夜中の2時。ぐっすり眠っていたはずの赤ちゃんが、急に火がついたように泣き出す。授乳しても、抱っこしても、おむつを替えても泣きやまない。やっと寝たと思ったら、1時間後にまた——。「これはいつまで続くの?」「何が原因なの?」と、暗い部屋でスマホを検索した経験がある方は多いと思います。
最初に、正直なことをお伝えします。夜泣きには、医学的に決まった定義も、はっきりした原因も、これをすれば必ず止まるという方法もありません。だから、ネットで調べるほど答えがばらばらで、余計に混乱してしまうのです。
でも、裏を返せば、夜泣きはあなたの育て方のせいではないということでもあります。こども家庭庁が公開している「赤ちゃんが泣きやまない」の動画の中で、国立成育医療研究センターの医師は「赤ちゃんが何をやっても泣き止まないってことも沢山あります。大事なことはそれでも正常なんだということなんですね。ですから、お母さんが悪いとか、お父さんが悪いとか、あるいは赤ちゃんが悪いとか、そういったことは無いわけです」と話しています。
この記事では、元看護師で2児の母である私「ちなみ」が、夜泣きはいつからいつまで続くのか、考えられる原因、夜にできる対処、「放置」してもいいのか、2〜3歳の夜泣きと夜驚症の違い、受診の目安を順番に整理します。
夜泣きとは?決まった定義がない「理由のわからない夜の泣き」
夜泣きは医学用語ではなく、一般に「夜中に目を覚まして、はっきりした理由がわからないまま泣き続ける状態」を指して使われている言葉です。おなかがすいた、おむつがぬれた、といった理由がはっきりしている泣きとは区別して呼ばれることが多いです。
そのため、「夜泣きの原因は〇〇です」と言い切れるものはありません。いくつかの要因が重なっていると考えられていて、子どもによって、時期によって、効く対処も変わります。
ちなみ(元看護師)
夜泣きはいつから・いつまで?時期の目安
「夜泣き いつから」「いつまで」は、夜泣きの検索の中でもとくに多い言葉です。決まった定義がないので時期にも個人差がありますが、一般的に言われている目安を月齢ごとに整理すると、次のようになります。
| 時期の目安 | よく見られる泣き | ポイント |
|---|---|---|
| 生後1〜2か月ごろ | 泣きのピーク。何をしても泣きやまない激しい泣き(昼夜を問わない) | こども家庭庁:生後5か月ぐらいにはだんだん収まる |
| 生後3〜5か月ごろ | 泣きが落ち着き、夜にまとめて眠る時間が延びてくる | 朝の起床時間をそろえ始める時期 |
| 生後6か月〜1歳半ごろ | 一般に「夜泣き」と呼ばれることが多い時期。眠っていたのに急に泣き出す | 多くは1歳〜1歳半ごろにかけて落ち着いていくとされる |
| 2〜3歳ごろ | 怖い夢で泣く、寝ぼけて叫ぶ(夜驚症のことも) | 赤ちゃんの夜泣きとは別のものが混ざる |
新生児〜生後2か月ごろ:泣きのピークは「必ず終わる」
「新生児 夜泣き」と検索される方も多いのですが、生後1〜2か月ごろの激しい泣きは、夜に限らず昼にも起こります。こども家庭庁の動画は、「これまでの研究で、赤ちゃんにどのような関わり方をしても、生後1~2か月頃に泣きのピークを迎えることがわかりました」と説明しています。
そして、「1日に合計5時間以上泣くこともあります。しかし、それには終わりがあって、生後5か月ぐらいにはだんだん収まってきます。このことを知っておくだけでも、泣かれたときに大分気持ちが楽になると思います」と続けています。
ポイントは「どのような関わり方をしても」というところです。この時期の泣きは、あやし方が下手だから起きるものではありません。新生児期の眠りについては、こちらでくわしく整理しています。
新生児が寝ないのはなぜ?夜寝ない理由と寝かしつけのコツ、ほっとくときの安全ルールを元看護師が解説
生後6か月〜1歳半ごろ:いわゆる「夜泣き」の時期
