「妊娠したら幸せなはずなのに、なぜか涙が出てくる」「赤ちゃんは無事に生まれたのに、気持ちがついていかない」——そんな自分に戸惑って、この記事にたどり着いた方が多いのではないでしょうか。まずお伝えしたいのは、その気持ちの揺れは、あなたが弱いから起きているのではないということです。
はじめまして、ちなみです。元看護師として病院勤務を経験し、現在は妊活・妊娠・子育てを中心に情報発信している男女2児のママです。この記事では、マタニティブルーとは何か、妊娠中と産後で何が違うのか、いつからいつまで続くのか、産後うつとの見分け方、そして今日からできることまで、公的な機関の情報をもとに順を追って整理します。
ちなみ(元看護師)
マタニティブルーとは
医学の場では「産後の一過性の情緒不安定」を指す言葉
医療の現場で「マタニティブルーズ」というとき、それは出産のあとに一時的に起こる気分の変化を指しています。日本産婦人科医会は、産後数日から2週間程度のうちに、ふいに涙が止まらなくなったり、いらいらしたり、おちこんだりする症状が現れることがあると説明しています。
大切なのは、これが病気の始まりというより、産後の体に起きる自然な反応に近いものとして位置づけられている点です。同会は、大抵は症状も一過性であり、産後10日程度で軽快するので、あまり心配することはないとしています。
参考 マタニティブルーズについて教えてください日本産婦人科医会
日常では、妊娠中の気分の落ち込みも「マタニティブルー」と呼ばれている
いっぽうで、日常の会話やインターネット上では、「妊娠中に急に不安になる」「臨月が近づいて落ち込む」といった妊娠期の気持ちの揺れも、まとめて「マタニティブルー」と呼ばれています。実際、この言葉で検索する方の多くは妊娠中の自分のことを調べています。
つまり同じ言葉が、産後を指す医学用語としても、妊娠中も含めた日常語としても使われている状態です。調べていて「産後の話ばかり出てくる」「自分は妊娠中なのに当てはまらない」と混乱するのは、そのためです。この記事では、両方を分けて説明していきます。
「ブルー」と「ブルーズ」の呼び方の違い
- マタニティブルーズ(maternity blues)…医学用語。産後数日〜2週間ごろの一過性の情緒不安定を指す。「マタニティ・ブルース」と表記されることもある
- マタニティブルー…日常語。上記に加えて、妊娠中の気分の落ち込みや不安を指して使われることが多い
- 産後うつ(産後うつ病)…気分の落ち込みなどが2週間以上続き、生活や育児に支障が出る状態。マタニティブルーズとは区別される
言い方の違いに深い意味はありません。ご自身の状態を人に伝えるときは、「産後◯日で涙が止まらない」「妊娠◯週で気分が落ち込む」というように、時期と症状をそのまま言葉にするほうが確実に伝わります。

産後のマタニティブルーズ|いつから・いつまで・どんな症状?
産後の女性の30〜50%が経験する
日本産婦人科医会は、マタニティブルーズを出産後の女性の30〜50%が経験するとしています。3人に1人から2人に1人という割合ですから、産後の病室で涙ぐんでいる方がいても、それは特別なことではありません。
私が看護師として働いていたころも、産後3日目あたりに「自分でもなぜ泣いているのかわからない」とおっしゃる方は本当によくいらっしゃいました。ご本人はたいてい、泣いていること自体に驚いて、そして自分を責めてしまいます。
産後数日から2週間のうちに現れ、10日程度で軽くなることが多い
時期については、日本産婦人科医会が産後数日から2週間程度のうちに症状が現れ、大抵は一過性で産後10日程度で軽快すると説明しています。入院中に始まって、退院して家に落ち着くころには少しずつ和らいでいく、というイメージです。
ただし、これはあくまで多くの方に当てはまる目安です。「10日で終わらなかったから異常」ということではありませんし、逆に「10日経ったからもう平気なはず」と無理をする必要もありません。日にちよりも、生活が回っているかどうかのほうが大切な物差しです。
涙が止まらない・イライラ・眠れない——主な症状
日本産婦人科医会が挙げているのは、ふいに涙が止まらなくなる、いらいらする、おちこむ、といった症状です。さらに、情緒が不安定になったり、眠れなくなったり、集中力がなくなったり、焦るような気分になったりすることもあるとしています。
「涙が止まらない」というのは、悲しいことがあって泣くのとは少し違います。テレビのニュースでも、赤ちゃんの寝顔でも、なんでもない一言でも涙があふれてくる。感情の蛇口がゆるくなったような状態だと考えるとわかりやすいかもしれません。
