赤ちゃんの便秘は何日から?綿棒浣腸のやり方とクセになるか、受診の目安を元看護師が解説

窓辺で穏やかな表情をした女性のイメージ|赤ちゃんのうんちの悩みに向き合うシーン

今日で3日、うんちが出ていない。顔を真っ赤にしていきんでいるのに、出てくるのはおならばかり。「便秘なのかな」「綿棒浣腸ってやっていいの?」「クセになったりしない?」——赤ちゃんのうんちの悩みは、毎日おむつを替えているからこそ、気になり始めると止まらなくなります。

最初に知っておいてほしいことがあります。小児の消化器の専門学会(日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児消化管機能研究会)がまとめた保護者向けのパンフレットには、こう書かれています。「赤ちゃんの場合に、何日便が出なければ治療が必要な『便秘症』とするかは、専門家にもはっきりといえません。週に1回の便でも元気で問題なさそうなお子さんもいるからです」。

つまり、「何日出なかったら便秘」という一律の線はありません。大切なのは日数より、うんちの硬さ、出すときのつらさ、おなかの張り、そして飲めているかです。そしてもうひとつ、いきんでいるのに出ないけれど、出たうんちはやわらかい——これは便秘ではないことが多い、ということも、このパンフレットははっきり書いています。

この記事では、元看護師で2児の母である私「ちなみ」が、赤ちゃんの便秘の目安、便秘と間違えやすい「ディスケジア」、見落としやすい原因、綿棒浣腸のやり方とクセになるのかという疑問、受診の目安を順番に整理します。

この記事を読む前に
この記事は、日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児消化管機能研究会が公開している保護者向けパンフレット「こどもの便秘―正しい知識で正しい治療を―」などにもとづいて一般的な情報を整理したものです。吐く・おなかがパンパンに張っている・血が混じる・ぐったりしている・白っぽいうんちが出るときは、便秘のケアより先に受診してください。

赤ちゃんの便秘とは?何日出なかったら便秘なの?

「何日」の線は、専門家にもはっきり言えない

「赤ちゃん 便秘 何日」と検索される方は多いのですが、前述のとおり、学会のパンフレットは「専門家にもはっきりといえません」としています。そのうえで、目安として次のように説明しています。

「ほとんどの赤ちゃんは3日に1回以上の便が出ますし、4日以上出ないとおなかがはったり、ぐずったりする子が多いと思われるため、1歳以上の子と同じように、便の回数が1週間に3回より少ない時に便秘症と考えるのがよいという意見が多いようです」。

回数より「硬さ」と「つらさ」

パンフレットは、便秘を「便が長い時間出ないか、出にくいことをいいます」と定義し、「毎日出ていても、出す時に痛がってないたり、肛門がきれて血が出るような場合も便秘です」としています。赤ちゃんについては、「便が1週間に3回未満しか出ない、硬くて出にくい、おなかがはるなどの症状が続けば、便秘症と考えることになります」とまとめています。

また、意外なところでは、「小さいコロコロの便や、軟らかい便が少しづつ、1日に何回も出ている場合も便秘の疑いがあります」とも書かれています。腸にたまりすぎた便が、少しずつ漏れ出ていることがあるからです。

様子考え方
数日に1回でも、やわらかいうんちがすっと出て、機嫌よく飲めているその子のペースのことが多い
いきんでなかなか出ないが、出たうんちはやわらかい。ほぼ毎日出ているディスケジア(便秘症とは別のもの・次の章で説明)
1週間に3回未満、硬いうんち、出すときに泣く、おなかが張る便秘症を考える。小児科に相談
コロコロの便や、やわらかい便が少しずつ何度も出る腸にたまっている便秘の疑いも

いきむのに出ない・おならばかり…それは「ディスケジア」かも

「赤ちゃん 便秘 おならばかり」は、便秘の検索の中でもとくに多い言葉です。顔を真っ赤にして、うなって、いきんで、出てくるのはおならだけ。見ているほうがつらくなりますよね。

学会のパンフレットは、この状態についてこう書いています。「赤ちゃんの場合には、まだ排便が上手ではないために、便がやわらかく、ちゃんと息んでいるのになかなか便が出せないことがあります。それでも毎日のように便は出て、出る便はかたくありません。このような状態は『ディスケジア』とよばれ、治療が必要な便秘症とは別のものと考えます」。