一度は夜にまとまって眠れるようになっていたのに、生後半年を過ぎたころから、また夜中に泣いて起きるようになった——多くの方が「夜泣き」と呼んでいるのは、この時期の泣きです。始まる時期も終わる時期も子どもによって大きく違い、まったく夜泣きをしない子もいれば、長く続く子もいます。多くは、1歳〜1歳半ごろにかけて少しずつ落ち着いていくとされています。

夜泣きの原因として考えられること
はっきりした原因はわかっていませんが、次のようなことが重なっていると考えられています。「これといった理由が見つからない夜」も多いことを前提に読んでください。
眠りのリズムがまだ育っている途中
人は眠っているあいだ、深い眠りと浅い眠りを何度もくり返しています。大人は浅い眠りで目が覚めかけても、そのまま気づかずに眠り直せますが、赤ちゃんはまだその「眠り直す」力が育っている途中です。浅い眠りで目が覚めたときに、そのまま泣いてしまうことがあると考えられています。
生活リズム・日中の刺激
朝起きる時間がばらばら、昼寝が夕方遅くまで長引く、寝る直前まで明るい部屋でにぎやかに過ごしている——こうした生活リズムの乱れは、夜の眠りの浅さにつながりやすいと言われます。初めての場所に出かけた日、たくさんの人に会った日の夜に泣きやすい、という子もいます。
体の不快や体調の変化
- 暑すぎる・寒すぎる(とくに着せすぎ・暖房のききすぎ)
- おなかがすいている、のどが渇いている
- 歯が生えはじめで歯ぐきがむずむずする
- 鼻づまりで息がしづらい
- おむつかぶれ、湿疹のかゆみ
- 熱、中耳炎など、病気のはじまり
このうち病気のサインについては、あとの「受診を考えたいサイン」で整理します。
夜泣きしたときにできること
まずは「思いつくもの」を確かめる
こども家庭庁の動画では、まず「ミルクをあげたり、おむつを替えたり、抱っこをしたり、赤ちゃんが暑がっていないかなど、思いつくものを確かめてみましょう」としています。そのうえで、「それでも泣き続けていても問題はありません」と続けています。
すぐに抱き上げず、少しだけ様子を見る
赤ちゃんは、浅い眠りのときに泣き声を出しても、実はまだ眠っていることがあります。泣き声が聞こえた瞬間に電気をつけて抱き上げると、かえってしっかり目が覚めてしまうことも。危ない様子がなければ、少しだけ様子を見て、そのまま眠りに戻るかを確かめてみてください。
部屋は暗いまま、声かけは静かに
抱っこや授乳をするときも、部屋の電気はつけず、手元だけの小さな明かりで。話しかけるなら、ささやくくらいの小さな声で。「夜は眠る時間」という合図を、できるだけ崩さないようにします。
おなかの中にいたときを思い出させる
こども家庭庁の動画では、「赤ちゃんがお腹にいたときの状態を思い出させてあげましょう」として、次のような方法が紹介されています。
- おくるみでくるむ(脚は巻かずに、M字に開いたままにするのが股関節のために大切です)
- 胎内の血管の音に近い「シー」という音を聞かせる
- ビニールをくしゃくしゃさせる音、掃除機の音を聞かせる
- ドライブなど、心地よい振動
ただし、夜中のドライブは、寝不足の大人が運転すること自体が危険です。眠気があるときは無理をしないでください。
夜泣き対策は「朝」から
夜の対処と同じくらい大切なのが、朝の過ごし方です。厚生労働省のe-ヘルスネットは、人は朝に目覚めて明るい光を浴びてから約14時間後より徐々に眠気を感じると説明し、「早寝・早起き」ではなく「早起き・早寝」から始めることをすすめています。毎朝だいたい同じ時間に起こしてカーテンを開ける、夕方遅くまで昼寝をさせない。夜泣きをすぐに止めるものではありませんが、夜の眠りの土台を整えることにつながります。寝かしつけの考え方は、こちらにまとめています。
赤ちゃんの寝かしつけのコツ|月齢別の方法とネントレ、何歳まで続くかを元看護師が解説

夜泣きを「放置」しても大丈夫?