日本女性心身医学会も、産後の変化として涙を流した経験のほか、疲れやすさ、集中力の低下、いらいら感、物覚えの悪さを挙げています。「頭が働かない」「さっき聞いたことをもう忘れている」という感覚も、この時期には起こりうるものです。
なぜ起こるのか——ホルモンの急降下と、生活の激変が重なる時期
妊娠中は、エストロゲンやプロゲステロン(いずれも女性ホルモンの一種)が高い状態で保たれています。それが出産と同時に一気に低下するため、体は短期間で大きな切り替えを迫られます。気分の揺れには、この変化がかかわっていると考えられています。
加えて、産後は生活そのものが激変します。日本女性心身医学会は、妊娠・出産では子宮だけでなく、乳房、心臓や血液、ホルモンバランス、皮膚、体型などが大きく変化し、社会的にも娘・妻から母へと変わると説明しています。体も立場も同時に変わるのですから、心が追いつかないのはむしろ自然なことです。
そこに、傷の痛み、授乳、2〜3時間おきの細切れの睡眠が重なります。健康な人でも数日眠れなければ気分は落ち込みます。産後の涙は、心の弱さではなく体の状態がそのまま気持ちに出ているものだと受け取ってください。
「なりやすい人」はいるのか
「私がこうなったのは、もともとメンタルが弱いからでは」と考えてしまう方がいます。ですが日本女性心身医学会は、産後の抑うつについて、年齢や人種、経済・社会的背景、健康状態、不妊治療歴、婚姻歴、妊婦健診の通院状況、すべて無関係に発症するとしています。
つまり、しっかり準備してきた方にも、周囲に恵まれている方にも起こります。「なりやすい人の特徴」を探して自分を採点するより、今つらいという事実だけを持って相談していいと考えてください。

妊娠中の「マタニティブルー」|気分が落ち込むのはいつ?
妊娠中の落ち込みは、妊娠初期に多いといわれる
妊娠中の気分の落ち込みについても、データがあります。日本女性心身医学会は、妊娠期のうつ病の有病率は6.5〜12.9%で、8〜12人に1人が経験しており、妊娠初期に多くみられるとしています。
妊娠初期は、つわりで体力が削られ、ホルモンが大きく動き、まだ人に言えず、流産の心配もある時期です。うれしさと不安が同時に押し寄せて、自分でも整理がつかなくなる。そういう時期に落ち込むのは、無理もないことだと思います。
時期ごとに、心が揺れやすい理由は変わる
- 妊娠初期…つわり・強い眠気・ホルモンの急な変化。仕事や周囲への報告を巡る気疲れも重なる
- 妊娠中期…体調は落ち着きやすい一方、体型の変化や仕事の調整で気持ちが揺れることがある
- 妊娠後期・臨月…お産への不安、眠りの浅さ、動きにくさ。「本当に育てられるのか」という漠然とした不安が強まりやすい
とくに臨月は、「早く会いたい」と「まだ心の準備ができていない」が同居する時期です。周りからは「もうすぐだね」と明るく声をかけられるぶん、不安を口に出しにくくなるのもこの時期の特徴だと思います。
妊娠中のイライラや情緒不安定については、原因と和らげ方をこちらの記事でくわしくまとめています。眠れなさが気持ちに響いている方は、あわせて睡眠の記事もご覧ください。
妊娠中にイライラが止まらないのはなぜ?原因とホルモンの影響、乗り越え方を元看護師が解説
妊婦さんが寝れない原因6つと今夜から試せる対処法——元看護師ちなみが時期別に解説
妊娠中の落ち込みが長く続くときは、そのまま健診で伝える
日本女性心身医学会は、妊娠期のうつ病は産後うつ病の危険因子と考えられているとしています。妊娠中のつらさを我慢して乗り切ろうとするより、その時点で相談しておくほうが、産後の自分を助けることにつながります。
相談の場は、特別に用意する必要はありません。妊婦健診の問診票や、助産師さんとの面談の時間がそのまま相談の場です。「最近よく泣いてしまって」「眠れていません」の一言で十分伝わります。
マタニティブルーと産後うつの違い
いちばんの目安は「2週間」
両者を分ける目安として、多くの資料が挙げているのが2週間という期間です。日本精神神経学会は、産後の症状について、2週間以内に落ち着いてしまうこともあるが、2週間以上続いた場合は「産後うつ」である可能性があるとしています。日本女性心身医学会も、産褥抑うつ症を概ね産後2週間以上持続するものとしています。
- マタニティブルーズ…産後数日〜2週間ごろに現れ、多くは産後10日程度で軽くなる。日によって波はあるが、笑える時間もある
- 産後うつ…気分の落ち込みや興味の減退が2週間以上続く。一日中つらい状態が続き、育児や家事など生活に支障が出る