赤ちゃんは、おなかに力を入れることと、おしりの筋肉をゆるめることを、同時にうまくできない時期があります。だから、いきんでもいきんでも出にくい。でも、うんちそのものが硬いわけではありません。

パンフレットは、ディスケジアについて「治療は必要ありませんが、綿棒などで肛門を刺激すると助けになる場合があるようです」としています。排便の練習中だと思って、見守ってあげてください。

ちなみ(元看護師)

上の子が生後1か月のころ、毎回顔を真っ赤にしてうなるので心配で、健診で相談しました。返ってきた答えは「出たうんちがやわらかいなら、うんちの出し方を練習中なんですよ」。見るべきは、いきみ方ではなく、出てきたうんちの硬さなんだと知って、ずいぶん気が楽になりました。
たたんだガーゼとタオルのイメージ|赤ちゃんのうんちの様子を見守るシーン

赤ちゃんの便秘の原因

まず大切なのは「病気が隠れていないか」

学会のパンフレットは、赤ちゃんの便秘症について「まず大切なことは、生まれつき腸や肛門、あるいは全身の病気で便秘の原因になるものがないかどうかです」としています。次のような様子がひとつでもあるときは、医師に伝えてください(パンフレットの「なにか特別な原因がある場合にみられる徴候」より)。

  • 胎便(生まれて初めての便)が生後24時間以内に出なかった
  • 体重が増えない、体重が減っている
  • くり返し吐く
  • 血便
  • おなかがはっている(腹部膨満)

見落としやすいのが「飲む量が足りていない」

パンフレットは、次に大切な原因として「哺乳不足」を挙げています。「特に母乳や混合栄養の場合には飲んでいる量がわかりにくいので、足りているか否かに注意が必要です」。そもそも入ってくる量が少なければ、出てくるうんちも少なくなります。

母乳不足を疑うサインとして、パンフレットは「おっぱいの張りが乏しい、赤ちゃんがなかなか乳首を離さない、授乳後わずかな時間でおっぱいを欲しがって泣く」を挙げ、「1~2週間ごとに体重の増加をみることによっても母乳不足の有無を知ることができます」としています。

つまり、「うんちが出ない」ときに、おしりより先に見てほしいのは体重です。母子手帳の成長曲線に体重を書き込んでみて、カーブに沿って増えているかを確かめてください。ミルクや授乳の量の目安は、こちらにまとめています。

窓辺で穏やかな表情をした女性のイメージ|赤ちゃんのミルクの量を考えるシーン ミルクの量の目安は?新生児からの月齢別・体重別一覧と「足りているか」の見分け方を元看護師が解説

離乳食が始まったころ

パンフレットは、「離乳の開始や終了のころ、トイレットトレーニングのころ、学校へ通いだしたころに慢性便秘症がはじまりやすい」としています。離乳食が始まると、うんちの性質が変わり、水分の量も変わります。離乳食を始めてから硬くなった、という子は少なくありません。

おうちでできる対処法

学会のパンフレットは、正直に「赤ちゃんの便秘症の治療方法は、あまり確立されていません。これからお話しする方法のいくつかを試してみることになります」と書いています。家庭で始めやすいものから紹介します。

まずは飲む量の確認

前の章のとおり、哺乳不足がないかをまず確かめます。体重の増えが気になるときは、ケアを工夫するより先に、小児科や助産師さんに相談するほうが近道です。

おなかのマッサージ・足の曲げ伸ばし

機嫌のよいときに、おへそのまわりを「の」の字を書くように、手のひらでやさしくなでる。あおむけで両ひざを曲げておなかのほうへ軽く押し、ゆっくり伸ばすのをくり返す。赤ちゃんとのスキンシップとしても気持ちのよい時間になります。授乳直後は吐きやすいので、少し時間をあけてから行ってください。

綿棒で肛門を刺激する(綿棒浣腸)

いわゆる「綿棒浣腸」です。学会のパンフレットには、赤ちゃんの便秘症の治療の1つめとして「肛門刺激」が挙げられ、やり方は次のように書かれています。

肛門刺激(学会パンフレットより)
綿棒にワセリンなど滑りをよくするものをぬって、肛門から1~2cm挿入することで刺激します。肛門を痛めないようにやさしくやれば毎日やることも可能です。
  • 大人用ではなく、ベビー用の細い綿棒を使う。綿の部分にたっぷりワセリンやベビーオイルをつける
  • あおむけで両足を持ち上げ、綿の部分が隠れるくらい(1〜2cm)まで、そっと入れる
  • 入れたまま、ゆっくりと円を描くように肛門の内側を刺激する。奥まで入れない、力を入れない
  • すぐに出なくても大丈夫。出るまで少し時間がかかることもあるので、新しいおむつを敷いた上で行うと安心
  • 赤ちゃんが嫌がって激しく動くときは無理をしない

綿棒浣腸はクセになる?