「夜泣き 放置」も多く検索されています。何をしても泣きやまず、こちらの気持ちが限界に近づいてきたとき——こども家庭庁の答えははっきりしています。
イライラする前に、安全な場所に寝かせて離れていい
こども家庭庁の動画では、「その時は、自分がイライラする前に、赤ちゃんをベビーベッドなど、安全な所に寝かせて、その場を離れても構いません。まず、自分がリラックスしましょう」としています。さらに、「その場を離れる場所がない、という場合は、廊下でも、トイレでも構いません」とまで書かれています。
そのあいだは、メールをしたり、雑誌を読んだり、音楽を聴いたり、電話で相談したりするのもいいとされ、「少ししたら、戻って様子を確認してください」と続いています。同庁のQ&Aでも、長時間の放置はいけませんと明記されています。
- あおむけで、ベビーベッドなど安全な寝床に寝かせる(ソファや大人のベッドの上に置いていかない)
- 顔のまわりにタオルやぬいぐるみを置かない
- 少ししたら戻って様子を確認する。長時間ひとりにしない
- 高熱がある、いつもと様子が違うときは、離れるのではなく受診を考える
絶対にしてはいけない2つのこと
ひとつは、激しく揺さぶることです。こども家庭庁の動画は、泣きやまない赤ちゃんを激しく前後に揺さぶると一時的に泣きやむことがあっても、「それは脳震盪などの脳に障害を起こして泣き止んでいるだけ」だと説明しています。これが乳幼児揺さぶられ症候群です。
もうひとつは、口をふさぐことです。動画では「泣き声が家族やご近所に響いて迷惑と考え、赤ちゃんの口を思わず塞いでしまうような行為は絶対に行ってはいけません」とし、「ご近所に迷惑がかかると思っている方は、あらかじめご挨拶しておくのもよい方法ですね」とすすめています。
一方で、動画は「揺らしてはいけないからといって必要以上に過敏にならないでください。高い高いや、車のチャイルドシート、横向きの抱っこであやす程度のゆさぶりでは揺さぶられ症候群にはなりません」とも説明しています。ふだんのあやし方を怖がる必要はありません。
ちなみ(元看護師)
参考 【動画】赤ちゃんが泣きやまない~泣きへの理解と対処のために~こども家庭庁
2歳・3歳の夜泣きと「夜驚症」の違い
「2歳 夜泣き」「3歳 夜泣き」もよく検索されています。この年齢になると、赤ちゃんの夜泣きとは別のものが混ざってきます。
怖い夢で泣く
言葉や想像力が育ってくると、怖い夢を見て泣いて起きることが増えます。この場合は目が覚めているので、抱きしめて「大丈夫だよ」と声をかけると落ち着き、何が怖かったかを話せることもあります。
夜驚症:叫んでいるのに、眠っている
一方、寝入ってしばらくしてから、突然叫んだり泣きわめいたりして、目は開いているのに呼びかけに反応しない——これは夜驚症(やきょうしょう)かもしれません。厚生労働省のe-ヘルスネットは、深い眠り(ノンレム睡眠)に関係する睡眠障害として、「小児によくみられる睡眠時遊行症、夜驚などが知られています」と説明しています。
| 見るところ | 怖い夢で泣く | 夜驚症のことが多い |
|---|---|---|
| 起きる時間帯 | 明け方に近い時間が多い | 寝入ってから比較的早い時間 |
| 声をかけると | 反応し、抱っこで落ち着く | 反応しない、なだめても落ち着かない |
| 翌朝 | 夢の内容を覚えていることがある | 覚えていないことが多い |
夜驚症のときは、無理に起こしたり、押さえつけたりせず、ベッドから落ちたり家具にぶつかったりしないよう、けがを防ぎながらそばで見守るのが基本です。多くは成長とともにおさまっていきます。
e-ヘルスネットは、寝ている途中に呼吸が止まる、眠りの質が悪い、寝入りばなや夜間に体の異常な動きがある、日中の眠気が強すぎるといった症状について、「1カ月以上にわたって続くときにはかかりつけの小児科医に相談しましょう」としています。いびきがひどく、寝ているときに息が止まっているように見えるときも、相談してください。
夜泣きではなく、受診を考えたいサイン
「いつもの夜泣き」だと思っていたら、実は体調の変化だった、ということもあります。次のような様子があるときは、小児科に相談してください。
- 熱がある(生後3か月未満で38℃以上なら、元気そうでも夜間でも受診を)
- いつもと違う泣き方(甲高い、弱々しい、痛がるような泣き方)が続く
- 耳をさわる・引っぱる、横になると激しく泣く(中耳炎のことがあります)
- 何度も吐く、母乳やミルクを飲まない、おしっこが少ない
- ぐったりしている、顔色が悪い、呼吸が苦しそう
- 寝ているときに大きないびきや、呼吸が止まっているように見えることがある
赤ちゃんの熱の見方と、救急車・夜間受診の分かれ目は、こちらにまとめています。