ただし、この線引きはご自身で診断するためのものではありません。「2週間を過ぎたら相談する」という行動の目安として使ってください。2週間経っていなくても、つらいときに相談してはいけない理由はどこにもありません。
参考 妊娠中・出産後に「うつ」になった方のためのQ&A日本精神神経学会
産後うつに移行するサイン
日本産婦人科医会は、マタニティブルーズが長引く場合、産後うつ病に移行することがあるとしています。だからこそ、「一過性のものだから」と思っていたものが、そうではなくなってきたときに気づけることが大切です。
インターネット上には点数をつけるセルフチェックが並んでいますが、点数を出すことがゴールではありません。ここでは点数ではなく「相談してほしいサイン」の形でまとめます。
・気分の落ち込みが2週間以上続いている
・赤ちゃんが眠っているときも眠れない/逆に何時間眠っても回復しない
・食欲がまったくない、体重が急に減った
・赤ちゃんをかわいいと思えない、世話をするのがつらい
・「自分は母親失格だ」「いないほうがいい」という考えが浮かぶ
・家事や育児が回らず、生活そのものが立ち行かない
ひとつでも当てはまるなら、健診を待たずに産院や市区町村の窓口に連絡して大丈夫です。
産後うつの症状・続く期間・エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)の位置づけ・治療については、別の記事でくわしく解説しています。「2週間以上続いている」という方は、こちらを続けてご覧ください。
産後うつとは?症状・いつまで続くか・マタニティブルーズとの違いを元看護師が解説
産後は気持ちだけでなく、体も回復の途中にあります。悪露(おろ)がいつまで続くのか、どんなときに産院へ連絡すればいいのかを知っておくと、不安の一つを減らせます。体の回復についてはこちらもあわせてご覧ください。
悪露(おろ)とは?いつまで続く・色や量の変化・受診の目安を元看護師が解説
なお、気分の揺れは産後直後だけのものではありません。断乳のあとにも、ホルモンの急な変化で涙もろくなったり気分が落ち込んだりすることがあります。授乳をやめる時期に起こる心と体の変化については、断乳のやり方をまとめたこちらの記事で触れています。
断乳のやり方|進め方と胸のケア・絞る絞らないの判断を元看護師が解説
産後の時期を過ぎてからも育児のつらさが続いている場合は、「育児ノイローゼ」と呼ばれる状態のほうが近いかもしれません。こちらは診断名ではありませんが、背景に産後うつが隠れていることもあります。見分け方はこちらにまとめました。
育児ノイローゼとは?症状のセルフチェックと産後うつとの違い・すぐ相談すべきサインを元看護師が解説
マタニティブルーの乗り越え方|今日からできること
「雨宿り」だと思って、通り過ぎるのを待つ
日本産婦人科医会は、マタニティブルーズについて、自然に経過を見るだけで通り過ぎていくので雨宿りをするような感覚でやり過ごしてしまいましょうと伝えています。この表現がとても好きで、私はよくお借りしています。
雨が降っているとき、私たちは「なぜ降るのか」を突き止めようとはしません。やむまで軒下にいるだけです。今の気持ちも、原因を分析して解決しようとしなくていい——そう思えるだけで、少し肩の力が抜けるのではないでしょうか。
眠ることを、いちばん上に置く
産後の気分の落ち込みに、睡眠不足は確実に影響します。まとまって眠れなくても、横になって目を閉じている時間をつくるだけで違います。赤ちゃんが眠っている間に家事を片づけたくなりますが、その30分は横になるほうを選んでください。
「自分が寝ている間に何かあったら」と気になって眠れない方も多いです。そんなときこそ、夜間だけでもパートナーや家族に代わってもらう相談をしてみてください。眠れる時間の確保は、わがままではなく回復の手段です。
気持ちを、言葉にして誰かに渡す
整理してから話そうとすると、いつまでも話せません。「なんだかわからないけど涙が出る」で構わないので、そのまま言葉にしてみてください。助産師さんや保健師さんは、その手の話を毎日聞いているプロです。驚かれることも、あきれられることもありません。
人に言うのがどうしても難しければ、スマホのメモでも構いません。頭の中でぐるぐるしていたものが、文字になった瞬間に少し外に出ていく感覚があります。
情報を見すぎない・他の人と比べない
気持ちが不安定なときほど、SNSで同じ月齢の赤ちゃんを探して、自分と比べてしまいます。ですが、投稿されているのはたいていうまくいった日の数分間です。落ち込んでいる時間は投稿されません。