「毎日やっていたら、自分で出せなくなるのでは」という心配はとても多いのですが、学会のパンフレットは、前述のとおり肛門刺激について「肛門を痛めないようにやさしくやれば毎日やることも可能です」としています。

同じパンフレットは、こどもの便秘に使われる薬についても「こどもの便秘に普通に使われる薬はいずれも安全性が高く、『クセ』になることは全くない、もしくは、ほとんど問題になりません。便秘の状態が続いているより、はるかに安全で、長い目でみても良いことです」と書いています。うんちをがまんさせて硬くしてしまうほうが、ずっと悪循環になりやすいのです。

ただし、綿棒で毎日刺激しないと出ない状態が続くなら、それ自体が「便秘症として相談したほうがいいサイン」です。家庭のケアで引っぱらず、小児科で相談してください。

市販の浣腸・下剤は、医師と相談してから
学会のパンフレットには、赤ちゃんの便秘症の対処として、糖類の下剤、その他の下剤、浣腸も挙げられています。ただし、その他の下剤は「これは医師の指示にしたがってください」、浣腸は「ただし、必ず医師と相談しながらにしてください」とされています。市販の浣腸や下剤を自己判断で使う前に、小児科で相談しましょう。果汁を薄めて飲ませる方法も紹介されていますが、離乳食を始める前の赤ちゃんに与えるかどうかも含めて、医師に確認してからにしてください。

離乳食が始まっていたら

パンフレットは「離乳開始後の赤ちゃんでは、毎日少しずつヨーグルトを食べさせることで便通がよくなる場合があります」としています。月齢に合った形で、さつまいもやかぼちゃ、バナナ、野菜など、食物繊維をふくむ食材や水分を意識してみてください。ただし、パンフレットは食事療法の効果について「お子さんによって異なるようで、はっきりわかっていません」とも書いています。食事だけで解決しようとがんばりすぎなくて大丈夫です。

白い容器とガーゼのイメージ|おうちでできる便秘のケアを考えるシーン

便秘を「ほっておいてよい」わけではない理由

ディスケジアのように心配いらないものがある一方で、本当の便秘症は放っておくと悪くなりやすいことも知っておいてください。学会のパンフレットは、便秘症について「便をするときにとても痛い思いをしたり、苦しんだりしていることが多く、決してほっておいてよい病気ではありません」と書いています。

硬いうんちで肛門が切れて痛い思いをすると、次のうんちをがまんするようになる。がまんしたうんちは腸の中で水分を吸われてさらに硬くなり、また痛い——これが便秘の悪循環です。パンフレットは「治療は、早く始めたほうが、後の経過がよくなります」としています。

硬いうんちで肛門が切れたり、おしりが赤くなったりしているときのケアは、こちらにまとめています。

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受診を考えたいサイン

次のようなときは、家庭のケアで様子を見ずに小児科に相談してください。

早めに受診したいサイン
  • くり返し吐く、とくに緑色のものを吐く
  • おなかがパンパンに張っている、触ると痛がる
  • うんちに血が混じる
  • ぐったりしている、母乳やミルクを飲まない、熱がある
  • 体重が増えていない
  • 生まれてすぐのころから、ずっと便秘が続いている(胎便が生後24時間以内に出なかった)
  • 白っぽい・クリーム色・薄い黄色のうんちが出る
  • 家庭のケアをしても1週間に3回未満の状態や、硬いうんちが続く

うんちの色は、母子手帳の「便色カード」で確かめる

便秘と一緒に、ぜひ見ておいてほしいのがうんちの色です。母子健康手帳には、赤ちゃんのうんちの色を見比べる「便色カード」がついています。白っぽい・クリーム色・薄い黄色のうんちは、生後まもない赤ちゃんの肝臓や胆道の病気のサインのことがあり、早く見つけることがとても大切です。カードの色に近いうんちが出たら、次の健診を待たずに、すぐ医療機関に相談してください。

