」「写真」「食器や衣装」の3つをセットで、先に分担を決めておくこと。「お食事はこちらで出すので、写真はお願いしてもいいですか」という形にしておくと、お互いに気を遣いすぎずに済みます。
祖父母からのお祝い金を受け取ったら
祖父母から「お祝い」としてお金をいただくことがあります。その場で食事をごちそうする形がいちばん自然なお返しです。別途お返しの品を用意する必要は、基本的にはありません。
食事会に来られない方からいただいた場合は、当日の写真を添えてお礼を伝えるのがいちばん喜ばれます。内祝いの品を返すかどうかは、ご家庭の関係性しだいで決めてかまいません。
食器は買わなくても大丈夫です
正式には漆塗りの祝い膳を使い、男の子は内外とも朱塗り、女の子は外側が黒・内側が朱塗り(地域によって逆の場合もあります)とされています。
ただ、この膳はお食い初め以外に出番がほとんどありません。ですから買う以外の選択肢も、ふつうに検討してください。
- 宅配セットに付いてくるものを使う
- レンタルする
- 離乳食用の食器を先に買って、それを使う(そのまま離乳食で使えます)
- 家にある白い器をきれいに並べる
私は3つ目をおすすめしています。どうせ2か月後には離乳食が始まります。そのとき使う食器を少し早めに用意して、お食い初めに使う。無駄がありません。
お祝い金をいただいたときのお返しについては、出産内祝いの考え方が参考になります。相場はいただいた額の3分の1から半分、時期は生後1か月ごろから遅くとも2か月まで。「お返しは要らない」と言われた相手には、言葉どおり受け取って、お礼だけきちんと伝えるという選び方もあります。「出産内祝いの相場とのしの書き方」もあわせてどうぞ。
出産内祝いの相場とのしの書き方|いつまでに贈る・お返しが要らない相手まで元看護師が解説
この時期に、一緒に考えておきたいこと
離乳食の準備は、まだ急がなくて大丈夫
お食い初めをきっかけに「離乳食の準備をしなきゃ」と焦る方がいますが、開始は生後5〜6か月頃です。まだ2か月ほど先があります。
目安になるのは月齢そのものより、首のすわりがしっかりして寝返りができる、5秒以上座れる、スプーンを入れても舌で押し出すことが少なくなる、食べ物に興味を示すといった発達のサインです。厚生労働省のガイドも「月齢はあくまでも目安」としています。
復職が視野に入ってくる時期でもあります
生後3か月というのは、保育園の申し込みや復職の準備が現実味を帯びてくる時期でもあります。4月入園を考えているなら、自治体によっては秋には申し込みが始まります。
行事の準備と並行して、「時短にするかフルタイムに戻るか」をそろそろ数字で見ておくと、あとが楽になります。育休明けに時短勤務を選ぶと、2歳未満のあいだは育児時短就業給付金として賃金の10%が支給されます。
時短勤務の給料はいくらになる?育児時短就業給付金10%の計算と年金を減らさない手続きを元看護師が解説
まとめ|食べるまねだけ。それで十分に意味があります
要点を整理します。
- お食い初め(百日祝い)は「一生食べ物に困らないように」と願う儀式。読み方は「おくいぞめ」
- 赤ちゃんに実際に食べさせることはありません。離乳の開始は生後5〜6か月頃で、100日目はまだ哺乳反射が残る時期
- 歯固めの石も口に入れない。箸の先を石に触れさせ、その箸を歯ぐきに当てるのが安全
- 数え方は生まれた日を1日目。100日目=出産日の99日後
- 100日ぴったりでなくてよい。110日・120日に行う地域もあり、「食い延ばし」という考え方もある
- 献立は一汁三菜+歯固めの石が基本。品目には地域差が大きい
- 手作り・宅配・お店のどれでも、儀式の意味は変わらない
- 順番はご飯→汁物→ご飯→おかず→ご飯→汁物を、おかずを替えて3回。所要時間は5〜10分
- 食器は離乳食用を先に買って使うのが無駄がない
調べはじめると、献立の意味、食器の色、養い親の決まり……と、守るべきことが山のように出てきます。でもお食い初めの中心にあるのは、この子がこれから元気に食べて育っていってほしい、という願いだけです。
今日できるいちばん小さな一歩は、カレンダーで100日目に印をつけて、その前後の週末を2つ3つ候補に出してみることです。日が決まれば、手作りにするか頼むかも自然に決まっていきます。赤ちゃんの機嫌のいい時間に、短くさっと。それでちゃんと、お祝いになります。
Qお食い初めで、赤ちゃんに本当に食べさせるのですか?
A.食べさせません。料理を口元へ運ぶまねをするだけの儀式です。厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では離乳の開始は生後5〜6か月頃が適当とされており、生後100日ごろはまだ哺乳反射が残っていて、スプーンを入れても舌で押し出してしまう時期です。誤嚥や食物アレルギーのリスクがあるため、一口も与えないでください。
Q歯固めの石は、赤ちゃんの口に入れていいですか?
A.入れないでください。箸の先を石に触れさせてから、その箸を赤ちゃんの歯ぐきにそっと当てるのが安全なやり方です。こども家庭庁も、小さな物による0歳からの窒息事故に注意するよう呼びかけています。石を直接口に当てる作法もありますが、箸を介する方法をおすすめします。
Q生後100日は、どう数えますか?
A.生まれた日を「1日目」として数えます。生まれた翌日からではないので、100日目は出産日の99日後にあたります。月数でいうとおおよそ3か月と1週間ごろです。うるう年の2月29日をまたぐ場合は1日ずれるので、カレンダーで確認してください。
Q100日目を過ぎてしまいました。もう遅いですか?
A.遅くありません。110日目や120日目に行う地域もあり、あえて日を延ばして長寿を願う「食い延ばし」という考え方もあります。家族が集まれる週末に合わせるのがいちばん現実的です。
Qお宮参りとお食い初めは、同じ日にまとめてもいいですか?
A.まとめてかまいません。祖父母に二度足を運んでもらわずに済み、写真も一度でまとまります。地域によっては、もともとお宮参りを生後100日ごろに行う習わしのところもあります。ただし長丁場になるので、授乳とお昼寝をどこで入れるかは先に決めておいてください。
Q専用の食器は買わないとだめですか?
A.買わなくても大丈夫です。宅配セットに付いてくるものを使う、レンタルする、家にある白い器を使う、どれでも儀式の意味は変わりません。おすすめは離乳食用の食器を少し早めに買って使う方法です。2か月ほどあとに始まる離乳食でそのまま使えます。
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