検索も同じです。不安なときの検索は、いちばん怖い情報に目が吸い寄せられます。調べるなら公的機関のページに絞る、時間を決める。「見ない」と決めることも立派なセルフケアです。
「ちゃんとした母親」の像から、いったんおりる
私自身、上の子のときは「泣かせっぱなしにしてはいけない」「離乳食は手作りで」と、どこかから拾ってきた基準に縛られていました。振り返ると、あの基準は誰かに求められたものではなく、自分で自分に課していたものでした。
赤ちゃんが求めているのは、完璧な母親ではなく、そばにいる人です。今日おふろに入れられなくても、洗濯物が山でも、赤ちゃんは元気に育ちます。基準を下げるのではなく、いま必要なことだけに絞ると考えてみてください。

産後は気持ちの揺れと同じ時期に、体の変化も重なります。鏡を見るたびに落ち込みやすくなる産後の抜け毛も、そのひとつです。しくみと経過を知っておくと、必要以上に自分を責めずにすみます。
産後の抜け毛はいつから?ピークといつまで続くか・原因と対策を元看護師が解説
パートナー・家族に知っておいてほしいこと
泣いている理由を問い詰めない
「どうして泣いてるの」「何が不満なの」と聞かれるのが、この時期はいちばんつらいと言われます。本人にも理由がわからないから困っているからです。理由を突き止めようとせず、「そういうことがあるらしいね」と受け止めるだけで十分です。
言葉が思いつかないときは、飲み物を持っていく、隣に座る、赤ちゃんを抱いて席を外す。行動のほうが言葉より届く時期です。
家事を手伝うより、眠る時間をつくる
掃除や洗濯を代わることももちろん助かりますが、優先順位の一番はまとまって眠れる時間です。「今夜の◯時から◯時までは自分が見るから寝ていて」と、時間を区切って引き受けるのがいちばん確実です。
また、この時期は大きな決断をしないことも大切です。気持ちが不安定なときに交わされた言葉や、そのとき考えた将来のことは、体調が戻ってから受け取り直すと違って見えることがよくあります。お互いに、いま出た結論を最終決定にしないでください。
パートナー自身が不調になることもある
産後の生活の変化は、パートナーにも及びます。眠れない、仕事に集中できない、どう関わっていいかわからない——そうした状態は父親側にも起こりえます。支える側が倒れないことも、家族全体を守るうえで欠かせません。
ちなみ(元看護師)
夜中に何度も起きる状態が続くと、睡眠不足から気持ちのほうもつらくなりがちです。夜の授乳をまとめてやめる「夜間断乳」を検討している方は、いつから・どう進めるかをまとめたこちらの記事もあわせてご覧ください。
夜間断乳はいつから?やり方と昼夜どちらを先にやめるかを元看護師が解説
産後の時期を過ぎても夫婦関係のぎくしゃくが続く場合は、「産後クライシス」として語られる状態に近いかもしれません。乗り越え方と、見落とされやすい体の原因はこちらにまとめました。
産後クライシスとは?症状のセルフチェックといつまで続くか・夫婦で乗り越える方法を元看護師が解説
相談できる場所
入院中・産婦健診・1か月健診で、そのまま伝える
日本産婦人科医会も、症状の強い場合には助産師や産婦人科医に相談するよう勧めています。入院中なら、夜間でも助産師さんがいます。「眠れません」「涙が止まりません」だけで通じます。
日本精神神経学会も相談先として、出産した病院・クリニック・助産院、および母子健康手帳や新生児訪問を担当している市区町村の保健センター等を挙げています。「産婦人科の範囲じゃないかも」と迷う必要はありません。
市区町村の保健センター・産後ケア事業
お住まいの市区町村では、産前・産後サポート事業や産後ケア事業が行われています。助産師などが心身のケアや育児のサポートをする仕組みで、宿泊型・日帰り型・訪問型などがあります。「つらくなってから」ではなく、予約の段階で使ってよい制度です。
参考 母子保健(産前・産後サポート事業/産後ケア事業)こども家庭庁
今すぐ話を聞いてほしいときの窓口
夜中でも、平日でなくても話を聞いてくれる窓口があります。厚生労働省の「まもろうよ こころ」に掲載されている窓口から、産後・妊娠中の方が使いやすいものを挙げます。
・#いのちSOS 0120-061-338(フリーダイヤル・24時間)
・よりそいホットライン 0120-279-338(フリーダイヤル・24時間)
・こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(お住まいの自治体の相談窓口につながります)