受診のときに持っていくとよいもの

学会は「排便日誌」をすすめていて、「どのように便が出ているかを正確に知ることは、治療方針を決める上でとても大切です」としています。いつ出たか、量、硬さ、出すときに泣いたか、血がついたか、綿棒刺激をしたかをメモしておき、気になるうんちはスマホで写真を撮っておくと、診察がスムーズです。

参考 こどもの便秘日本小児栄養消化器肝臓学会

閉じたノートと布のイメージ|受診に備えてうんちの記録をつけるシーン

まとめ|日数より、硬さと飲めているか

要点を整理します。

この記事のポイント
  • 赤ちゃんの便秘は「何日出なかったら」と専門家にもはっきり言えない。目安は1週間に3回未満
  • 回数より硬さ・出すときのつらさ・おなかの張りを見る
  • いきむのに出ないが、出るうんちはやわらかく、ほぼ毎日出ている=ディスケジア。治療が必要な便秘症とは別のもの
  • 原因でまず大切なのは病気が隠れていないか、次に哺乳不足。おしりより先に体重を見る
  • 綿棒刺激はワセリンをつけて1〜2cm、やさしく。やさしくやれば毎日やることも可能(学会パンフレット)
  • 市販の浣腸・下剤は医師と相談してから
  • 本当の便秘症は悪循環で悪くなりやすい。早めの相談を
  • 吐く・おなかがパンパン・血便・体重が増えない・白っぽいうんちは受診を

うんちが出ない日が続くと、おむつを開けるたびにため息が出てしまいます。でも、赤ちゃんの腸は、毎日少しずつ「うんちの出し方」を練習しています。顔を真っ赤にしていきむ姿も、その練習のひとつかもしれません。

今日できるいちばん小さな一歩は、次のうんちが出たら、回数ではなく「硬さ」を見ること。そして母子手帳を開いて、体重の点を成長曲線に書き込んでみることです。やわらかくて、体重が増えているなら、まずは安心していい材料です。

Q赤ちゃんのうんちが何日出なかったら便秘ですか?

A.日本小児栄養消化器肝臓学会などのパンフレットは、赤ちゃんの場合に何日便が出なければ便秘症とするかは「専門家にもはっきりといえません」としています。そのうえで、便の回数が1週間に3回より少ないときに便秘症と考えるのがよいという意見が多いと説明しています。日数だけでなく、硬さ、出すときのつらさ、おなかの張りもあわせて見てください。

Qいきんでいるのに出ず、おならばかりです。便秘ですか?

A.出たうんちがやわらかく、ほぼ毎日出ているなら、便秘ではなく「ディスケジア」かもしれません。学会のパンフレットは、赤ちゃんはまだ排便が上手ではないために、便がやわらかいのになかなか出せないことがあり、これは治療が必要な便秘症とは別のものと説明しています。治療は必要ありませんが、綿棒で肛門を刺激すると助けになる場合があるとされています。

Q綿棒浣腸を毎日するとクセになりますか?

A.学会のパンフレットは、綿棒にワセリンなどを塗って肛門から1〜2cm入れて刺激する方法について「肛門を痛めないようにやさしくやれば毎日やることも可能です」としています。ただし、毎日刺激しないと出ない状態が続くなら、便秘症として小児科に相談したほうがよいサインです。

Q赤ちゃんの便秘の原因は何ですか?

A.学会のパンフレットは、まず生まれつきの腸や肛門、全身の病気がないかを確かめることが大切だとし、次に大切な原因として哺乳不足を挙げています。とくに母乳や混合栄養では飲んでいる量がわかりにくいため、1〜2週間ごとに体重の増えを見ることがすすめられています。離乳食の開始のころにも便秘が始まりやすいとされています。

Qどんなときに病院へ行けばいいですか?

A.くり返し吐く、おなかがパンパンに張っている、うんちに血が混じる、ぐったりしている、母乳やミルクを飲まない、体重が増えていない、生まれてすぐから便秘が続いている、白っぽいうんちが出る、といったときは早めに受診してください。家庭のケアをしても硬いうんちや1週間に3回未満の状態が続くときも、小児科に相談しましょう。

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