赤ちゃんの熱は何度から?38度の対処法と受診の目安、救急車を呼ぶサインを元看護師が解説
夜泣きが続いて、親が限界のとき
夜泣きのつらさは、泣き声そのものより、それが何週間、何か月も続くことにあります。毎晩起こされ続ければ、誰でも心と体がすり減っていきます。
- 夜の担当を日替わりや曜日で分ける……どちらか一方だけでも、まとめて眠れる夜をつくる
- 耳栓をして、もう一人が対応する……同じ部屋で全員が起きている必要はありません
- 昼間に少しでも横になる……家事はあとまわしでかまいません
- 自治体の窓口や一時預かり、産後ケア事業を調べておく
こども家庭庁は「赤ちゃんが泣きやまなくてイライラすることは誰でもあり得ることです」としたうえで、「育児で不安なことや気になることがあったら、1人で悩まず、お住まいの市町村窓口やお近くの児童相談所にご相談ください」と呼びかけています。ひとりで夜を抱えているときは、こちらの記事も読んでみてください。
ワンオペ育児とは?しんどい理由と場面別の乗り切り方・使える支援を元看護師が解説

まとめ|夜泣きは、あなたのせいではない
要点を整理します。
- 夜泣きには医学的な定義も、はっきりした原因も、必ず止まる方法もない
- 「お母さんが悪いとか、お父さんが悪いとか、あるいは赤ちゃんが悪いとか、そういったことは無い」(こども家庭庁の動画より)
- 生後1〜2か月の泣きのピークはどんな関わり方をしても起こり、生後5か月ぐらいにはだんだん収まる
- いわゆる夜泣きは生後6か月〜1歳半ごろに多いとされ、個人差が大きい
- 夜はすぐ抱き上げず少し様子を見る・暗いまま・静かに。おくるみ、「シー」の音なども
- 夜泣き対策は朝の起床をそろえるところから
- 限界なら安全な場所に寝かせて離れていい(廊下でもトイレでも)。長時間の放置はしない
- 激しく揺さぶらない・口をふさがない
- 2〜3歳で、叫ぶのに反応しない・翌朝覚えていないなら夜驚症のことも。けがを防いで見守る
- 熱・いつもと違う泣き方・耳を気にする・呼吸が止まるように見えるときは受診を
夜泣きの夜は長く、いつ終わるのか見えないまま朝を迎えることもあります。でも、こども家庭庁の動画は最後にこう結んでいます。「赤ちゃんが泣きやまない 時としてイライラすることもあるでしょう、しかしそれには終わりが必ずあります」。
今夜できるいちばん小さな一歩は、「泣きやませなきゃ」を、いったん手放してみることです。思いつくことを確かめたら、あとは泣いていてもいい。限界が来たら、ベビーベッドに寝かせてトイレで深呼吸。それで、あなたも赤ちゃんも守れています。
Q夜泣きはいつからいつまで続きますか?
A.夜泣きには医学的な定義がなく、時期にも大きな個人差があります。一般には、生後6か月ごろから1歳半ごろにかけて多いとされています。なお、生後1〜2か月ごろには昼夜を問わない泣きのピークがあり、こども家庭庁の動画では「生後5か月ぐらいにはだんだん収まってきます」と説明されています。
Q夜泣きの原因は何ですか?
A.はっきりした原因はわかっていません。眠りのリズムがまだ育っている途中で、浅い眠りで目が覚めたときに眠り直せずに泣いてしまうこと、生活リズムや日中の刺激、暑さや寒さ、歯の生えはじめなどが重なっていると考えられています。これといった理由が見つからない夜も多く、育て方のせいではありません。
Q夜泣きを放置しても大丈夫ですか?
A.思いつくことを確かめても泣きやまず、イライラしそうなときは、赤ちゃんをあおむけでベビーベッドなど安全な場所に寝かせて、その場を離れてかまいません。こども家庭庁の動画では「廊下でも、トイレでも構いません」とされています。ただし長時間の放置はいけません。少ししたら戻って様子を確認してください。
Q2歳の子が夜中に叫ぶのに、声をかけても反応しません。
A.夜驚症かもしれません。厚生労働省のe-ヘルスネットは、深い眠りに関係する睡眠障害として「小児によくみられる睡眠時遊行症、夜驚など」を挙げています。無理に起こしたり押さえつけたりせず、けがをしないように見守るのが基本で、多くは成長とともにおさまります。こうした症状が1か月以上続くときは、かかりつけの小児科に相談してください。
Q夜泣きで病院に行ったほうがいいのはどんなときですか?
A.熱がある、いつもと違う甲高い泣き方や弱々しい泣き方が続く、耳をさわる、何度も吐く、母乳やミルクを飲まない、ぐったりしている、寝ているときに呼吸が止まっているように見える、といった様子があるときは小児科に相談してください。生後3か月未満で38℃以上の熱があるときは、元気そうでも受診してください。
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