・あなたのいばしょ(チャット相談・24時間365日・匿名)
電話が苦手な方向けにチャットやSNSの窓口もあります。最新の受付時間は下記の厚生労働省ページで確認してください。
参考 まもろうよ こころ(電話・SNSの相談窓口一覧)厚生労働省
ちなみから|産後3日目の涙は、めずらしくありません
看護師として働いていたころ、産後3日目あたりの病室でよく見た光景があります。前の日まで穏やかだった方が、赤ちゃんを見ながら静かに泣いている。そして目が合うと、あわてて「すみません」とおっしゃるのです。
謝ることではまったくないのに、多くの方が謝ります。「うれしいはずなのに」「みんな乗り越えているのに」と、自分を責めながら泣いていらっしゃる。あのとき私が伝えていたのは、いつも同じことでした。それは体に起きていることで、あなたの気持ちの問題ではありません、と。
私自身、2人を産んで、上の子のときも下の子のときも、退院してからしばらくは自分でも驚くほど涙もろくなりました。あのころの自分に何か言えるなら、「今日の夕飯を作らなくても誰も困らないよ」と伝えたいです。
まとめ|マタニティブルーは、あなたのせいではありません
- 医学用語の「マタニティブルーズ」は産後の一過性の情緒不安定を指し、日常語の「マタニティブルー」は妊娠中の落ち込みも含めて使われる。
- 日本産婦人科医会によれば、マタニティブルーズは出産後の女性の30〜50%が経験し、産後数日〜2週間のうちに現れて、大抵は産後10日程度で軽快する。
- 妊娠期のうつ病の有病率は6.5〜12.9%(8〜12人に1人)で妊娠初期に多く、産後うつ病の危険因子と考えられている。
- 産後うつとの見分けの目安は「2週間以上続くかどうか」。ただし自己診断ではなく、相談する行動の目安として使う。
- 年齢・経済社会的背景・不妊治療歴・婚姻歴などとは無関係に起こる。「なりやすい人」を探して自分を責める必要はない。
- できることは、眠る時間の確保、言葉にして誰かに渡すこと、情報を見すぎないこと。相談先は産院・保健センター・産後ケア事業・24時間の電話/チャット窓口。
気持ちの揺れは、時間とともに落ち着いていくことがほとんどです。それでも、いま雨の中にいる人にとって「そのうちやむ」は慰めになりにくいことも知っています。だからこそ、やむまでの間、ひとりで立っていなくていいということだけ、覚えて帰ってください。産院でも、保健センターでも、電話の窓口でもかまいません。「しんどいです」と伝えるところから始めて大丈夫です。
よくある質問(マタニティブルー|FAQ)
Qマタニティブルーとマタニティブルーズは違うものですか?
A.医学の場で使われる「マタニティブルーズ」は、産後の一過性の情緒不安定を指す言葉です。一方、日常会話の「マタニティブルー」は、妊娠中の気分の落ち込みも含めて広い意味で使われています。指しているものが違うだけで、どちらかが間違いというわけではありません。
Qマタニティブルーズはいつからいつまで続きますか?
A.日本産婦人科医会は、産後数日から2週間程度のうちに症状が現れ、大抵は一過性で産後10日程度で軽快すると説明しています。ただし個人差があり、日にちがぴったり当てはまらないこともあります。2週間を過ぎても気分の落ち込みが続くときは、産後うつの可能性を考えて相談してください。
Qマタニティブルーになりやすい人はいますか?
A.「こういう人がなる」と決めつけられるものではありません。日本女性心身医学会は産後の抑うつについて、年齢や人種、経済・社会的背景、健康状態、不妊治療歴、婚姻歴、妊婦健診の通院状況とはすべて無関係に発症するとしています。あなたの性格や心がけの問題ではない、ということです。
Q妊娠中に気分が落ち込むのも、マタニティブルーですか?
A.日常会話ではそう呼ばれることが多いです。日本女性心身医学会は妊娠期のうつ病の有病率を6.5〜12.9%(8〜12人に1人)とし、妊娠初期に多くみられるとしています。妊娠中の落ち込みは一時的なもので終わることも多い一方、長く続く場合は妊婦健診の場で伝えてください。
Q涙が止まらないとき、病院に行ったほうがいいですか?
A.産後まもない時期に涙もろくなること自体は、めずらしいことではありません。ただし2週間以上続く/眠れない/赤ちゃんをかわいいと思えない/自分を責める気持ちが強いといった状態が重なるときは、産婦健診や1か月健診を待たずに産院や市区町村の保健センターに連絡して大丈夫です。
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